平成十九年五月十八日(金曜日)
午前十一時開議

○遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。
防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に関しまして、質問を進めさせていただきます。
寺田委員からも総括的に御質問がございましたが、ことし、五十年来の懸案であった防衛省昇格が実現をいたし、これは大変喜ばしいことでありますけれども、そうなった以上、これは大臣が常におっしゃっておられる政策機能の強化ということと、もう一つはモラルの向上、この二点において目に見えた形で前進がなければ、逆に、防衛省昇格は厳しい評価が下るのではないかと思っておりまして、ぜひ心してこれを進めていただきたいと思っております。特にモラルの問題は、今国民の大きな期待が防衛省にあるわけであります。これを裏切ることがないように、ぜひとも心して取り組んでいただきたいと思っております。
昨年、大変な問題になりました防衛施設庁の入札談合事件を受けまして、施設庁は、逮捕、起訴された幹部職員二名を懲戒免職にしたほか、過去にもさかのぼって、談合に関与した関係者及び指揮監督責任を有した職員、合計八十二名の処分を行ったと聞いております。
施設庁による談合は、これまでも伝統的に行われてきたことを考えますれば、ある意味で、同庁の体質となっていたというふうに言わざるを得ません。関与した職員の処分を超えて、今般、組織そのものを廃止したことは当然の措置であろうと考えております。
今般の防衛省設置法改正案によりまして、これまで防衛施設庁が担ってきた機能は主に防衛本省の内部部局が引き継ぎ、また、施設庁の職員だった人は、処分を受けた人も含めて防衛省の職員となったわけでありますけれども、防衛施設庁が持っていた談合体質が、この組織改編によって、防衛省に根づくことなく、いかに排除されるかという点が大事であるかと思っております。
確かに、今回、組織改編によりまして、チェック機能の組織はとりあえず整備された。しかしながら、人の問題、意識の問題、体質の問題、さらに組織文化の問題、これを本当に変えていかなければ、今後とも問題の発生があり得るわけでありまして、ぜひともそういった組織文化の改革という点につきまして本格的に取り組んでいただきたいと思っておりますが、そういった点、どのように今後進めていかれるのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○久間国務大臣 今度のこの法律が通りまして、防衛施設庁が正式に廃止、統合されるということになりましたら、それを機会に、防衛施設庁の職員についてもそうですけれども、防衛本省の職員も含めて、なぜこういう形で組織が統合されたかという原点に戻って、そういうことから教育といいますか、みんなに意義の徹底を図ることによって、先般行われた、ああいう談合問題を初めとする不正が今後行われないように、そういうモラルの点での、意識の面での改革を行っていきたい、そう思っているところでございます。
組織まで改廃してやるわけですから、それをやはり可として、そういう機会をとらえて、災い転じて福となすような、そういう方向に持っていきたい、そう思っております。
○遠藤(乙)委員 大臣の言われる広義の教育、これが一つの決め手だと思っておりまして、具体的なプログラムとかさまざまな研修等、ぜひ今後検討していただいて、徹底的に組織文化の改革ということに取り組んでいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、もう一点ですけれども、この入札談合事件を受けまして、国土交通省を初めとする国の発注機関、地方公共団体等では、関与した企業への指名停止措置をとったわけでありまして、対象となった業者が非常に広範であったために、大規模事業を競争入札により発注しようとした際、対象業者数の不足が生じて、逆に、事業の発注が見送られるといった事態もあったと聞いております。このことは、見方を変えれば、大手ゼネコンなどに再就職し、談合という違法な入札にかかわった防衛施設庁やかつての防衛庁、また、自衛官など防衛関係者OBが数多くいるという実態を物語っているのではないかと思います。
入札談合に関与した企業に対して、防衛省は有期の指名停止措置をとっておりますけれども、談合の芽を徹底して摘み取るためには、例えば、自衛隊法第六十二条第二項の規定にあります、離職後二年間は、防衛本省または防衛施設庁と密接な関係にある企業等に就職できないとする規定を、さらに規制を強化していく必要があるのではないかと考えております。
