第159回国会 安全保障委員会 第6号


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平成十六年三月三十日(火曜日)
午後三時開議



○遠藤(乙)委員 私も、安全保障に係る諸問題につきまして質問をさせていただきます。

 昨年の十二月十九日、閣議決定として「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」という文書が発表されたわけでございます。私は、日本の安全保障政策の中でも大変重要な文書、また重大な方針を策定したものと受けとめておりまして、この文書を中心に質疑をさせていただきたいと思っております。

 まず、この文書は、弾道ミサイル防衛、いわゆるBMDシステムの導入の決定を正式に表明したわけでありますけれども、これは大変長い議論があったことはもう皆様御承知のとおりでございます。レーガン大統領時代から、SDI構想と言われ、もう二十年を超す議論の歴史があるわけでございますが、まさか、そのころにおいて、日本にもこのシステムを導入するとは私も思ってもみなかったわけなんですけれども、現実問題、日本の近隣、特に北朝鮮において、核兵器開発疑惑あるいはまたノドン、テポドン等の発射実験あるいは配備等の問題で、現実を直視した場合には、やはり日本の安全保障において、そういった大量破壊兵器、特にミサイルの攻撃に対して抑止力に空白があるという重大な問題がやはり痛感されたということがこの発端であろうかと思っております。そういった中で、このシステムがいわば導入を決定されたわけでございます。この文書においても、このシステムは純粋に防御的なものである、専守防衛の枠の中のものであるということが強調されておりますけれども、そういったことで決断に至ったと説明があるわけであります。

 私も、それぞれいろいろな問題が当然あったわけで、特に三つの大きなテーマがあったと思っておりまして、一つは技術的な可能性の問題、命中精度の問題ですね。壮大なシステムを導入してもおもちゃじゃしようがないわけで、実際にこれが命中精度が十分高くて、現実に使えるものでなくてはならないということ。それから二つ目にコストの問題で、開発当初は膨大な費用が要ったわけで、とても日本でこんなことは導入にたえられないと思っておりましたが、その後のいわば研究開発の進展によって負担可能な現実的なレベルまでコストが下がってきたということも大事な要因だと思っております。さらに三つ目に戦略的安定性を害さないかどうかという問題、すなわち、このシステムを導入したことによって周辺国が軍拡競争に巻き込まれないか、それを惹起しないかといった問題があったわけでございますけれども、こういった問題点についてもきちっとした回答が得られた、そういう懸念はないということでこの導入になったと私も承知をしておりまして、このBMDシステム導入につきまして、私自身もこれは必要なものであるというふうに判断をしているわけでございます。

 そこで質問なんですが、現実にこのシステム、これから導入されていくわけですけれども、いわゆるイージス艦によるものと、それからパトリオットミサイル、二段階のシステムになっておりますが、これの導入、全面的に膨らますには時間がかかると思いますが、とりあえず段階的にこれが稼働可能な時期、これがいつなのか、そして全面的にシステムが稼働する時期がいつなのかという点につきまして、まず御説明いただきたいと思います。

○石破国務大臣 先般お認めいただきました来年度予算におきまして、いよいよそれを進めていく、BMDシステムを導入していくということになります。これは先生よく御案内のとおりで、ウエポン、センサー、指揮統制システム、これがすべてそろいましてフル稼働というか、そういうようなことになります。

 これは注文したらすぐ届くなんぞというものではございませんで、どういうことになるかと申しますと、まず、PAC3の一個ユニットは平成十八年度末に配備をされるということになっております。その他のシステムは平成十九年度以降逐次配備されることになりまして、システム全体が配備できますのには少なくとも八年程度を要すると現在考えておるところでございます。抑止力という観点からもこれは急いでいかなければならないと思っておりますが、現在のところ申し上げられますのは、システム全体の配備には少なくとも八年程度かかるというふうに考えております。

○遠藤(乙)委員 次の問題は、統合運用の問題だと思います。

 これはすなわち、いわゆるSM3、イージス艦のシステム、これは言うまでもなく海上自衛隊の問題である。他方、PAC3の方は、これは航空自衛隊の所管であるわけでありまして、この緊密な統合運用のシステムがなければワークしないということでありますので、この点、具体的にどのように統合運用を進めていくのか、これにつきましての御説明をお願いしたいと思います。

○石破国務大臣 全く御指摘のとおりであります。SM3は海ということになりますし、PAC3は空ということですし、加えて、陸にも役割を担ってもらうということはあるのだろうと思っています、被害の極小化という意味においてでございますが。

