第165回国会 安全保障委員会 第6号


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平成十八年十一月九日(木曜日)
午前九時二十五分開議



○遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 長年の懸案でありました防衛庁の省昇格法がやっと審議の段階に入ったわけでありますけれども、去る十月二十七日に本会議で趣旨説明をやり、随分時間がたって、やっと本日から委員会審議に入ったわけでございますけれども、大変残念なことに、民主党並びに社民党の委員の方々の出席がないということで、大変遺憾な事態であると思っております。委員長や今津筆頭を初め、大変丁寧に、また努力をされてきたわけでありますけれども、また、野党側の要求であります防衛施設庁の問題の審議にも、ほぼ全面的に譲歩といいますか配慮したわけでありますけれども、そうしているにもかかわらず、事実上のこういった審議拒否というのは大変遺憾な事態でありまして、ぜひとも、さらに民主党並びに社民党の委員の出席を強く求め、また委員長におかれても、出席につきましてさらなる働きかけを行っていただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。

 私どもも、防衛庁の省昇格、大変重要なことであるし、また必要なことであるとよく理解をいたしております。しかしながら、国民の間には理解がどこまで浸透しているかというのは、必ずしもまだ十分でないところもありまして、そういった意味で、国民の方々への説明責任というのは大変重要なことであるかと思っております。

 私も、実は安保関係の委員会は出たり入ったりしておりまして、どういうわけか、いつも節目に、自衛隊・防衛庁関係の重要な法案審議のときにいつも何かやらせていただいておりまして、PKO特別委員会のとき、またガイドライン特別委員会のとき、また今回が三回目になりますけれども、そういっためぐり合わせになっておりまして、久間長官とも大変長いおつき合いをさせていただいております。よろしくお願いをしたいと思っております。

 私も、特にPKOのときに大変感じたのは、やはり防衛庁・自衛隊関連の重要法案は、特段に説明責任が大事だということを本当に痛感をしました。もちろん、すべての法案、政策については説明責任が民主主義国家にとっては大事なことは言うまでもありませんけれども、特に自衛隊・防衛庁にかかわる重要法案というものは何倍も、よほど努力し、説明責任を誠心誠意果たさないと国民の理解を得られないし、また、真剣に、誠心誠意やっていけば必ず理解をしていただけるという確信も持った次第でございます。

 とにかく、私も振り返ってみると、PKOのときは特に大変だったと思います。激しい拒否反応といいますか、まだPKO自体が何かあたかも戦争に参加するようなイメージを持たれておりまして、青年よ銃をとるなとか、大変いろいろなキャンペーンがなされまして、また牛歩戦術があったことを思い起こします。また、ある有力政治家も、本会議場で衛視の方に排除されるまでPKO反対を叫んで、その後、あたかも自分がPKOを推進しているようなことをおっしゃっている方もいらっしゃいますので、そういった意味では、やはり……(発言する者あり)名前は言いませんけれども。ぜひ、そういった説明責任はしっかりと果たしていく必要があるかと思っております。

 特に、私自身、個人的な経験を申しますと、PKOのとき沖縄に参りまして説明会をやりました。多くの方々の前で一時間ほど、なぜPKOが必要かということを説明し、一時間ほど質疑をやったんですけれども、もう質疑の段階で大変な激しい反発といいますか、批判に遭いました。特に、ひめゆり部隊ではないんですけれども、同じような境遇に置かれて、九死に一生で生き残った老婦人の方が、戦争の体験のない者、悲惨な体験のない者に何がわかると怒られまして、ヤマトンチュには沖縄の心はわからぬと大変一喝をされまして、私も大変恐縮した次第であります。

 しかしながら、その場で、その方に、今沖縄の心とおっしゃいました、PKOというのはまさに沖縄の心を体現した活動なんですということを申し上げまして、いかにPKOというものが、そういった戦争が終わった後の状況をさらに安定化して、真に住民の安全と平和を確保していくかということをるる御説明申し上げましたところ、最終的には理解を示していただきまして、私はすべてを理解したわけではないが、あなたがそこまで言うのなら私は支持しましょうという言葉を聞いて、大変私は感激して、政治家をやっていてよかったなと初めて思った状況でございます。

 そういった意味で、我が国の防衛にかかわる安全保障、本当に実は、過去の戦争体験もあり、また被爆体験もあり、いろいろなことがあって、国民の間にはさまざまな懸念があり、またトラウマがあるわけですから、そういったことを十分に踏まえた上で、同じ気持ち、感情を持った上で誠心誠意説得に当たるということが何よりも大事かと思っておりますので、ぜひともそういうつもりで審議にも当たっていきたいと思っているところでございます。

