第166回国会 本会議 第16号


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平成十九年三月二十三日(金曜日)
午後一時開議



○遠藤乙彦君 公明党の遠藤乙彦です。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案につきまして、防衛大臣並びに外務大臣に対し質問を行います。(拍手)

 質問に入る前に、去る三月十一日、十二日の両日にわたり、安全保障委員会の理事会メンバーにより、在沖縄海兵隊の移転先であるグアム島の現地視察を行い、私も参加いたしました。限られた時間内のものでありましたが、百聞は一見にしかず、有益な視察であったと思いますので、まずその所感を申し述べたいと思います。

 総括的に申し上げれば、グアムへの海兵隊移転は、抑止力の維持の点で問題はなく、沖縄の負担を軽減し、グアム島の振興、発展に資し、今後の日米同盟協力関係の信頼性、有効性の強化につながり得る一石二鳥、三鳥の施策と思われ、ぜひとも成功させる必要があることを強く感じてまいりました。

 グアム島は、東アジアを視野に入れながら、遠過ぎずまた近過ぎず、一定の距離を置いて、緊張を高めることなく緊急展開能力を集積して、抑止力を維持するという観点からは絶妙の地政学的、戦略的位置にあります。近年、このことが再評価され、米軍再編の中でも、グアム島は特に重要な戦略拠点の一つとして位置づけをされ、今後、拡充強化される方向にあります。

 また、これは現地視察をして初めて理解できたことですが、グアム島は、沖縄とは異なり、基地はあっても基地問題はないということも重要な点であります。グアム島は淡路島と同じくらいの面積に約十六万人の人口を有していますが、ほとんど島の中央部に集中して住んでいます。他方、基地は、アプラ海軍基地及びアンダーセン空軍基地という広大な基地がありますが、いずれも島の外れにあり、民間地区とは離れているため、いわゆる基地問題は存在しません。

 グアム島のほとんど唯一の産業は観光産業であり、年間百二十万人と言われる観光客の八割は日本人観光客に依存している状況ですが、島の観光産業の展望は必ずしもよくはなく、今後安定した基地経済への依存度を高めることは、グアム島の財政事情の改善や雇用機会の確保にとり賢明な選択であると考えられます。

 カマチョ・グアム島知事にもお会いし、意見を聞きましたが、海兵隊員八千人、家族九千人、合計一万七千人は島の人口の一〇%を超えるものであり、この受け入れは、インフラ整備等の課題はあるが、グアム島の成長、発展の機会としてとらえており、歓迎している、島民の理解を得つつ本件をサポートしていきたいとの発言がありました。

 他方、島のインフラは、六〇年代から七〇年代にかけてつくられたものであり、老朽化し、能力が不足しており、電気、ガス、飲料水の供給、排水処理、廃棄物処理等かなり大規模な投資が必要であり、大きな課題であります。

 また、グアム島の面積の三割は国防省及びグアム島政府所有地であり、海兵隊移転先での住宅建設等も、土地代はかからないはずであり、費用の積算根拠については改めて精査が必要であり、今後、タックスペイヤーである国民に対する十分な説明責任を果たす必要があることを強く感じました。

 グアム島には、今後、高性能無人偵察機のグローバルホークも配備される予定の由でありますが、このような偵察能力強化と緊急展開能力の集積は、抑止力の維持という点のみならず、アジア太平洋地域における自然災害の際の緊急援助能力という点でも大きな可能性を意味しております。津波や地震、昨今の異常気象からくるハリケーンや台風の頻発等にかんがみれば、災害救助に向けてあらゆる資源、手段を活用すべきでありましょう。我が国としてはこのような視点から建設的な提案を行うことも検討すべきと考えております。

 以上、所感を述べましたが、外務大臣及び防衛大臣の御意見があればお聞かせいただければと思います。

 続いて、法案に関する質問に入らせていただきます。

 第一に、法案の背景、前提となっているトランスフォーメーション、いわゆる米軍再編並びにグローバル・ポスチャー・レビュー、全世界の米軍配置見直しの本質を政府としてどう認識しておられるのか、またそのことにより我が国の安全保障体制がどのように変化するのかについての基本認識を伺いたいと思います。

