第165回国会 安全保障委員会 第3号


第5期 INDEXへ

平成十八年十一月一日(水曜日)
午後一時七分開議



○遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 きょうは、防衛施設庁における不祥事問題を中心に質問をさせていただきます。

 防衛庁・自衛隊の長年の念願でありました省昇格問題、この昇格法案の国会審議がいよいよ始まることになったわけですけれども、これに先立ち、防衛施設庁談合事件を中心とした昨今の防衛庁不祥事問題について質疑をしなければならないということは、これは防衛庁にとっても、また国民にとっても大変残念なことであると思っております。省昇格法案の成立を期している与党の一員としても、残念に思うところであります。

 そもそも、このような防衛庁の不祥事は、本年一月に逮捕者を出すに至った防衛施設庁を中心とした談合事件が初めてではありません。一九九八年に発覚し、九月には逮捕者を出し、十一月には当時の額賀防衛庁長官が引責辞任にまで追い込まれたわけでありまして、調達実施本部を舞台とするいわゆる調本事案が記憶に新しいところであります。

 これまで防衛庁は、その責務にふさわしい位置づけを与えられることのないまま、五十年間、黙々と任務に精勤されてきたわけでありまして、そういった姿勢にはまことに頭が下がる思いであります。

 しかしながら、防衛庁・自衛隊の二十七万人の人々のごくごく一部とはいえ、不祥事を引き起こす者が後を絶たないことは動かしがたい事実でありまして、省昇格を控える防衛庁・自衛隊としては、省の名に恥じない綱紀粛正と規律厳守が絶対不可欠でありまして、これなくして省昇格が実現しても、まさに看板倒れに終わらざるを得ないと考えるわけであります。

 こういった点につきまして、久間大臣として、これからの防衛庁、いわば昇格すれば防衛省になるわけでありますけれども、この綱紀粛正、規律厳守を具体的にどのようにしていくのか、この点につきまして、まず決意をお伺いしたいと思います。

○久間国務大臣 防衛庁を省にするのも、やはり誇りを持って仕事に専念できるようにという、そういう思いもあるわけでありますから、そのためにも、一人一人がまた打って一丸となって服務の規律を厳正に再確認してぶつかっていかなきゃいかぬ、そういうふうに思っているところでございまして、これから先も、そういう趣旨でみんなが一緒になって臨んでいこうと思っております。

○遠藤(乙)委員 具体論につきまして入っていきたいと思っております。

 防衛庁では、ことしの前半を費やしまして、防衛施設庁談合事件の真相究明と再発防止策の作成に取り組みまして、本年六月十六日付で、この報告書、防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策報告書というものを出しております。かなり大部のものでありますが、私も目を通しました。

 その内容で若干気になった点を中心に、三点ほどまずお伺いしたいと思っております。

 まず一点目は、この十ページ目、パラ四でありますけれども、「OBを含む業界関係者との適切な関係の確立」というところでございます。このパラグラフでは、職員と業界関係者との接触制限が詳細に盛り込まれておりまして、職員が業者と接触してよい場面を限定列挙している。また、接触する際の場所、複数の職員による対応、上司への報告など、具体的に記載をされております。

 この項目を一読して思うことは、防衛庁の認識としては、防衛施設庁側は善意であって、談合は業者側から持ちかけるものだ、どうもそういう感覚に立って書かれているんじゃないかというふうに感じられる点があるわけであります。今回の談合事件は、防衛施設庁OBと現職職員とが連携したものでありまして、一般には官製談合と呼ばれるものでありまして、責任は、やはり業界、官界双方にまたがるということは言うまでもないと思っております。

 職員側への対策としては、十九ページ目に、「懲戒処分等の基準の明確化」というところで、談合にかかわった職員にどのような行為が処分の対象になるかを具体的に明示する旨の記述がありますが、これまでのあいまいさを明確にした程度の内容で、どうも再発防止策としてはインパクトに欠けるという印象を持たざるを得ません。

 地方自治体でも官製談合が今、後を絶たないわけでありまして、このような癒着体質に向けて、国民の極めて厳しい視線も考慮すれば、例えば違反職員の厳罰など、官製談合対策の側面がもう少し強力に盛り込まれるべきであったと考えますけれども、これにつきまして、政府の答弁を聞きたいと思います。