 特に、説明責任という点では、なぜ省昇格が必要なのか、なぜ今なのかというメリット、問題点をよく説明するとともに、特に懸念が非常に内外に多いわけです。日本の過去の近代の歴史の中からいって、内外の多くの人々が懸念も持っていることは現実でありまして、これに対して、内外ともに説明責任を果たす必要があるかと思っております。

 特に、まず、この必要性という点でございますけれども、先ほども長官から、政策官庁としての整備、これは大変大事な視点でありまして、まさに今まで、特に防衛施設庁なんかは、事務としてやってきたことをやはり政治として、政策として本当に取り組まないと困難な問題がなかなか解決できないということでありまして、まさに長官の御指摘は、私は大変共感を覚えるものでございます。

 もう一つは、モラールサポートといいますか、モラールインセンティブといいますか、実際にこういう困難な任務に当たる防衛庁または自衛隊の方々に対して、やはり政治の立場から、国民の立場から、プライドと強い使命感を持って当たっていただきたいということ、またその役割の認知と評価をしていくことが大変重要な意味を持つということで、モラールサポートの側面も大変大事な法案の側面ではないかと思っております。

 特に、昨今、自衛隊につきまして、存在する自衛隊から機能する自衛隊へという言葉があって、これは非常に適切な表現だなと私は思っております。自衛隊の根本的な性格が変わるわけではありませんけれども、その重要性はやはり格段に増しておりまして、それを表現する言葉として、かつての東西冷戦時代の、存在することに意味があった自衛隊から、今、現在のさまざまな環境変化の中での機能する自衛隊へと変貌しなければならないことは、これは大変適切な表現であると思っておりまして、こういった点を特に具体的に国民の方々に説明していくことが大事じゃないかと思っております。

 例えば、国民の目から見ると、一番自衛隊を身近に感じ、また頼もしく思うのは、災害派遣だと思いますね。こういった点も、随分、もう数え切れないほどの出動があり、また、国民の間からも本当に高い評価を受けているわけでありますけれども、実は、こういった災害派遣の出動回数はこれからますますふえるであろうと私は予測をしております。

 一つは、地球温暖化からくる異常気象ですね。つい最近も竜巻がありましたし、異常気象が頻発をしておりまして、こういった中で、どう国民の生命財産を守り、その中で自衛隊として役割を果たすか、これは大変大きな期待が高まっております。

 また、地震という側面も忘れてはならないわけであります。特に一九九〇年代半ばから、奥尻島地震あたりから、日本列島全体が地震の活性期に入っていると言われておりまして、今後数十年にわたって、従来よりも多くの重大な地震が発生する可能性が高いと。例えば、首都圏におきましても、今後震度七以上の直下型地震の来る確率が、三十年以内には七割、五十年以内には九割といった大変高い確率予測がされております。

 こういったことも踏まえて、災害派遣も大変重大な要素であって、これについても自衛隊・防衛庁が最大の任務を果たしていくということも、よく国民の皆様方に説明をされることが必要かと思っております。

 また、国際協力の面でも、先ほどからも長官が言われているように、日本の特に平和維持活動への実績また期待は高まっておりますし、特に、日本が率先して役割を果たしたカンボジアのUNTACは大変大きな成功に終わりまして、今やカンボジアは、新生カンボジアとしてASEANにも加盟し、平和が戻り、日本に、また日本のPKOに対して本当に高い評価をしているわけであります。ぜひともこういったこともさらにアピールをしていただければと思っております。

 とともに、安全保障環境も大きく変わってまいりまして、かつての東西冷戦時代から、今、地域の問題、核拡散の問題、大量破壊兵器の問題等になってまいりました。また、いわゆるテロリズム等新しい事態に直面しておりまして、地政学的リスクが非常に現実のものとして高まり、脅威というものが出てきているわけであります。そういったものに対しても、やはり政策官庁として高い意識を持って、防衛省となり、また自衛隊が取り組んでいただくことは極めて重要な問題でありますので、ぜひともこういったことをしっかりとアピールしていただければと思っているところでございます。

 そこで、国民に対する説明の努力ということでお伺いしたいんです。

 ことしも既に防衛庁として各地で説明会を行った。我が党の東順治議員もこういったことの必要性を強く訴えられまして、それが実ったものと思っておりますけれども、そういった努力を含めて、防衛省への昇格ということについて、どのような努力をし、どのような国民の意見、懸念が寄せられたか、そういったことにつきまして、これは政府の方から御説明いただければと思っております。