 そうするとどういうことが考えられるかといいますと、あくまで一例でございますけれども、空自の航空総隊司令官をBMD任務部隊司令官といたしまして、海自のイージス艦を含みます護衛艦部隊、あるいはパトリオットシステムを運用します空自の高射部隊、あるいはセンサー及びバッジシステムを運用いたします空自の警戒管制部隊などの部隊を一元的に統制をさせる。航空総隊司令官にこのようなもの、ウエポン、センサーあるいは指揮通信というものを一元的に運用させるということが考えられると思っております。

 これは統合的に運用しませんとシステム自体が動きませんので、今のは一例でございますが、私は、こういう形が一つの例として、今後さらに一番いい運用というものを目指して統合の中で議論をされ、確立をされるというふうに思っております。

○遠藤(乙)委員 次の問題点は、迎撃命令の問題だと思います。

 現実問題を考えますと、例えば北朝鮮からミサイルが発射されて我が国領土に到達するまでに七、八分から十分以内という非常に時間的制約の中で対応しなければならない。その間に探知し、着弾点を計算して迎撃するという、非常に時間との競争の中でのいわば軍事問題になるわけでございます。非常に難しい問題。他方、当然のことながら、シビリアンコントロールという厳にこれは貫かなければならない問題があるわけでございまして、このシビリアンコントロールの厳守ということと、それから、限られた時間の中で対応し、国民の生命財産を守るという非常に難しい問題でありますが、この点、どのような法的枠組みを含め、技術的にこれを解決していくのかということを聞きたいと思っております。

 例えば、報道によりますと、自由民主党の国防部会・防衛政策小委員会の提言原案によりますと、BMDにおける迎撃権限を防衛庁長官に委任することが盛り込まれたという報道を私は見たわけでありますけれども、この点も含めまして、政府としてどのようにこういった問題を考えているか、御説明をいただきたいと思います。

○石破国務大臣 これは実は大問題でありまして、システムを運用する場合にどういう法的根拠を持って運用するかということはきちんと詰めておかなければいけません。そのときに、防衛出動という枠組みを使いましたときに、本当に七、八分で防衛出動の枠組みで対応できますかということがございます。飛んできたミサイルを撃ち落とすという行為は一体何なのだという議論がそもそもございまして、それが我が国に対して本当に明々白々武力攻撃である場合、あるいは衛星だと称してそんなものが飛来してくる場合、いろいろなケースがございます。それにどのように対応するかということをすべての場合にシミュレーションして、精緻に組み立てていかねばならないということになります。

 そうすると、防衛出動と今の枠組みでいった場合にどうなるか、あるいは新たな体系を起こしましてミサイル防衛出動みたいな概念をつくるとしたらどうなるのか、あるいは領空侵犯措置類似の法体系をつくるとなればどうなるのか、それぞれ検証してみなければならないことだと思っています。その際重要なのは、先生御指摘のように、文民統制あるいは議会の関与とのあり方をどうとるかということになってまいりますので、そこもあわせて考えなければいけないのだと思っております。

 どういう形が一番望ましいのかというのは、私は、文民統制ももちろん大事です、しかしながら、あわせて、国民の生命財産というものに被害があってはどうにもならないわけでありまして、そこの整合をどうとるかというお話なのだと思っております。どういう形がいいか、私どもも今政府全体で議論をしておるところでございますが、どうか、議会におきましても有益な御教授を賜ることができれば幸いに考えております。

○遠藤(乙)委員 いろいろな選択肢について御説明いただいて、大変感謝をしたいと思います。私も大変この問題は重大な問題だと思っておりまして、ただ、一つの今後の課題は、ぜひそういった実効性のある対処方針を決めなくちゃいけないとともに、やはり国民、国際的にも十分に説明して、透明性を持たせて、こういうときは必ずこういうふうに対処します、あくまでも専守防衛の枠内ですということを国内的にも国際的にもきちっと説明することが、東アジアの安定にとって大変重要なポイントだと思いますので、その点も含めてきちっと議論をお願いしたいと思っております。

 続いて、日米間のBMDシステムの連携という問題なんですが、この十二月十九日の文書では、日本が独自に対処するというふうに書かれておりますが、多分これは、集団的自衛権の問題に入り込まないようにという配慮のもとでそういう表現になっていると思いますが、現実に、システムの効率を考えれば、やはり米国の早期警戒衛星等々、米国の構築したシステムとの連携を十分に図ることが効率的であることは言うまでもありませんし、現実問題、十分以内に対処するという中にあって、特に探知の面で、米国の早期警戒衛星の能力に頼らざるを得ない面があるのではないかと私も思っておりまして、こうなると、現実的には、必ず日米連携によるBMDシステムの運用という問題が出てくるだろうと私は思っております。