 第二に、法案では、再編交付金の段階的交付という仕組みが採用されていますが、この点については、巷間、交付金を使って自治体に負担の受け入れを強いるためのあめとむちではないかとの批判が寄せられております。政府がこのような仕組みを導入した理由について伺います。

 第三に、グアム島移転経費について、我が国が総額六十億九千万ドルを負担することが日米間で合意されております。このうち、家族住宅、基地内のインフラ向けの三十二億九千万ドルについては、国際協力銀行による出資、融資で行い、いずれ家賃収入などにより回収可能になるとの説明がなされております。政府として、国際協力銀行を通じた出資、融資が何年程度で回収されると見積もっておられるのか、また不良債権化するリスクについてどうお考えか、政府の答弁をお聞きいたします。

 第四に、在日米軍再編、特に海兵隊のグアム移転は、沖縄の負担を軽減するものとして歓迎される一方、再編事業の進展に伴い、沖縄米軍基地で働く九千名近い日本人労働者のうち、余剰人員が三千名以上に上るのではないかとの見方が広がり、現地では将来に対する不安が広まっております。国の政策に伴って大量の失業者が発生し、地域経済に悪影響を与えるような事態は、何としても避けなければなりません。政府としては、本法案に基づき、具体的にいかなる技能教育を講じようとしているのか、また再就職あっせんなど雇用不安に対する具体的施策についてどのように考えているのか、政府の考えを答弁いただきたい。

 第五に、最も憂慮されることですが、沖縄県を初め岩国市、座間市、在日米軍再編のかなめとなる自治体における受け入れ合意がいまだに得られておりません。まさに防衛省移行が実現した今こそ、防衛省の組織と能力をフルに発揮して、地元への説明、調整に最大限の努力を傾注し、関係自治体の受け入れ合意が得られることを切に希望するものでありますが、地元との調整の見通しとそれに取り組む決意について、防衛大臣の答弁を求めます。

 最後に、本件法案は抑止力の維持にかかわるものでありますが、抑止は安全保障問題のコインの一面であり、もう一つの面は、言うまでもなく対話であります。抑止なき対話も、対話なき抑止も平和の維持に失敗してきたこと、抑止と対話の賢明なバランスこそ持続的な平和の構造を構築する基本であることは、歴史の教えるところであります。

 昨年九月三十日に行われた公明党大会で採択された新宣言において、我が国はアジアとの共生、統合を進めるとともに太平洋のかけ橋となることを目指すべきことを打ち出しております。二十一世紀のアジア太平洋地域において、我が国としてどのような安全保障対話を進めていくのか、日米と中国との戦略対話と信頼醸成、ASEAN地域フォーラムの活用、六カ国協議における北東アジア安全保障メカニズム等についてどのように考えておられるのか、外務大臣並びに防衛大臣の御見解をお聞きして、私の質問を終わります。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣久間章生君登壇〕

○国務大臣(久間章生君) 遠藤議員にお答えいたします。

 まず、海兵隊のグアム移転の必要性についてお尋ねがありました。

 在沖海兵隊のグアム移転は、在日米軍の抑止力を維持しつつ、在日米軍基地が集中する沖縄の負担を軽減し、在日米軍の再編の一環として、我が国外交の基軸である日米同盟の信頼性の強化につながるものであり、ぜひとも実現しなければなりません。

 次に、米軍の変革と我が国の安全保障体制についてお尋ねがありました。

 米国は、安全保障環境の変化や軍事技術の進展に合わせ軍の変革を進めており、その一環として、世界的に展開する米軍の態勢も、テロなどの新たな安全保障上の課題に適切に対処できるよう見直しを行ってきております。在日米軍の再編は、この一環であると同時に、我が国にとっては、抑止力を維持しつつ、地元負担の軽減を図るものであり、その実施を通じて、日米安保体制は一層確固たるものとなり、ひいては我が国の平和と安全をより強固にするものと考えております。

 次に、再編交付金の交付の仕組みを導入した理由についてお尋ねがありました。

 再編交付金は、米軍再編により負担の増加する市町村に対し、米軍再編を円滑に実施することを目的に交付するものであることから、再編の実施に向けて事業が進捗した場合に交付額も増額する仕組みとすることにより、目的に沿った交付の仕組みとしたものであります。