○西川政府参考人 お答えいたします。

 説明責任について、先ほどもほかの先生から御質問がございましたが、二十九万部のパンフレットをつくって国民の皆様方に配布したということでございますが、もう少し詳しくブレークダウンさせていただきたいと思います。

 この際に、大小二種類つくりました。また、先ほど、いろいろな地方で先生方は有識者として住民に接しておられる場があるというふうにもお聞きしました。そういうことで、もし御必要であればどんどんそれを提供いたしますので、説明等の際にも御利用していただくよう申し出もいたしました。そういうことで、大分先生方にもお使いいただいたということで、我々はその点も大変感謝申し上げております。これは、その他、当方の外郭団体等も通じて、大分各地方もまいておるところでございます。

 それから、ほかに、先ほど申しました地方説明会ということを四回やって、近くもう一回、五回目をやりますという御説明を申し上げました。これは実は、我が防衛庁といたしまして、法律が成立する前にこういう格好で説明したことは、今まで余り経験がなかったということで、当初我々も戸惑いがございまして、与党の先生方のいろいろな御意見を拝聴しました際に、果たして我々にできるのかなという感じもございましたが、とにかくやってみようという形で、やりました。各地で、タウンミーティングという形ではございませんが、本当に説明会ということで、やはりそこから始めようと。

 ターゲットをどこに置こうかということで、できるだけそこから伝播していくようにということで、地方公共団体の方々に広く話を持ちかけました。それからまた、マスコミの方にも、広く、できるだけ地方のマスコミの方に来てくださいということで、そういう意味では、テレビあるいは新聞の記者の方等が加わりまして、いろいろ私もぶら下がりの取材を受けたりもいたしました。

 いろいろな意味で、住民の方から、直接お話しした際にも、これまで中央でやっておるというのは聞いたけれども、こういうところでやってもらって、きょうはいろいろ、大分すっきり話がわかりました、こういう問題を考えるに際して非常にいい情報をもらった、こういうふうなお褒めの言葉をいただいたり、あるいは質問の中で、先ほど先生から、一時間で非常に感銘を与えるようなお話をされたという事例を賜りました。我々はそこまでいきませんで、二時間かけてやったんです。二時間かけまして、仕組みとしましては、当初、我々の方から、こういう法案でございますと説明をし、また、特に今回、国際平和協力活動をこういう格好で本来任務化するということでございますので、これまでPKO等の現場で苦労した自衛官にも来ていただきまして、約二、三十分の話をしていただきました。その後、質問を皆さんから出していただきまして、時間の制約がございますので、それにできるだけ答えるという格好で話しました。

 その中でも、やはり、本当にこれで隊員の人はどんなふうに思っているんだとかいう質問が出まして、それに対して、説明にたまたま来ておった自衛官の方が、私はこんなふうに思っています、士気としては非常に上がる、部下の感じからしてもそういうふうに言えますというような話を直接していただいたり、非常にいい事柄のやりとりがあったのではないか、こういうふうに考えております。

 我々は、これからもできるだけこういう機会を、あるいはいろいろな場に、あるいはいろいろな出版物等を出版される際にも、御入り用であればどんどんそういう資料を提供しながら、できるだけ多くの国民の方にわかっていただけるような努力を続けていきたい、こういうふうに思っております。

○遠藤(乙)委員 私も、この説明会で、特に現場の自衛官の体験が非常によかったというふうに聞いております。ぜひとも、これからも、そういった平和維持活動へ参加した隊員、あるいはまた災害派遣の隊員の体験談等を多目にやっていただいて、現場の自衛官とのそういった交流体験をやることが国民の方々にも理解をいただく大事なことだと思いますので、その点、ひとつ御努力をお願いしたいと思っています。

 次に、懸念の問題について、国民の方々の間に、意外に根強い懸念として徴兵制という問題があるんですね。結構壮年の方が居酒屋談義で、これが防衛省になるんだろうけれども、間違いなくこれから徴兵制になるよとか、かなり確信を持ってそういった発言をされている方が結構おられまして、意外とこの徴兵制という問題は、国民の間では随分根深い懸念として存在するということは現実でございます。

 今の制度は志願制になっておりますし、徴兵制ということはないとは思いますけれども、そういった懸念に対して、また徴兵制というものをどう考えるか、またそれは今後どうなのかを含めまして、これは長官にお答えいただければと思います。