 そんな中で、たまたま、自衛隊の発射したミサイルが米国に向かって発射されたミサイルを撃つようなことになれば、これまた集団的自衛権に触れることになってしまいますけれども、そういった日米のBMDシステムの連携という問題とこの憲法上の問題、どのように整理され考えておられるか、この点につきましても御説明を得たいと思います。

○石破国務大臣 先生御指摘のように、このBMDの議論を日本の中で本格的にし始めて十年ぐらいがたつのだろうと思っております。当初の段階で、早期警戒衛星というものがなければBMDシステムそのものが動かないのではないかという議論がございました。幾ら日本がBMDと申しましても、静止衛星たる早期警戒衛星からの情報がなければ、正確に撃つということは不可能ではないかというお話がありました。

 自来、議論がいろいろ進展をしてまいりまして、技術も進歩いたしまして、我々のシステムで、アメリカの情報がなくても自己完結的にこのシステムは運営できるということになりましたが、しかしながら、アメリカの早期警戒衛星の情報が有益である場合も当然ございます。その情報に基づいて、情報も加味をいたしまして、総合的にいろいろな判断をいたしまして、我が国を防衛するためにBMDシステムをワークさせるということは、集団的自衛権とは何の関係もある議論ではございません。その場合に、米国の情報に基づきまして撃ったといたしましても、集団的自衛権に抵触する問題ではないと考えます。

 他方、アメリカへ向かって飛んでいく、あるいは第三国に向かって飛んでいく、そういうミサイルを撃ち落とすということは、それは集団的自衛権ということになるのだと現在整理をいたしておるところでございます。

 したがいまして、我が国が導入いたしますBMDシステムは、先ほど申し上げましたように、あくまで我が国を防衛することを目的といたしておりまして、第三国の防衛のためにこのシステムを活用するということは、現在のところ全く考えておらないところでございます。

○遠藤(乙)委員 では、次は防衛計画大綱の見直しの件に触れたいと思いますが、やはり十二月十九日の閣議決定の文書において、BMDシステムの導入を決めた上で、「将来の予測し難い情勢変化に備えるため、本格的な侵略事態に対処するための最も基盤的な部分は確保しつつも、我が国周辺地域の状況等を考慮し、」陸海空それぞれの在来型兵力、通常兵力と言ってもいいんでしょうけれども、それを削減する、「適切に規模の縮小等を図る。」ということを表明いたしておりますが、定性的な方向は明確になっているとしても、定量的にどうなのか、これも戦略上重要な問題です。

 単に定性的な方向だけでは戦略にはならないと思っておりまして、定量的に大体どれぐらい削減をしていくのかということも重要な要素であると思っておりまして、現時点での考えで結構なんですが、こういった陸海空の在来型兵力をどの程度の規模縮小していくのか、お考えを聞きたいと思います。

○石破国務大臣 定性的なお話はいいのですが、定量的にどう考えるかということであります。

 それは、まさしく現大綱、今用いております大綱と今と何が違ったのかといえば、それは、一つは、非対称的脅威というもの、それはアクターにしても実際に行える対応にしてもそうですが、これが変わってきましたねということがある。それから、本格的な侵攻事態生起の可能性が低くなりましたねということがあります。そうした場合に、まさしく陸海空、いろいろなものがあります。在来的な、いわゆる通常型のという言い方は私は必ずしも正しいかどうか自信がありません、現在持っておりますようなものです。これをどのように削減していくかということは、本当にそれぞれが合理性を持った議論をしなきゃだめなんだろうと思っています。それは、何に、どのようなために、どのようなものを、どれだけ、どこに、どのようにして置くのかということについて、それぞれの検証がなければならないだろう。

 同時に、統合運用というものを考えたときに、それはどうなっていくのだということについて、潜水艦にしても、固定翼航空機にしても回転翼にしても、戦車にしても、あるいは船にいたしましても水上艦にいたしましても、そういうことを抜本的に考えていかなければいかぬのじゃないかというふうに考えております。

 したがいまして、どれをどのようにということを今ここで申し上げるだけの状況にはございません、あわせまして厳しい財政事情ということもございます、そこら辺を全部勘案いたしまして、私は、一つのストーリーとしてきちんとしたものを確立しなければだめなのだというふうに現在認識しておるところでございます。