 次に、出資、融資の回収期間及び不良債権化するリスクについてお尋ねがありました。

 現時点では、日米間で協議中であるため確たることは申し上げることはできませんが、例えば家族住宅については、米国の事例を踏まえれば、家族住宅の建設から維持管理を行うことから、事業期間は五十年程度になると考えられます。また、長期間にわたる資金回収により出資や融資が確実に回収されるよう、引き続き事業スキームや所要経費を精査してまいります。

 次に、本法案に基づく技能教育、また再就職あっせんなど、雇用不安に対する具体的施策に関するお尋ねがありました。

 米軍再編の雇用に及ぼす影響が明らかでない現時点において確定はいたしておりませんけれども、雇用の継続に資するよう、例えば、特殊車両の運転、パソコンなどの技能教育訓練を講ずる所存であります。

 また、再就職等の施策についても、離職前職業訓練を初めさまざまな施策について、関係省庁と連携しつつ努力する所存であります。

 次に、米軍再編に係る地元調整についてお尋ねがありました。

 地元の理解と協力を得つつ、米軍再編を円滑かつ早期に実現していくことが極めて重要であります。政府としては、現在提出しております再編特別措置法案の御審議を踏まえ、地元に対し同法案の内容等について御説明するとともに、今後とも、地元の切実な声によく耳を傾け、地域の振興に全力を挙げて取り組むことなどにより、米軍再編を着実に進めてまいります。

 最後に、アジア太平洋地域における安全保障対話についてお尋ねがありました。

 防衛省としては、同地域の平和と安定のため、米国とも連携しつつ、中国等との二国間の交流やASEAN地域フォーラム等の多国間による枠組みの活用等を通じて、各国との信頼、協力関係の増進に努めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

○国務大臣(麻生太郎君) 遠藤先生より三問ちょうだいしております。

 まず、在沖海兵隊のグアム移転についてのお尋ねがあっております。

 在日米軍再編の協議におきましては、グアム移転により、抑止力を維持しつつ、沖縄の地元負担の軽減を図ることができるとの認識を日米間で共有するに至っております。議員御指摘のとおり、グアム移転はこのような重要な意義を有しておりまして、日米安保体制がより一層強固、確固たるものになると思っております。政府といたしましては、その着実な実施に向けて、米側と引き続き緊密に協議を進めてまいる考えであります。

 次に、米軍再編の意義についてのお尋ねがありました。

 米国は、軍事技術の進歩を背景に、より機動性の高い態勢というものを実現すべく、世界規模での軍事態勢の見直しを行っていると承知をいたしております。在日米軍再編は、米国のかかる取り組みの一環であると同時に、我が国にとりましては、抑止力を維持しつつ、地元負担の軽減を実現するものと思っております。これにより、日米安保体制は一層確固たるものとなり、ひいては我が国の平和と安全をより盤石にすることができると考えます。

 最後に、二十一世紀のアジア太平洋地域における安全保障対話の進め方等についてのお尋ねがあっております。

 この地域の平和と安定のためには、日米同盟を基盤としつつ、同地域における米国の存在と関与を前提に、二国間及び多国間の対話の枠組みを重層的に整備、強化することが現実的であり、適切な考え方だと考えております。我が国は、今後とも、米国、中国、韓国などとの安全保障に関する対話を行い、双方の信頼関係を進展させるよう努めてまいります。また、アジア太平洋の主要国が参加をする全域的な政治、安全保障の枠組みであるASEAN地域フォーラムに積極的に関与をしてまいります。

 さらに、六者会合は、北朝鮮の核問題を、我が国を含む北東アジアの安全保障を確保しながら、平和的に解決する上では最も現実的な枠組みだと考えております。この枠組みのもとで、北東アジアの平和及び安全メカニズムに関する作業部会が設置をされ、先般、第一回会合が開催をされました。日本といたしましては、この作業部会を含みます六者会合の枠組みが域内の信頼醸成を促進する上でも有益なものとなりますよう、積極的に関与を続けてまいりたいと考えております。(拍手)


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