確かに、一面、そういった自衛官あるいは防衛省OBの人たちの再就職はぜひとも支援していく必要があるかと思っております。当然、生活の問題、処遇の問題がありますので、そういった点をしっかりと、やはり国のために働いた人たちについてはきちっと支援をしていく必要があるとともに、他方、直接防衛本省または防衛施設庁と密接な関係にあった企業に再就職を規制する部分については、これは逆に規制を強化していく必要があるかと思っておりますけれども、この点につきまして、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○久間国務大臣 公務員とその再就職の問題につきましては、公務員全体について今法案を、四月何日でしたか閣議決定して、国会に出しておるところでございます。
そのときに、自衛隊については特別法がございまして、いわゆる特別職の扱いになっておりますので、一応あれから外れておりますけれども、その閣議決定をするときに、自衛隊員である公務員についても速やかに対応するということになっておりますから、あれに準じた形で対応しなければならないというふうに思っておりますので、その法案の審議を見ながら、我々としてもその方向でやっていこうと思っておりますから、その中で、今おっしゃられましたようなことは十分、向こうの方でも入っておりますので、我々も対応したいと思っております。
○遠藤(乙)委員 ぜひその方向で、国民が納得し得る議論をひとつお願いしたいと思っております。
続いて、防衛監察本部につきまして質問したいと思います。
今回の法案によりまして、防衛省は、予算の適正執行を確保するための会計監査業務とか、法令遵守に関する監察業務を行う新たな組織を立ち上げることになったわけです。これが防衛大臣直轄の独立性の高い防衛監察本部であり、防衛監察監を筆頭に五十名程度の職員が配置されると理解をしております。防衛監察監には相当大きな監察権限が付与される必要があると思いますし、また、高度の専門知識が求められるわけでありまして、それと同時に、監察の対象部局からの独立性も重要なファクターになると思っております。
こういった要件を満たすためには、防衛省関係者ではなく、できる限り、検察官とか裁判官など司法関係者、あるいは公認会計士の資格を有する者の中から防衛監察監を人選すべきではないか、あるいはスタッフにもそういった人々を多数登用すべきではないかというふうに今考えておるし、これは以前にも御質問申し上げました。
ただ、給与の面等があって、トップにはふさわしい人材を持ってこれるかという現実的な悩みがあることもよく承知をしております。トップではなくとも、実際のスタッフに優秀な若手のそういった司法関係者を引っ張ってくる。例えば、法務省と人事交流をして、地検特捜部に行くような連中を少し引っ張ってくるとか、そういう人事交流によって優秀な人材を引っ張ってくることは可能だと思います。
そういった点につきまして、どのように防衛監察本部を現実的に機能させていくか、特に人材面でどのように考えているかという点につきまして、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○久間国務大臣 先ほどの寺田委員の御質問に事務方でも答えましたように、今おっしゃられましたような内容も含めて一生懸命努力しているところでございまして、監察本部が初めてスタートするわけでありますから、それにふさわしいような陣容になっているように、皆様方から見ても、うん、これならというようなそういう批評をしてもらえるような、そういう気持ちで今取り組んでいるところでございますので、まずその成果を上げたいと思っているところであります。
○遠藤(乙)委員 大臣の今の抱負をしっかりと受けとめましたので、我々も期待を持ってウオッチしていきたいと思っております。
続きまして、先ほど寺田委員からも御質問がありましたが、軍事機密情報漏えい関係でございます。
防衛省にとって、私は、二大不祥事、防衛省は、当然人間の組織ですからいろいろな不祥事があると思いますけれども、談合問題と情報漏えい、これは特に防衛省の存立にかかわる大変大きな問題であると思っております。先ほどの談合問題に対する姿勢とともに、情報漏えいに対しても、これは国際的な信頼にもかかわる話ですので、ぜひとも取り組みをお願いしたいと思っております。
先般、2プラス2で軍事情報包括保護協定、いわゆるGSOMIAというのが締結をされる。これは当然だと思っておりますが、やはりこの具体的な受け皿、具体的な考え方をしっかりと徹底させていく組織的工夫あるいは教育的工夫というものがぜひとも必要であると思っております。