○久間国務大臣 本当にまず考えられないことですけれども、徴兵というのは法律によらなければまずできませんし、その法律をつくるのは、憲法上問題がないということがはっきりしないと法律もつくれないわけでありまして、我が国の今の憲法からいって、そういうのは非常に難しいというよりも、ちょっと不可能じゃないかと思うわけですね。

 今の憲法では、義務としては、納税の義務はちゃんと明記してありますけれども、兵役の義務というのはないわけであります。また、いろいろなほかの条文のどこを読んでみても、本人の意思に反して兵役を課すということは、これは今の憲法上は非常に難しい。ましてや、その法律すらない。

 そういうときに、防衛庁が省になって、そんなことは考えられないわけでありますので、どうかその辺は、ここにおいでの皆さん方も、その話が出た場合は、今私が言ったようなことを国民の皆さんに、それは全く考えられないことであるということを声を大にして言っていただきたいと思うわけであります。憲法上も難しい、法律もない、そういう中でそういうようなことは考えられないということを、ぜひ言っていただきたいと思います。

○遠藤(乙)委員 そういうことで安心をしておりますけれども、憲法上も法制上もそれはもうほとんど無理、困難、不可能ということなので、明確に説明をいただきましてありがたく思っております。

 ただ、現実の国民の意識、特に、情報が不十分であり、なかなかこういった説明会にも来られないような人がほとんどなわけですから、現実には、国民にはそういう懸念が非常に強いということは認識の上で対処するということが大事でありまして、事務的な難しい話よりも、まず徴兵制はないというようなことを冒頭おっしゃった方がわかりやすいのかなということもありますので、そういう説明の工夫、重点の置き方もぜひ考えていただければと思っております。

 それから、軍事大国にならないというのは我が国の国是でありますし、いろいろな形でこれが制度化され、政策上もこれがしっかりと明示されておりますけれども、改めてやはり国民の目から見ると、防衛庁が省になるということは、これは軍事大国化の出発点ではないか、象徴ではないか、漠然とそういった危惧があることは事実でございます。

 そういった点で、まず軍事大国とはどういうものかという考え方、それからさらに、今の日本、我が国は、防衛庁・自衛隊は決してそれを目指すのではないということも明確にひとつ御説明をいただければと思います。

○久間国務大臣 やはり、軍事大国になるんじゃないかという懸念は、戦前の軍部が独走した、そういうことを念頭に置きながら皆さんおっしゃるんだろうと思います。やはり戦前の軍部の場合は、陸軍大臣、海軍大臣という、いわゆる内閣の統制下からやや外れて天皇の統帥権のもとに独立したような、そういうことがあった、それが非常に大きかったわけであります。

 しかしながら、我が国は、憲法のもと、議院内閣制をとっておりまして、そしてシビリアンコントロールがきちっとしておって、そして国会できちっと予算とか法律とかそういうのができて、それに基づいて自衛隊といえども執行されるわけであります。

 やや、最近、国会で聞いておりますと、国会の承認を得ることがシビリアンコントロールだというようなことを盛んに言われる若い人等がおられます。それはまた違った意味で間違っているわけでありまして、そういう軍部が独走しないような制度を議院内閣制のもとにつくっているというのが本来シビリアンコントロールでありますから、一々国会の承認をとればいいというようなことじゃないわけであります。政府の執行そのものが、やはり予算あるいは法律、そういうのに基づいてきちんとする、そしてそれをつくるのは立法府がきちんと機能するということで、そこのところをきちっとしておけば、私はそういうことにはならないと思います。

 いずれにしましても、やはり我が国の場合は、今度防衛庁が省になりましたとしても、防衛庁が今度は省になってやはり財務省に概算要求を出して、そしてまた、現在の制度でありますと、財政諮問会議その他の議を経ながら今度は内閣として予算を決定してやっていくわけですから、その限られた予算の中でいろいろな装備も行っていくわけでありますので、決して軍事大国にはならない。

 それよりも、今は、これだけ借金のあるところでございますから、むしろその制度で、逆に言えばもう少し今の状態でやらせてもらいたいというのが、毎年削られていくぐらいの厳しい状況でありますので、軍事大国になるようなことは絶対ないということを、先ほどの地方説明会等でも私たちも声を大きくしていきたいと思っております。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

