第165回国会 文部科学委員会 第4号


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平成十八年十一月八日(水曜日)
午前九時四十分開議



○遠藤(乙)委員 おはようございます。公明党の遠藤乙彦でございます。

 私は、いじめの問題からお聞きしたいと思っております。

 今回、いじめ問題が発生をして、いろいろ調査をしている中でふと思ったのは、これだけ重大な社会現象、どこでもいつでも起こり得る、しかもかなり恒常的に起こってきている話でありますので、このいじめの防止対策にかかわっていくに当たって法的基礎が果たしてあるのかどうかということをちょっと考えてみたら、余り見当たらないという感じがいたしまして、これでいいのだろうかという問題意識を持った次第でございます。

 そこで、まずこれは文科省にお聞きしますが、いじめ防止対策にかかわる法的基礎は何かあるのかどうかということを改めてお伺いしたいと思います。

○銭谷政府参考人 いじめ防止対策にかかわる法的な基礎というお尋ねでございますけれども、まず、いじめの中でも、例えば暴力を伴うようないじめというものにつきましては、いわゆる暴行罪等の刑罰法規に触れるという行為になりますので、こういうものは当該法規に基づいて処罰がされる。同様に、金銭の強要といったようないじめがある場合も、法規に基づいた処罰等がなされるものと認識をいたしております。

 それから、学校教育上の体系といたしましては、こういういじめがあった場合には、児童生徒の懲戒処分ということの対象になるわけでございますけれども、高等学校はともかく、公立の義務教育諸学校におきましては、いわゆる退学等の処分ということがございませんので、実質的には、子供に対して訓戒をするというような対応をせざるを得ない。

 ただ、学校教育法におきまして、他の児童生徒、いじめられる児童生徒、こういった児童生徒の学習の権利を保障する観点から、いじめを行っている児童生徒に対して出席停止という措置はとれることになっております。現実に、この出席停止制度によりまして、いじめる児童生徒に対してこういう法的な措置を講じているという例もあるわけでございます。

 私ども、こういったいろいろな制度の適切な運用を含めて、学校としてこの問題に毅然として対応していく必要があると思っているところでございます。

○遠藤(乙)委員 私も、このいじめ問題を少し調べるに当たっていろいろ資料を読んだ中で、一つ参考になったのはスウェーデンのいじめ対策なんですね。

 これはスウェーデン在住の日本女性の書いた本で、「福祉先進国スウェーデンのいじめ対策」という本が出ております。二〇〇〇年に出た本でちょっと古いんですけれども、やはりスウェーデンも御多分に漏れずいじめが大変深刻である。家庭の崩壊、特に離婚が、二組に一組が離婚、最近では特に十組に六組が離婚というような、ますますひどくなっている。ほとんどが、片親の家庭が多くなっている。核家族すらも崩壊しているという状況。またあるいは、連れ子同士で再婚してまた子供が生まれて、非常に複雑な家族になっているということで、家庭環境が一般的にちょっと悪くなっているという状況があります。

 したがいまして、非常にいじめも深刻な事態になっているということでありまして、そういった中で、スウェーデンとしても、ここ二十年ぐらい一生懸命対応してきて、特に九〇年代に入ってさまざまな抜本的な施策を打って、これはかなり効果を上げているということで、非常に参考になったわけなんです。

 そういった意味で、まず法的な基礎を明確にしていくというのは非常に大事なことではないかと考えておりまして、例えば、このいじめ問題は、まず子供の人権問題として把握する必要があると思っております。

 特に日本の場合も、いわゆる国連の子どもの権利条約に参加し批准もしております。ここの第十九条に、締約国は、あらゆる形態の身体的、精神的な暴力、傷害もしくは虐待、不当な取り扱いまたは搾取などから児童を保護するためのすべての適当な立法、行政、社会教育上の措置をとると規定してあるわけですね。

 既に児童虐待防止法等もできておりますし、また、自殺防止法等も最近できたわけでありますけれども、こういった中で、特に子どもの権利条約に明確に規定されているわけでありまして、まさにいじめ問題はこれに該当するものではないかと思っておりますので、むしろ、本格的にいじめ対策、これほど深刻な社会問題を解決していくためにはやはり国がしっかりとリーダーシップをとって、法的な基礎、例えばいじめ防止対策基本法のようなものを制定していくことがまずは重要な取っかかりになるのではないかと私は考えております。