そういった意味で、例えば、今回の防衛監察本部に類した情報保護官、情報保護本部といったようなものを設けるか、あるいはまた防衛監察本部それ自体にそういった情報漏えい対策の機能をしっかりと遂行させるかといった考え方があるかと思いますけれども、こういった点につきまして、今後の情報管理体制のあり方、組織の面あるいは教育の面、改めて大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○久間国務大臣 情報の漏えいはあってはならないわけですから、それについては、やはり教育を通じて、あるいは日ごろからの徹底をしてやらなきゃなりません。
それと同時に、意図的に情報を漏えいすることについては、やはり罰則もきちんとあるわけでございますし、それに基づいてやらなきゃなりませんが、情報漏えいをさせないために目を光らせるという形になりますと、ある意味じゃ、非常に暗いといいますか、だれかが監視していて、もうスパイ活動しておりゃせぬかということでずっと日ごろから監視するような、そういうイメージを与えますと、これは職場においても暗い感じを与えますから、そういうことはしないできちんと守られるような、そういうことにしなきゃならないんじゃないかと思っております。だから、そういう意味で、監察組織といいますか、そこを強化するということとはちょっと違うような気がいたします。
それと、今までのものの漏えいのほとんどが可搬媒体といいますか、そういうものを勝手に持ち出してやったものですから、ソフトの面で、そういうものを持ち出したときには、それがもう機能しないようなソフトを今導入してやろうとしておりますので、それを一日も早く全部に徹底できるようにしたいというのが一つでございます。それと同時に、本当に意図的に秘密を漏えいして第三国に渡すというような、そういうことはあってはならないわけでございますから、それについては、やはり秘密に携わる人の人選、それも含めて徹底を図っていきたいと思います。
ただ、秘密漏えいを守るために何かの組織をつくって目を光らせるというような、そういうやり方ということを言いますと、そこはちょっと違和感を感じますので、その辺については、そこまでは、余り組織をつくって云々というようなことは今のところ考えているわけではございません。
○遠藤(乙)委員 暗い防衛省になっては困るので、明るい防衛省として頑張ってもらいたい。そういった意味では、確かにおっしゃるような形は余り好ましくないかもしれないけれども、基本的に情報管理に対する教育というのが大変大事なことだし、また日進月歩する技術の面でいろいろな工夫はあり得ると思いますので、そういった教育はぜひとも必要ではないかと思っておりますので、明るい防衛省を目指しつつ、ぜひ情報管理体制の確立をしっかりとお願いしたいと思っております。
そこで、残された時間、あとわずかになりましたが、先般総理が訪米した際に、首脳会談が行われ、かけがえのない日米同盟ということがうたわれました。それは非常に結構だと思います。その中で、安倍総理から戦後レジームの脱却ということを発言されております。これがまた日米関係、安全保障面にもいろいろ影響があり得る、きょうも多分その一環だと思いますが、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会が開かれると聞いております。
そこで、この戦後レジームの脱却、これは具体的に何を意味するのか。特に日米同盟あるいは安全保障問題の中で、戦後レジームとは何か、また、そこからの脱却とは何か、どういう志向性を持った考え方なのかということにつきまして、大臣は安倍内閣の一員でございますので、当然総理のお考えをよく理解されていると思いますけれども、ぜひ、そこら辺につきましてひとつ御教示をいただきたいと思っております。
○久間国務大臣 確かに安倍内閣の一員でございますけれども、言葉の持つ意味を細かく一緒に共有しているかどうかになりますと、そこは若干違うのかもしれません。ただ、言えますことは、戦後六十年たって、あの当時でき上がった制度というのは、やはりその当時の背景ででき上がっておるわけであります。しかしながら、今日では安全保障をめぐりましても、あの当時ですと、東西冷戦が一番典型的でございますけれども、それでなくても国対国の形でのいろいろな対立、それを前提として安全保障体制というのは考えられておりました。