○遠藤(乙)委員 今の問題と関連をしまして、本格的な侵略事態に備える、対処するための最も基盤的な部分を確保すると言っています。これも、今の議論の裏返しになるんだと思うんですけれども、この点につきましてもあわせてお考えを伺いたいと思います。

○石破国務大臣 最も基盤的な部分とは何だと言われますと、閣議決定におきましては、我が国の存立を脅かす本格的な侵略事態への備えについても、我が国周辺の状況などを十分に見据えつつ、引き続き配意し、将来の不確実性に備えて所要の戦闘技量と高度の技術水準の維持を図るため、最も基盤的な部分を確保することが必要である、こういうふうに申し上げておるところでございます。

 その最も基盤的な部分って何でしょうかということについて、これも、定性的に言えますけれども、じゃ定量的に何なのだということは、やはりきちんと明らかにしておく必要はあるだろう。そこにおいて重要なのは、今までエキスパンドということが言われてきました。基盤的なものを持っていて、いざというときにエキスパンドするということであって、だから基盤的なのだという議論もされてきました。そうしますと、エキスパンド能力というものをどれだけ持っているのかということもあわせて検証しないと、相当に無責任な話になってしまうだろうと思っております。

 しかしながら、他方、では、弾道ミサイルとテロにさえ備えておけばいいのかといいますと、実は自衛隊は弾道ミサイルとテロに対する能力は万全でございましたが、従来型の脅威につきましては全くだめでございましたということになりますと、これは話にも何もならないわけでございまして、そこもあわせて議論をきちんとしなければいけない。

 まさしく、先生御指摘のように、定性的な話はいいのだけれども、これを定量的にはどのようにして、どのような裏づけによって確立をするかということが重要であると考えております。

○遠藤(乙)委員 時間も限られております。最後に一問だけ御質問いたします。

 イラクに派遣されている自衛隊の方々のことなんですが、我々としては、何としても所期の目的を達成し、無事に帰ってもらいたいということで、今までは安全確保ということをさまざまな角度からいろいろな委員会で我が党の議員が質問してまいりましたが、きょうは、それに加えまして、健康管理の問題、心のケアの問題ということをぜひ提起したいと思っております。

 雪の北海道から灼熱のサマワへということで、大変な肉体的な負担といいますか、ストレスにさらされているものだろうと推察をしますし、また今回、特に女性隊員も十一名ですかね、参加をされておられまして、イスラム社会でいろいろな制約、文化的制約等の中でストレスを感じているだろうというふうに推察をしているわけで、そういった現地で任務を背負い活躍をしておられる自衛隊の方々の健康管理の問題それから心のケアの問題、ぜひともこれを重視して、皆さんが元気いっぱいに帰ってこられるような体制をとってもらいたい。

 ちょっとテレビを見ておりましたら、何か、給水車に冷房がついてない。これはちょっと確認をしておりませんので何とも言えませんが、そんな報道もあったようでございまして、やはりぜひ後方支援、そういった国の重要な任務を負って国際平和のために活躍をする自衛隊員の後方支援には遺漏なきを期して、本当にそういった活躍する人たちを見守って、健康管理の面、心のケアの面も含めて、最大の配慮をしていただきたいということをお願いしたいと思っておりまして、この点につきましての防衛庁長官の考え方をお聞きしたいと思います。

○石破国務大臣 今までのPKO派遣とは全く違う状況であります。また、インド洋とも違うと思っています。そういうことで、体験することというのは、PTSDとそのまま同じような状況が現出すると考えておるわけでは決してございませんけれども、自衛官たちが体験する状況というのは、少なくとも今まで我々が考えてきたものとは全く違う状況で活動しているということは事実でございます。

 したがいまして、メンタルヘルスケアということにつきまして、考えられる限りのことをやっております。カウンセラーに指定された者が派遣される隊員に対しての対応を行う、あるいは医官もそういうような知識を持っている、あるいは派遣される期間をどのようにするかということもございます。あわせまして、家族との連絡がきちんととれるということも重要なことであります。

 そういうようなことで、何しろ初めてのことでございますので、これで万全というわけではございません。常に家族の皆様方に対するケアも含めまして、行く自衛官たちができるだけベストな状況で任務が完遂できるように、私どもとしては努めてまいりたいと考えておるところでございます。

 給水車に冷房がついていなかったかどうか、ちょっと私も今現在記憶がございませんが、かなりの車両について冷房の装備というものも新たに施しております。ただ、すべてがエアコンつきのカンファタブルな車ということには相ならないのかもしれません。

○遠藤(乙)委員 隊員の安全確保、それから今申し上げました健康管理、心のケアを含めて最大の支援、配慮を重ねてお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。


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