 この件につきまして、大臣の所感をお伺いしたいと思います。

○伊吹国務大臣 いじめ対策基本法的法律を例えば議員立法等でおつくりいただくということは、非常に有意義なことだと思いますが、先ほど馳先生の御質問にもありましたように、いじめをどう定義するかというのは、これは先生、やはり非常に難しいんじゃないでしょうか。特に、受けている方がそれをいじめと認識しても、いじめている方はそれをいじめと実は認識していないというケースがございますね。

 ですから、やはり一種の刑罰的犯罪を構成するためには、両者の間で暗黙の加害、被害の認識が共通をしておりませんと、罰則をつけた法をつくるというのは立法政策上非常に難しいということは我々大学のときに習ったことなんですが、防止のための基本法をつくるという今の御示唆は、大変私は有意義なことだと理解しております。

○遠藤(乙)委員 そこで、例えばスウェーデンのケースですと、幾つか法的な基礎があるんですが、まず教育法第一章二条に、校内に働く職員は、ある生徒が他の生徒を侵害するような行為に対しては絶対阻止しなければならないという規定があります。

 また、九四年度に制定された学習プラン、これも法律の一種だと思いますけれども、学校においていじめは絶対にあってはならないし、そういう傾向に対しては、積極的に対処しなければならないという規定があるほか、特に校長の責任、校長は学校の最高責任者であり、特に校内で働く職員や生徒に対するいかなる嫌がらせやいじめも阻止しなければならないし、自分の学校のいじめ対策プランを作成する責任がある、こういった規定をしております。

 また、そもそも労働環境法令の中で職場におけるいじめが禁止されておりまして、それが学校、児童にも適用されるという構造になっております。

 また、いじめに関する法令として、特に、九三年に子供オンブズマン法という法律が国会を通りまして、まさにいじめに対する組織、機関として政府のもとに子供オンブズマンというのができて、これが中心になって全国的にいじめ問題を総括し対処するという形になっておりまして、こういった法的、制度的枠組みまた組織がつくられることによって、かなり前進があったということであります。

 そういった意味では、我が国もこういったことを参考にしながら、ぜひいじめの問題、確かに、おっしゃるように定義は非常に難しいし背景は非常に複雑でございますが、拙速なことは慎むべきだと思いますけれども、十分な調査研究、実態調査を踏まえた上で、これだけ子供たちが悩んでいる問題に対しては国としての何らかの明確な姿勢を示すことが必要だと思っておりまして、ぜひとも、そういった点でまた御検討を賜ればと思っているところでございます。

 そこで、次のテーマになりますが、法的な枠組みとともに組織ですね、具体的に行動する組織。やはりいじめの問題は、いろいろな方がおっしゃっていますけれども、早期発見、早期対処ということが何よりも大事であって、そのために、いじめというものを把握し、またすぐに対処してくれるような行動する組織、これは公的機関であれ、あるいはまた私的なNPO等であれ、そういったものがしっかりとできて、連携をしながらいじめ対策にすぐに手を打つ、これが何よりも今求められていることではないかと思っております。

 特に、今御紹介しましたスウェーデンの場合には、子供オンブズマンというのができて、これが中心になって、事務局があり、またアドバイザリーグループがあるわけですけれども、そのほかさまざまな、警察や厚生労働省関係あるいは赤十字、いろいろなところが連携して、民間も連携した上で地域のネットワークをつくり、対処していく、これが非常に効果を上げつつあるというふうに聞いております。

 そういった意味で、そういったさまざまな官民の組織の連携を促す意味からも、ぜひ政府の機関として子供いじめ防止対策本部なり、あるいは何かそういったものをつくることが、実際にいじめ対策を推進する一つの重要な推進力になるのではないかと考えておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○伊吹国務大臣 社会が随分変わってまいりましたから。私は、やはり本来は、家庭というものが子供の変化を見抜く一番スタートだと思いますね、それから地域社会。ところが、残念ながら今、この二つが時代の変遷とともに大きく崩壊を始めてきていて、学校に大変重荷がかかっているのが現実ですね。

 ですから、先生がおっしゃったように、いろいろな手だてを講じなければなりませんが、我が省においても、地方の教育委員会にお願いをして、そして、公明党さんなんかも非常に熱心にこれを推進しておられますが、学校の協議会、学校を取り巻く地域の人たちが学校を支えていく組織、こういうものを充実させていく。それから、馳先生なども非常に熱心にやっておられる電話ですね、電話で子供の悩みを聞いてやる。いろいろなことを御指摘のように複合的にやっていかないと、家庭の力、地域社会の力が非常に落ちてきておるだけに、子供の、早期発見、早期対処と今先生おっしゃったことが非常に難しくなってきておりますから。