しかしながら、今はもう本当に複雑で、国ではない、そういうようなことに対しても対応しなければならない。テロももちろんそうですけれども、例えば、テロだけではなくて、インターネットを利用した金融なんかについても、本当にあるとき突然攻撃がしかけられるというような、そういうことだってあるわけでありますし、また、生物化学兵器じゃございませんけれども、とにかく、昔の武器を使ったような形でない形で混乱を巻き起こして、その混乱によって相手にダメージを与えるというような、そういう予想できなかったようなこともございます。
そういうのを考えたときに、従来の、わかりやすく言うと日本国憲法で禁じられている集団的自衛権というのがどんなものなのかということについて、あの当時の概念と本当に一緒なんだろうかと、憲法で禁止されているのはこういうものであって、ここまでは憲法は禁じていないんじゃないかとか、いろいろな角度から研究する時期に来ているんじゃないかというふうに総理は言われて、いろいろな方々の意見を聞きたいという話でございましたから、私は、それはそれで時宜に適したことなんじゃないかなというふうに御返事を申し上げたこともございます。
そういう懇談会がきょう十時から開かれて、総理は、四類型といいますか、あるいは四分類といいますか、そういうようなことをパターンとして示されて意見を聞くんでしょうけれども、これに限らず、それ以外の分野も含めて、これから先はそういういろいろな議論をするというのは非常にいいことじゃないかなというふうに思っております。
もちろん、それが現行憲法に抵触する場合は、我々は、政府としては、現行憲法下で行政を行う、そういうことを義務づけられておりますからそれはできませんけれども、憲法でもそこまでは禁じていないんじゃないかということだってあり得ると思いますので、幅広くいろいろな討議がされるんじゃないかと思って、それを見守っていきたいと思っているところであります。
○遠藤(乙)委員 大変わかりやすい御説明だったと感謝をしたいと思っております。私なりに受けとめると、要するに、東西冷戦のもとででき上がったさまざまな考え方、それが今、東西冷戦が崩れて、危機も多様化し、不確実性が増し、アメリカ自体が、米軍自体が今、トランスフォーメーションあるいはグローバル・ポスチャー・レビューということで大きなパラダイムシフトをしているという中で、日本としても、新しい安全保障環境の中で、必要な法的整備ないしさまざまな防衛面での見直しは必要だろう、それはよく理解できる話だと思います。
公明党の立場としては、集団的自衛権は踏み込むべきではない、現行憲法をしっかりと遵守すべきである。ただ、今までの、戦後積み重ねてきた憲法解釈、特に湾岸戦争以降、派遣と派兵の違い、武力行使と武器使用の違い、それから武力行使と一体化する後方支援とそうでない支援、後方地域支援、非戦闘地域と、いろいろ具体的な事例に即していわば積み上げてきたという実績があります。
ただ、その中であっても、今の積み上げが必ずしも現行憲法そのものをすべて完全にクリアにしたかという点は、必ずしもまだ私はそうではないと思っておりまして、現行憲法下でも、例えば、国際平和協力でさらにできること、あるいはまた、日米同盟の中にあってもさらに協力を強化できる部分はあり得ると思っておりまして、そういう分野をしっかりと議論していくことは、私は非常に意義のあることだと思っておりまして、国民にもわかりやすい。それを、集団的自衛権に踏み込むという何か旗印を持ってやるから非常に反発を食うし、おかしくなると思うので、冷静な、しっかりと現実に即した、しかも現行憲法をしっかりと踏まえた上での議論、そういうことであれば、これは十分時間をかけて国民的な議論をしていくべきだと思っております。
安倍総理も本来そういうことだろうと思って、マスコミがかなり集団的自衛権と騒ぎ過ぎているんではないかという気がしておりまして、多分、法制局の解釈も、私自身の思いでは、もうちょっと行けるところを、まだ免許じゃなくて若葉マークをつける、そういう趣旨で非常に安全係数を高くとっているという感じもしております。それも、若葉マークを外すという意味で、どこまで現行憲法で行けるかということは、大いに議論すべきである。
例えば、武器使用の概念なんかは非常に議論の余地がありますし、また、後方支援の性質からくる見直しも大いに議論すべきだろうし、国連が人道支援活動を行っている、そういうような啓蒙活動をどうするかとか、それはいろいろなケースがあり得ると思いますので、ぜひそれは今後しっかりと、そういう冷静な、しかも現行憲法の枠を踏まえた議論をしていくということを、特に大臣はそういった面での影響力をぜひ発揮していただきたいと思っているところでございます。
各論を議論しようと思っておりましたが、時間がありませんので、申しわけないですけれども、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
|
|