○遠藤(乙)委員 国民の間に、今、軍事大国化の懸念があることも事実であって、やはり戦前の歴史のトラウマがあるということは間違いない事実だろうと思います。

 私、思うんですが、第二次大戦までの日本の軍事的な歴史を見ると、むしろ近代化の初期というのは、日本の軍事、軍隊というのは国際的に非常に評価されていたんだと思うんですね。それがある時期急に変わっていった、ここら辺の部分が、なぜそうなったのかということをぜひともよく反省、分析をし、そうならないような歯どめをかけるのが大事じゃないかと思っております。

 特に、日本軍の場合も、日清戦争、日露戦争ぐらいまでは、むしろ、戦時国際法の遵守あるいは捕虜の待遇等で極めて模範的なコンプライアンスといいますか活動をし、また、非常に貧弱な装備にもかかわらず、大変高い士気、規律を持って、国際的にも、さすが武士道の国と言われた時期だったのが、第一次大戦ごろを境に、急にこれが、軍部の独走、それから非人道的なこともする、特に大陸において近隣国に迷惑をかけた、それは今に至るまで大きな負の遺産としてのしかかっているわけであって、そこら辺を、なぜそうなったのか、なぜブレーキがきかなくなったのかということはよく反省、分析をし、今後もそうならないように最大限の努力をすることが大事ではないかと思っているところでございます。

 ぜひともそういった意味で、賢明な長官、初代防衛大臣になられるわけでありましょうから、そこら辺の模範といいますか規範をしっかりとおつくりいただいて、むしろ、最も防衛省・自衛隊が士気が高くモラルが高い、そういう集団にしていただければと思っております。今、日本全体で、規範意識の崩壊、モラルの崩壊が大変深刻な事態になっております。むしろ、そういった日本人としてのモラルの再建、模範となるような集団をつくるべく、初代大臣になられるでしょうから、ぜひその点、最大の御努力をお願いしたいと思っているところでございます。

 それから、非核三原則につきまして、これも国是でございますけれども、どうも昨今、一部の与党有力政治家が、こういったことに対して疑念を持たせるような、また印象を与えるような発言がるるあるわけであります。もちろん言論は自由ですから封殺すべしというわけではありませんけれども、やはり、それなりの立場にある方がそういったことを発言するといかなる影響を持つかということも考えて行動していただきたいわけでありまして、要するに、そういった点では遺憾に思う次第でございます。

 ぜひ、この点につきまして、非核三原則の堅持ということ、また与党有力政治家のそういう発言に対しまして、久間大臣の御見解をお願いしたいと思います。

○久間国務大臣 日本は、非核三原則ということで戦後ずっとやってまいりました。そして、それがまた近隣諸国との関係でも非常に信頼されて、今日のこういう状態が続いているわけでございますから、私は、これはいい選択だったんじゃないかな、自信を持ってそう思っているわけであります。

 最近、いろいろな方々がお話をされます。しかしながら、よく聞いてみますと、その人たちも、今とっている政策は正しいということを前提にした上で、ただ、なぜそれをやっているかということについてはもう少し知らしめなきゃいけない、そういう思いもあって言っている面もあるわけですね。ところが、それが核保有すべきであるかのような議論になっているというのは非常に残念なことでありますから、私は、こういった方々に、とにかく誤解のないように、もう少し上手にちゃんと自分の意思を言ってくれというようなことを最近言い始めました。

 そして、皆さん方も、私とほとんど変わらないわけでありますから、変わらないのに、何か、さも核武装すべきである、核保有すべきであるかのようにとられるというのは、その辺はちょっと不徳のいたすところ、だから、いろいろと言い方は慎重にならぬといかぬなというようなことを言っておられます。

 決してそういうような議論じゃない、持つべきだというような議論じゃないわけでありまして、やはり日本は非核三原則は堅持するのが一番いいんだという前提に立ちながら、最近の皆さん方は、なぜ日本が非核三原則を言い始めたか、そういう経緯も知らない方もおられるから、そういうところから説き明かしながらきちんとしていった方がいいんだ、だから、そのためには、最後の結論はそういうことであるならば、かえって議論をすることの方がいいんじゃないかという思いを込めながら言っておられる点もありますので、そこをもう少し丁寧に言った方が誤解を生まないんじゃないかというようなことを、私はそれとなく親しいみんなには言っているわけでございますので、そういうことはだんだん理解されてくるんじゃないかなという思いがございます。

○遠藤(乙)委員 確かに意図はそうかもしれませんが、やはり説明の仕方が余り上手じゃないと誤解を与える。それにしては非常に重大な説明責任の問題でありますので、その点はぜひ長官からも厳しくひとつお伝えいただければと思っているところでございます。