○久間国務大臣 しかし、このあれで、入札談合等関与行為を主導し入札談合を行わせた場合は免職だということをはっきり言っておりますし、また、自己の地位、階級を利用して入札談合等関与行為を主導して入札談合を行わせた場合は免職だというふうに、かなり明示しながらやっております。

 もちろん、これと別に、刑事罰になった場合は刑事罰になるわけですけれども、刑事罰と別に、行政の処分としてもこういう形をはっきり示して、そのほかにもまた、重処分にする場合とかいろいろやっておりますから、かなりやはり今まで以上にみんなに対しては効果、効き目といいますか、それはあるんじゃないかなと私は思っております。

 もう少し細かくやれという話もあるかもしれませんけれども、一番のあれは免職でございますから、これより細かくやったとしても、果たして細かいのがいいのかどうか、そういう気がいたしますので、私は、やはりこういう点で、それなりの効果は持ち得るんじゃないかなと思っておるところであります。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

○遠藤(乙)委員 この点につきましては、今後の運用を見ながらぜひともよく検討を続けていただくということで、強く要望しておきたいと思っております。

 第二点目でございますが、再就職のあり方ということにつきましてお聞きしたいと思っております。

 今回の防衛施設庁談合事件では、防衛施設庁を退職したOB職員を多数再就職、いわゆる天下りさせた企業ほど防衛施設庁から多くの工事を受注できる仕組みが長年にわたって整備され、現職職員もこのあしき慣行の維持にかかわってきたという、まさに絵にかいたような癒着体質があらわれているわけであります。

 現在、我が国では、民間、公務員とも、定年は六十歳が一つの目安になっておりますけれども、今、人生八十年、九十年時代にもなってまいりますので、六十歳という年齢は、人にもよりますけれども、まだまだ働けるわけであります。しかも、長年にわたって培ってきた経験や知識、こういったものの蓄積もありまして、退職と同時にリタイアで、年金をもらって御隠居生活でございますと、非常に寂しいこともあるかと思います。そういったことではやはりこの人材という宝を埋もれさせてしまうという側面もありますので、特に我が国としては、今後、少子化、人口減少ということでもありますので、ぜひとも元気で働ける人は六十歳を超えても多いに社会に尽くしてもらいたい、そういった考え方が大事だと思っております。

 その意味で、防衛施設庁の職員が退職後に第二の職場を求めるということ自体は、社会通念上決しておかしいことではないと考えております。ただ、問題なのは、国民の血税で賄われる防衛関係の公共工事を第二の職場を確保するための道具にした、これが大変問題なのでありまして、これにつきましては、いかなる弁明も認められないと考えるわけであります。

 防衛庁も再発防止策を種々検討していると思いますけれども、天下りがある意味では生活や人生設計上の必要に駆られた行為であることを思えば、報告書十六ページにあるように、退職職員に再就職の自粛を求めることだけではなかなか実効性は上がらないというふうに感じております。

 要は、防衛庁・自衛隊など、一般社会では希少価値のある経験や知識を、定年退職後に国家、社会、地域社会、あるいは民間も含めて、存分に発揮してもらう道筋を整えることが大事じゃないかと考えているわけであります。特に防衛庁はこれからもどんどん高度化が進んでまいりますので、いろいろな戦略、戦術、あるいは技術、規律、訓練等、こういったことで多くのノウハウや資質を持った人々は、ある意味ではこれから日本の社会でも活用の分野は非常に広がっていると私は感じております。

 既に地方自治体では、かねてより災害対策とか危機管理担当職員に退職した制服自衛官を雇用する事例も増加をしております。背広職員についても、こういった危機管理担当、あるいは基地を抱える自治体の基地問題対策担当などで力を発揮する場が得られるのではないかと考えているわけであります。

 防衛庁では、若年定年制を採用している自衛官の再就職先の確保について以前より心を砕いてきていると思いますが、背広職員についても同様の施策を講じて、天下り先を探す必要性そのものをなくしていく取り組みが求められているのではないかと考えるわけであります。防衛戦略も大変大事でありますけれども、人材活用戦略ということもぜひ防衛庁として取り組むべきではないかというふうに考えております。これにつきまして、久間大臣のお考えを伺いたいと思います。