 御指摘は、もう全くそのとおりだと思います。

○遠藤(乙)委員 それから、いじめの把握なんですが、これがなかなか難しい状況があるわけでございます。特に、子供の目から見たいじめというものの実態を正確にキャッチすることがやはり大事だと思うわけなんです。

 そういった意味で、例えば、さっきのスウェーデンのケースでも、子供オンブズマンが九五年に、十三歳以上を対象に五万人のアンケートを一斉にやっているんですね。非常にいじめの実態また具体的な提言も出てきて、非常にこれは参考になったということでありまして、やはり、大人だけが議論して、大人が分析して、大人で決めるだけではなくて、実際に子供の目で、いじめがどうなっているのか、どうしたらいじめはなくなるのか、そういう声を聞くことは非常に重要ではないかということであります。

 スウェーデンの場合、人口九百万人で五万人ということですから、日本でいえば五十万人以上に当たるんでしょうけれども、そこまでやるかどうかは別として、かなりの広範なそういった調査、アンケート、子供の声に直に耳を傾けるということ自体が、いじめに対する重要な解決のステップになるんではないかと思うんですね。

 特に、子供から見ると、大人が信頼できない。親も理解してくれない、学校も受け付けてくれない、仲間もだめ。そうなると、いじめられている子供にとっては、まさにそういった狭い世界、生活世界の中すべてが否定される。孤独感、孤立感、それから無意味感、無力感、そういったものにさいなまれて自分自身が嫌になって、それで自殺に追い込まれるということが、そういったいろいろな例だと思うんですね。

 したがいまして、ぜひ、子供の立場に立った実態把握、また子供の参加というものを逆にこれから促進していく中でいじめを解決するという姿勢が非常に大事じゃないかと思っておりまして、この件につきまして、大臣の所見を伺いたいと思います。

○伊吹国務大臣 先生のおっしゃっていることはそのとおりだと思いますし、予算あるいは調査の機関等を考えて、有用な御提言として受けとめさせていただきたいと思います。

○遠藤(乙)委員 それからもう一点、早期発見、早期対処が重要ということを皆さん言っていらっしゃるわけですが、やはり早期発見、非常に重要だと思います。

 実際、今のいじめが非常に陰湿化している、大人の目に触れないようにやるわけです。学校の先生の目の前でいじめをやる子はいないわけですし、また、人にわかるような形でいじめをやるわけじゃなくて、陰湿になっていて、またいろいろな手段も進んでいる。例えば、携帯電話のブログを使って集中的に書き込みをしていじめるようなこともあるらしくて、大人が知らないようなところでいじめが進行しているという実態があるわけでして、ぜひともこういったことの把握が必要だと思っています。

 そこで、今のいじめの把握は、実際に子供から訴えがあったときに初めて、それも何度も何度も訴えがあったときにやっとそれを取り上げるような状態になっておりまして、極めて受け身になっています。カウンセラーも配備されておりますけれども、それも相談があって初めて動くという状態でありまして、なかなかいじめに対して実効性のある解決ができないんじゃないかと思っておりまして、むしろ、能動的ないじめ発見システムということをしっかりとつくることが、いじめ対策の先決じゃないかと思っております。

 例えば、いじめを見るには授業中ではわからないわけであって、休み時間とか放課後とか、そういうところにむしろいじめの端緒が見えるわけであって、そういったところを先生が巡回するとか、何らかの形でウオッチするようなシステムがあってもいいかもしれません。

 そこで、またスウェーデンのケースなんですけれども、スウェーデンでは、このいじめ対策の一環として、フレンドサポート制というのを導入したそうでございます。これは、簡単に言いますと、十八歳から二十五歳ぐらいの若い青年男女ですね、人物、識見もしっかりしている人たちを学校の職員として採用しまして、大体生徒七、八十人から百人に対して一人ぐらいの割合でフレンドサポーターというのを採用して、その人たちが休み時間などに校内を監視していじめが行われていないかどうかを見る、ひとりぼっちの子がいたら声をかけて、ちゃんと居場所づくりをしてあげる、またいろいろな問題に相談に乗ってあげる。これが非常に好評で、また功を奏して、いじめがかなり減ってきたというふうに言われております。

 特に、年とった教頭先生なんかが対処するよりも、やはり年の近いお兄さん、お姉さんみたいな人たちが相談に乗ることが非常に話しやすいし、そういった意味で、何でも相談できるお兄さん、お姉さん、あるいはまた、時にはびしっと物を言ってくれる存在があった方が子供たちにとっても非常にコミュニケーションがしやすいということがあって、これがかなり効果を上げているということだそうであります。