 続いて、防衛費の問題も先ほどお触れになられました、防衛費がこれで増大するわけじゃないとおっしゃっておりましたけれども、他方、環境庁の場合は、庁から省になったことで三倍近くふえているわけですね。庁の時代には、年度予算が約八百六十億円だったのが、平成十二年度以降、おおむね二千から二千七百億円で推移しておりまして、二倍、三倍という数字になっております。これは、もっとも、厚生労働省から廃棄物行政が移管されたことが実は非常に大きいんですけれども。これがなければそんなに大きな変化がないはずなんですが、やはり国民の間には、防衛省昇格によって一気に歯どめがなくなって、防衛費の拡大に突っ走るだろうという懸念もあります。

 改めて、この点につきまして、そういうことはないということを大臣の方から詳しく御説明いただければと思います。

○久間国務大臣 環境庁から環境省に行ったのは、厚労省もありますけれども、林野庁から鳥獣保護関係とか、いろいろな点で移った点がございますし、それと、時代背景として、環境省の予算は余りにもやはり、従来は監督官庁としてのそういう分野だけでしたけれども、もっともっと大きくなってきているわけですから、私は、こういうことを言ってはなんですけれども、今でもむしろ少ないんじゃないかなと思うぐらいで、それは時代の背景だと思います。

 防衛庁が省になりましたとしてもこれは関係ないわけでありまして、それは、やはり中期防で、あるいはまた防衛大綱でそういう大枠を決めた上で、その中で、しかも、先ほど言いましたように、毎年の概算要求で、今、大きな骨太の方針も決めながらやっていくわけでございますから、決して、防衛庁が省になって、口の悪い人は焼け太りだというようなことを、そういうことには絶対ならないように、それは十分気を引き締めて注意してやっていこうと思いますから、そういうような意味では、御懸念はないようにしたいと思っております。

○遠藤(乙)委員 長官の御説明を聞いて大変安心しております。ぜひその方向を強く堅持していただければと思っております。

 続いて、この説明責任は国内だけではなくて国際的にもあるというふうに私は強く思っております。特に、日本の過去の歴史から見て、中国、韓国等の近隣諸国、アジア諸国は、やはり、防衛庁から省への昇格に当たって、非常に懸念があることは事実です。いろいろな外国ジャーナリストが参りますけれども、ほとんどの方が、この防衛省昇格問題に今非常に懸念を持っていて、鋭く質問をしてくるわけなんです。

 こういった上からも、ぜひ近隣諸国に対して、近隣諸国のみならず、ほかの国も含めて、決して軍事大国になるものではない、何も防衛の基本は変わることはないということを、最大限これは説明責任を果たす必要があるかと思っております。

 そういった意味で、まずは、今まで、この防衛省昇格問題について、周辺諸国の反応、またそれに対してどういう努力をしたか、あるいは、これからどういう努力をするかということにつきまして、これは政府委員でも結構でございますので、お答えいただきたいと思います。

○西川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの国内についての説明責任ということでございますが、我々につきましても、周辺のいろいろな諸国に対する説明はあわせてやろうということを心しております。

 ただ、基本的なところでは、周辺の諸国はすべてが省ないしはもう既に部と申しますか、ミニストリーあるいはデパートメントになっておりますので、ここで我々が庁から省に上がったという形になっても、そのあたりに大きな驚きというのはないんじゃなかろうかという感じがいたしております。

 いずれにしましても、我々としては、基本方策は変わらないということをしっかりと伝えるという、従来どういう形でやっていったかといいますと、先ほど申しましたことしの防衛白書、英文でできておりますが、そういうものの中に英文でしっかりと書き込んであるということ。それから、安全保障の対話あるいは防衛交流というのがございます。この機会にいろいろ話題として取り上げていただいてお話をしておる、こういうこともございます。

 それから、例えば当方の大臣等が各国の幹部と会いましたとき、具体的に申しますと、ことしの七月、日中安保対話でございますが、この際にもこれを話題にしていただいて、あるいは、ことしの八月にインドネシアとの防衛首脳会談がございまして、このときにもお話ししてもらいました。それからあとは、ニュージーランドの国防大臣が来られたときにも、これもまた話題に上げていただいたということでございます。