○久間国務大臣 まさに今先生がおっしゃられるとおりでございまして、せっかく育った、経験した優秀な人材をどういう形で世に出せるようにするのか、これもやはり我々の仕事だと思っておりますから、そういう角度から、いい方法はないのか、各省庁ともまたいろいろな交流をしながら、何かいい方法はないのか、そういうこともやはり研究していかなければならないと思っております。

 ただ、本当に、公務員の定年を迎えた、近くになってきたときに就職が安定していない、年金だけでということになりますと、先ほどからもちょっと言いましたように、年金も一概に高くないんですよね。昔は恩給制度で、ほかの人と比べて結構よかったものですから、もうやめてしまって後はゆっくりと年金生活でやれたんですけれども、今、局長や部長やそのくらいの人でやめても、田舎で学校の先生でやめた人と比べても余り変わらない、そういう数字なんですよ。

 そうすると、田舎の場合だったら、家もあって、割と早目に子供さんたちも大きくなってしまっているというのがありますけれども、都会の場合はなかなか簡単にいっていない。そうなってくると、就職の問題その他がはっきりしませんと非常に不安定な状態になる。かといって、自分がやめた後の職探しを片一方でやり始めた日には公務がおろそかになるわけでございますから、そういうこともあってはならない。

 だから、こういう問題については、政府全体として、防衛庁あるいは防衛施設庁だけではなくて、どういうふうに考えていくのか、本当に真剣になってやらないと大変なことになるんじゃないかなと心配しております。

 そういう中で、先ほど寺田委員もおっしゃいましたけれども、任期制の問題とか、あるいは最近、NPO法人とかNGO法人とかそういう方面で、給料は少ないけれども社会的にも貢献しながらある程度また所得は入ってくる、そういうような方策等もありますから、そういう形ですとやはり余り天下りの問題も出ないわけで、本人さんの能力に応じたいろいろな職探しもできるかもしれませんから、そういうようないろいろな幅広い角度から検討する必要があるんじゃないかなと思っておりますので、この問題については引き続き取り組んでいきたいと思っております。

○遠藤(乙)委員 私も全く大臣と同感でございまして、これは防衛庁だけではなくて、公務員全体あるいは日本全体で、セカンドライフというものをどうこれから支援していくかという大きな政治課題じゃないかと思うんですね。終身雇用制なども崩壊をしつつありますし、また国家公務員の場合、非常に高い志を持って入ってきた人たちもだんだん再雇用が厳しくなっているような状況もありますが、これは、日本全体が今まで中央集権、官僚依存であったものが、徐々に地方分権、そして民間重視となってきますと、それに合わせた、国家公務員、防衛庁も含めて、再雇用、セカンドライフをどう支援していくかということを国全体、政治の課題として考えるべきではないかと私も強く考えております。

 特に、役人を長くやればやるほどつぶしがきかなくなるということがありまして、余り高い地位になって局長なんかをやっていますと、本当に民間で使い物にならない。要するに、態度ばかり大きくて、実際に自分で営業へ行ったりしないし、そういうことがあるので、文化的な相当ギャップがあります。そこら辺をどう現実にうまく再教育、訓練して、民間や地方自治体、NPO等でまた新たにそういった尊重されるような人材にしていくかという現実的なシステムを考えるのは非常に大事だと思っておりまして、単に個々の対策というよりも、国全体の人材活用戦略として、ぜひ久間長官もひとつリーダーシップをとって、全体の中でまた推進をしていただければと思うところでございます。

 特に私、思うんですが、日本の場合、後方支援が非常にいつも弱い。統帥というのは、方向を示し、後方を準備すると言われておりますけれども、どうも後方支援が日本は非常に貧弱ということで、その面で隊員の人たちが不安に思うことがいろいろな問題を起こすわけであって、恒産なければ恒心なしとも言いますけれども、ぜひとも、そういった面での現実の基盤づくりに向けて、国を挙げてこれから努力をしてもらいたいと思っているところでございます。