 こういった、能動的に子供たちに話しかけ、また、いじめの実態をキャッチし常に行動できるシステムを導入することも、これは当然予算がかかりますけれども、非常に効果のあることだということがスウェーデンの例から報告されておりまして、いわばフリーター対策にもなるかもしれませんし、いろいろな意味で、これは子供たちにとっても、また、そういったフレンドサポーターになる青年にとっても非常にいい経験を得るチャンスじゃないかというふうにも考えられますので、ぜひこれも検討課題として今後ひとつ考えていただければと思っております。

 この件につきまして、もし大臣、御所見があれば。

○伊吹国務大臣 一つの有用な御提言だと思いますが、私も、現場の先生の何人かの方とお話をしてみました。子供の兆候をできるだけ早くつかむ、子供が話しやすいような雰囲気をつくる、随分努力をして、そして、その兆候をつかんで、いじめている方の御父兄に話すと、大体、大変な批判を受けて、人権問題その他ということになって、教師の立場としてはまことに困るという声が結構あるんですね。

 ですから、昔ということを言っちゃいけませんが、終戦直後だったですが、私たちは体罰をよく受けたりしまして、当時もそれは人権侵害だとかどうだとか、いろいろなやりとりがありましたけれども、いじめている方の親御さん、あるいはいじめられている方の親御さんも、教師をどの程度やはり信頼してあげるかという素地がございませんと、今の先生のおっしゃった、ボランティアの方を使って発見をして防止に入ろうとすると食ってかかられちゃうというのでは、これはなかなか制度がうまく動きませんので、そういうところの御父兄たちへの啓発活動もあわせてやる必要があると思いますね。

○遠藤(乙)委員 その点も、いろいろなマニュアルが経験を通じてできているそうで、すぐに親に話さない方がいいというのがどうもスウェーデンの例らしいですね。

 要するに、そういったフレンドサポーターが見つけた場合、それをいわば極秘にしておいて、直接個別に子供たちにすぐにやると。もし、そういう何か相談があるみたいなことが事前に漏れると、必ずそうじゃないということを言い張ることになるので、そういった意味で、いじめ対策の戦略、戦術が必要だということで、すぐに親に話さない方がいい、子供たちの間に直に話をして、お互いに率直に話し合ってやった方がいいということがマニュアル的にも出ているらしくて、そういった非常に参考になるケースなんですね。

 ぜひ、こういったほかの国の例も研究していただいて、何か我が国の参考例にもしていただければと思っているところでございます。

 もちろん、一番大事なのは、何よりもやはり教師だと思います。現場の教師が一番大事なんですが、ただ、教師の人たちもいろいろ、経験の不足の問題もあれば、また、いろいろな雑務に今の先生方は追われておりまして、子供と向き合う時間がそもそも少なくなっている、これが非常に背景にあると思いますので、そういった意味でも、これも予算が伴う話ですが、定員増とか、そういったことも含めて検討することが非常に大事じゃないかと思っておりますので、総合的にぜひ大臣の今後のリーダーシップを期待したいと思っております。

 続いて、時間が余りありませんが、未履修の問題につきましてお聞きしたいと思っております。

 今回、とりあえず三年生について現実的な対応が迅速に図られたことは評価をしたいと思っておりますが、ただ、こういった問題が起こってくるに当たっては、やはり責任の所在あるいは処分といったものが当然あるかと思うんですね。これはおろそかにすべきではない話なんであって、きちっとした対応をしなければ今後再び起こってくるであろう。履修漏れというよりも履修逃れという状況の方が当たっているというふうに言われておりまして、やはりそこら辺はきちっとする必要があるかと思っております。

 責任の所在、また処分の問題につきまして、大臣はどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

○伊吹国務大臣 未履修の問題は、一つは、先生の御指摘のとおり責任問題をどうするか、もう一つは、先ほど馳先生がおっしゃった、大学入試との関連において高校に課している学習指導要領をどう考えていくか、この二つだと思います。

 先生の御指摘の部分については、まことにこれは残念なことなんですが、私には何の権限もございません。人事権は、高等学校の教師については、基本的には都道府県教育委員会と政令市の教育委員会、それから、私学については、これは都道府県にもございません、私学の設置者にあるわけですね。ですから、どこかで私どもの考えていることを一般に明らかにしなければならないと思います。

 既に未履修の処理案を各都道府県に通知いたしましたときに、都道府県の教育委員長と政令市の教育委員長に私が私信という形で、率直に言えば、もう少し使命感を持って教職員を指導していただきたいという手紙を出しております。どう受けとめておられるかをこれからちょっと拝見したいと思っておるわけですが。