 そのほかに、ことしの六月二十日でございますが、在京の駐在武官、これは現在約五十カ国ございますが、この駐在武官の皆さん方を集めまして、そこで防衛庁の省移行についての説明会をしっかりさせていただきました。それに応じて幾つかの国からは、さらにその人たちから資料要求とかいうのが来ましたけれども、それは特段、防衛省になるということに対して、うちはとんでもないというような、そういう発言とかいうのはございません。

 今のところ我々が聞いておるのでは、庁が省に移行するということに対して反対だというふうな話は聞いておりません。

○遠藤(乙)委員 今お話にありましたが、特に私、防衛交流、これは実は、実際的に説明するには大変大事なポイントだと思っております。背広組、制服組を問わず、やはり防衛担当者が直接交流し、直接お互いの体験をし合うということは大変重要な、信頼醸成上の非常に基盤になると思っておりまして、これは特に力を入れてこれから進めていただきたいなということを強く要望したいと思っております。

 特に中国、韓国、本当に、向こう側も実は期待をしているわけでして、やっと最近首脳間交流が復活をいたしましたので、今後、この流れをさらに強めて、特に安全保障、防衛交流の面は格段の力を入れて、護衛艦の訪問等も含めまして、進めていただくようにお願いをしたいと思っておりますので、この点もぜひお願いをしたいと思います。

 続いて、時間もございませんが、一つ、基地問題の取り組みですね。これはやはり、先ほども長官が、政策官庁として非常に重要な問題ということをおっしゃっていました。防衛施設庁ということではなくて、やはり防衛省として、特に政策的な考え方をしっかりと持って、立場を持って交渉していくことが大事だということをおっしゃったかと思いますけれども、この基地問題、本当にこれは重大な問題だと思います。

 特に沖縄の方にとっては、なぜ沖縄だけがこんなに集中しているのかということ、かつての沖縄戦の経験もあり、軍事ということにトラウマがあることはよくわかることですけれども、本当に沖縄の心に立って、沖縄の方々の同じ気持ちを共有しながら基地問題に当たるという姿勢が非常に大事じゃないかと思っています。

 そういった意味で、防衛省に昇格していった場合に、さらにこの基地問題にどういう決意で、どういう姿勢で取り組んでいくか、これにつきましてもお答えをいただきたいと思います。

○久間国務大臣 防衛庁が省になる場合に、それをきっかけに、やはり地元の皆さん方にもまた説明をしますし、また逆に、地元の皆さん方の声もできるだけ吸い上げる、そういう努力をしなければいけないと思っております。

 ただ、御理解いただきたいんですけれども、私は、前回防衛庁長官になりましたときに、やはり沖縄の基地問題をできるだけ解決しようということで、一〇四号線を越えて実弾演習をやるものを本土で分担してもらいたいというときに、本土の各地で全部反対でした。そして、それをずうっとお願いして回って、それをもう全部本土で演習を受けてもらいました。

 そういう形で少しずついっているわけでございますが、どうしても、基地反対そして県外移転という、それだけでずうっと言われておりますと、全くとまってしまうケースだってあるわけであります。

 例えば普天間の場合も、あれを、とにかく県外移転だ、県外移転だと言っておりますと、米軍の方はとにかくやはり訓練のための施設は必要なんだ、あるいはまたそのための機能を残さなきゃならないという思いがありますと、どうしても、県外移転というと、県外できちんとできればいいですけれども、そういうことができない場合はそのままの状態で、私が就任してその問題を担当し始めて、十年間動いてないわけですね。

 だから、そういう点では、一歩ずつ、足はのろいかもしれないけれども、きのうよりもきょうはよくなったというような、そういう形でやっていくこともこれは必要なわけで、少しずつでも前進すれば、もう戦後五十年たって変わらないんじゃなくて、少しずつ前進ができるわけでありますから、そういう点では、私は、そういう形での妥協と言えば言葉は悪いですけれども、少しでも前進をするような、そういう形で何か処理できないか、そういうことを考えていただきたいな、そういう思いも実はあるわけです。

 今度、例えば嘉手納にあります米軍の戦闘機の訓練を、本土でも四カ所、五カ所で分散しながらやってもらうという、これまた受けるところは反対も結構あるわけでありますから、そういうところも、ちょうど一〇四号線と同じように私自身はお願いに回らなきゃいかぬ、そう思っておりますけれども、それとても、みんなが引き受けてもらえばそれだけまた嘉手納の痛みは減るわけでありますし、また、今度、海兵隊が移転できるように普天間の移設がもしできたとすれば、それをきっかけにとにかく嘉手納以南の施設がそっくり返ってくるわけであります。そういうことを考えるとかなりの前進になるわけでございますから、そういうことについて私たちももちろん説明をしなきゃなりませんが、説明をまた聞く耳も持っていただきたい、そういう思いの中でこれから先取り組んでいこうと思っているわけであります。