 続いて、三つ目のポイントでございますが、監査、監察組織のあり方ということでお聞きしたいと思っております。

 これも先ほど寺田委員から御質問があったことに関連しますけれども、報告書では、入札手続の改善、談合予防措置、天下り防止策、人事慣行の見直し、職員の意識向上など、各般の施策を網羅しております。こうした問題の根本的な原因には、一方には制度的な不備あるいは抜け穴の存在といった外的な要因がありますし、他方に職員の意識という、すぐれて内面的な問題があることが指摘できるわけであります。

 どんなに制度的な欠陥を是正して、水も漏らさぬ体制ができたとしても、人の心を外からコントロールすることはできないということでありまして、防衛施設庁では、今回の事件を教訓に、職員の意識改革を促すため、施設庁の全職員三千百名に「防衛施設庁職員の心構え」という冊子を配付し、あわせ、既に防衛庁本庁職員に配付されている服務宣誓文も常時携帯させるというふうに理解をいたしております。

 こうした職員の意識改革はもちろん必要でありますし、重視すべきは当然でありますが、他方、総勢二十七万人、また背広職員だけでも二万三千人を超える大世帯でありますから、おのずから職員の不正に対するいわば抑止力として、組織的な、内部的な監察制度が必要ということは当然であるかと思っております。

 報告書では「全庁的な立場から監査・監察を行う組織・部局の新設」という項目がありまして、会計業務や職員の法令遵守をチェックするための新組織を立ち上げ、独立した立場から厳格にチェックを行うために、その長は事務次官に準じた高位の職とし、さらに、陸海空の自衛官と部外の人材も登用するとされております。

 ここで言う自衛官には、警務隊など、日常的に部内秩序の取り締まりに当たっている隊員が検討されておりますけれども、部外の人材、先ほど長官も御指摘されておりましたけれども、例えば警察、検察、会計検査院経験者、出向者あるいは弁護士、会計士などの有資格者に重きを置いて、部内出身の者は補佐的な役割にいた方が、本来の目的であります独立チェック体制の実が上がるのではないかと思うわけであります。

 新組織の実効性を上げ、国民の信頼にこたえるためにどのような人材確保、また運用が必要と考えておられるか、政府の答弁をお願いしたいと思います。

○久間国務大臣 今おっしゃられましたような、部外者の方を登用するということも一つの選択肢でございますし、それにまた部内の関係者を組み合わせるというのも一つでございますし、トップをどっちに持ってくるかというのも、またそのときのいろいろな人事の、人物の、回ってきていただく方のそれによっても決まるわけであります。

 ただ、部外の人で、もうやめた人に来てもらう場合には、公務についてもらいますと、結構給料は下がるんですよね。だから、一見ポストとしては上だけれども給料は半分になってしまって、弁護士さんなんかでも、今度は弁護士活動がほとんどできなくなるとかいろいろなことがございまして、そういう意味では、部外の現職の方の方がむしろ、今言われる警察とか検察とか会計検査院とか、そういう場合、公務員の現在のままであられる場合だったらそれの横並びですっと来られますから、いいかもしれません。

 いずれにしましても、そういうような人を果たしてうまく配置できるかどうか。それは各省庁とのいろいろな協力関係もございまして、一概に、こちらの人はいいと思っておっても、これはうちで大事だからやらぬとかいって、そういうことはよくあることでございますので、今ここで一義的には言えませんけれども。いずれにせよ、そういうような部外者の登用も含めて、これから先、研究していきたいと思っております。

○遠藤(乙)委員 持ち時間がそろそろ来ておりますので、終わりたいと思っておりますが、防衛省昇格に当たって一番大事なことは、国民の信頼ということであります。したがいまして、ぜひとも、綱紀粛正、規律の厳守ということは、先頭を切って防衛庁そして自衛隊がこれを実行し、また実効がある成果を上げていただきたいと強く期待をいたしまして、私の質問を終わります。

 以上です。


| What's New | プロフィール | 政策・ビジョン | 全力レポート | 私の主張 | 会議録 | アルバム | LINK | 事務所 | TOP |