 ただ、先ほど来申し上げておりますように、現場が今非常にこの問題で混乱をしておりますので、一段落をいたしました段階で、文部科学省としての考えは明らかにしなければならないだろう。それまでに軽微な処分まがいのことでお茶を濁さないようにという事務的な御連絡はしてございます。

○遠藤(乙)委員 当面の混乱の収拾が第一ということは当然でございまして、ぜひ、そういったステップを踏んで、きちっと対処をお願いしたいと思っております。

 それから、もう一つの問題として、今大臣も御指摘になりました、この未履修問題が発生している構造がやはりあると思います。特に指導要領と入試制度の関係、あと、ゆとり教育といった考え方、この間にそごがあるためにこの未履修という問題が発生してくるという構造的なゆがみがあるのではないかと思いますので、当然、今後の課題として、ここら辺の整合性をどう考えるかということは、先ほど大臣の御答弁にもあったように、センター試験のあり方等も含めて十分に御検討いただきたいと思っております。

 そもそも、必修という考え方ですね。これをどう位置づけ、考え、また社会としてコンセンサスを持って、必修ということを本当に重要なものとして受けとめているかどうかということが大事だと思うわけであります。

 そういった意味で、もし時間が限りなくあれば、必修をたくさんふやしてどんどんやらせれば教養のある人間になるかもしれませんが、限られた時間の中で必修という非常に重いものをやらせるためには、ある程度これは厳選していく必要があるのではないかというふうに私は実は思っております。逆に、もっともっと選択の幅を広げて、生徒の関心、意識に従って、自由な将来のキャリア形成に向けて選択の幅を広げてあげた方が現実に合っているのではないかと私は思っております。

 特に必修については、私は、広い意味の言語能力、これをきちっとつけておくということが、将来的にも、どんな分野に行こうが、何をやろうが非常に大事なことであると思っておりまして、自分で時間があるときにやれる問題、あるいは意識があればできる問題、生涯学習の中でやっていけばいいことについては、それはおいておいて、非常に時間のかかる、非常に大変な、広義の言語能力の習得ということをぜひ深掘りした方がいいのではないかと思っております。

 そういった意味では、国語、これは大変重要でございます。それから数学ですね。これも、数学もまた言語なりということであって、国語とは違いますけれども非常に重要な、自然界あるいは宇宙というものを把握していくための重要な一つの言語であって、これを知らないと大変損をすると、私は今になって思っております。「博士の愛した数式」という本が話題になり、映画にもなりましたけれども、ああいう授業をやってくれたらもっと数学よかったのよと、非常に今悔やんでなりませんけれども。

 さらにまた、英語ですね。インターネットの世界、また現実の世界において、いろいろな情報の最大の一つのベースである英語というものを知らないと、これはやはり日本人として現実に損をするだろう、また視野が狭くなるということで、これも大事な必修ではないか。特に、コミュニケーション能力ですね。教養としての英語というよりも、実際に使える英語をどれだけ国民の多くの人が蓄積するかということが、今後の日本の情報化にとって非常に重要なテーマになるかと思っております。

 あるいはまた、情報言語ですね。インターネットやコンピューターの情報言語、これもしっかりと学んでおくことが、これからの情報化社会、知識社会にとって大事なことであります。

 なかなか時間がかかり、大変な基礎作業で、しっかりと高校時代につくっておいて、将来どんな分野に進んでもその世界に入っていけるような能力をつけることこそがむしろ必修ではないかと思っておりまして、そういった意味では、学習指導要領のあり方、必修の考え方についても、中教審だけではなくて実社会の意見も聞くなどして、ぜひ幅広い視点から日本の将来を見据えて検討していただければと思っております。

 この件につきましても、大臣の所見をお願いしたいと思っております。

○伊吹国務大臣 先生がおっしゃったことは、総論としてだれも反対はしないと思います。ただ、高等学校のお話をしていらっしゃると思いますので、プラグマティカルに言うようなものはどうなんだと。しかし同時に、人間としてリベラルアーツ的な深み、これをどういうふうにつけていくかということは、やはり高等学校を出て実社会に出る人もおるわけで、大学へ行って専門的なことを勉強してしまうわけですから、ここのところは広く意見を聞いて、先生のおっしゃったことも参考にして、学習指導要領を考えていくということだと思います。

○遠藤(乙)委員 私の意見も一つの意見であって、決して自分としても結論を得たものではありません。ぜひそういう幅広い視点から、特に日本の将来、世界のあり方、人間のあり方を深く考察した上で、必修というものをコンセンサスを持って決めていく、そういうことをお願いしたいと思っておりまして、ぜひとも大臣のリーダーシップに期待をしたいと思っております。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。


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