○遠藤(乙)委員 この沖縄の基地問題は大変難しい問題であることは我々もよく承知をしております。ただ、従来の対応が、事務として、行政としてやってきたけれども、政治として本当にかかわったかというと、ややちょっと疑問が残るわけであります。

 やはり、本当にこの沖縄の人々の痛みを理解し、また日米同盟を維持していくためになぜ必要なのかという説明責任、あるいはそれに対する補償とか、いろいろな形でやはり政治が本気になってリーダーシップを発揮すべき問題を、そういったことが十分なされていなかったんではないかという点が、長官は非常に一生懸命やっておることはよくわかっておりますが、これから省に昇格することによって、やはり政治という視点からもっとリーダーシップを持っていただく。久間大臣がやられればそれは前進すると私は確信をしておりますけれども、ぜひそういう視点から、沖縄の痛みをわかりつつ、また日米安保の重要性もよく説明しつつ、最大の努力をしていただくように期待をしたいと思っております。

 最後に、集団的自衛権の問題、これもやはり国民の間では強い懸念があります。これを機に一気に集団的自衛権にのめり込んでいくんではないかということも国民の大きな懸念の一つでありますが、そういうことは当然ないということだと思いますけれども、この点につきましても、省昇格がそういった集団的自衛権にのめり込むものではないということを改めて長官から御説明いただきたいと思います。

○久間国務大臣 庁を省にするという話と、憲法上の自衛権の問題をどう考えるかというのは全く別問題でありまして、私はかねがねこの委員会等あるいは予算委員会等でも言っているわけですけれども、ややもすると、集団的自衛権、個別的自衛権という二つに非常に分けてしまって議論する余りに、どっちの側からも、もう少し集団的自衛権を認めていいんじゃないかとか、そんな話が出てきやすくなるわけですけれども、本来はそうじゃなくて、日本の自衛権というのは、とにかく自衛権が行使できなかったら国が滅びる、そういう状況下においては自衛権は行使できるわけでありますから、峻別すること自体からスタートするんではなくて、憲法だけ残って日本が滅びるようなことはあってはならない、そういう発想に立ったらどこまでが許されるのか。

 アメリカがベトナムと戦争しているときにアメリカを応援するのが集団的自衛権なんて考えられないわけであります、ニカラグアを攻めておるときにアメリカを応援するなんということは日本の自衛権じゃないわけでありまして、そういうところをきちんと整理した上で議論してもらいたい、そういう思いがあります。

 それと同時に、もう一つは、国連に入ったときに、国連加盟の一員としてはどこまでのことを集団安全保障としてやはりやらなきゃならないのか。これは本来その時点で整理しなければならなかったのを、整理していない、未整理のまま来ているために、今、日本の憲法で禁止されていることはできないんですよということで、日本だけがやらなくてもいいという話になっておりますが、世界が、全部が賛成して、これはいかぬといってやろうというときに、果たして日本一国だけが憲法でできませんなんということが言えるのかなという、そこはまた別途の議論として議論をして、今、憲法改正のそういう作業が憲法調査会等で行われておりますから、そういうときには、やはりそこのところは議論をきっちりした上で、やれる範囲を見つける。

 これは集団的自衛権の話じゃないんじゃないか、国際警察権の話じゃないかなと思うことまでが集団的自衛権の議論でされているところに間違いがあるんじゃないかなと私は思っておりますので、そういうところは整理しながら、これから先議論をしたらいいんじゃないかと思っております。

○遠藤(乙)委員 私も、集団的自衛権と集団的安全保障は違うということはよく理解をしております。特に、国連の枠組みの中で、今度そういった集団的安全保障にどう日本も貢献するかという大事なこれは議論であり、今までほとんど手がつけられていない部分でありまして、これはぜひともきちっと整理して議論すべきじゃないかと思っております。

 また、国民の中には、集団的自衛権の言葉で日本がほかの地域の戦争に巻き込まれるという非常に大きな懸念があることも事実でありまして、この点は、きっちりと整理した、クリアな議論をしていくことが非常に大事なことであります。それも説明責任でありますので、それはやはり政治の側に、政府の側に、政治家の側に責任があるわけですから、最大の努力をしていただきますようお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。


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