平成十六年三月三日(水曜日)
午前九時開議
○遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。
両大臣、お疲れのところ、大変恐縮でございます。また、参考人の皆様、お越しいただきましてありがとうございます。
私からも、年金財政のむだ遣いの問題についてお聞きをしたいと思っております。
今日、年金改革、最大のテーマでございまして、地元へ帰ると一番大きなテーマになるのがこの点でございます。しかしながら、年金改革の中身の話をしようと思っても、真っ先に出てくる質問が、グリーンピアの問題であり、また天下りの問題であり、また、そういった法人の役員の高給与また高い退職金の問題、常にこれが出てまいりまして、なかなか中身の議論まで入れないという状況があるわけでありまして、今日の年金制度に対する不信をもたらした最大の原因の一つがこの年金財政のむだ遣いの問題であるということを大変私は痛感をしておるわけであります。
今後、年金改革といいましても、将来的に給付の水準が下がり、また保険料が上がるという話であって、国民の皆様に痛みをお願いしなければならない内容でありまして、そういった上で、ぜひともこの問題はしっかりと究明をし、是正すべきものは是正して進まなければ話が始まらない、そのように私は感じている次第であります。
こういった年金の保険料を財源として行われてきたグリーンピアや各種の福祉施設などの福祉還元事業について、年金財政の厳しさの中で、保険料財源の使い方として国民各層から大変厳しい意見が出ているわけであります。
平成十四年度末の施設の数は全国で二百六十五を数えておりまして、年間の利用者は四千四百万人という状況でありますけれども、仮に国有財産減価償却費の考え方を考慮した収支状況で見ると、ほとんどの施設が赤字経営となっているという状況であります。また、年金福祉施設の資産状況を見ても、福祉施設整備に今日まで一兆五千億円を超える費用が投入をされたのに対しまして、国有財産の評価額は一兆円強でありまして、五千億円の差が生じているのが現状であります。
また、グリーンピアにつきましては、被保険者への福祉還元と高度成長のもとでの余暇活動のための公的施設として昭和四十七年に構想され、全国十三カ所の基地が開業したところでありますが、民間部門における施設の普及もあり、平成十三年の閣議決定によりまして、平成十七年度までに廃止することとされております。グリーンピアの整備のために年金財政からの支出総額は、約三千八百億円と見込まれているわけであります。
また、年金の福祉施設の委託先の七種の公益法人に対しまして、いわゆる天下りが行われておりまして、役員数合計千三百七十五人に対して百五十四人が厚生労働省出身、そしてまた職員数二万九千四百四十二人に対して六百十四名が厚生労働省の出身であるわけであります。
こういった年金の福祉還元事業の経緯を見ますと、各種施設の制度発足時の国民のニーズにこたえ、被保険者への還元を図ってきたということ、また、多くの被保険者や受給者に利用されたことを勘案すると、一定の役割を果たしたということは評価をできるわけでありますが、しかしながら、社会経済の状況の変化、また生活様式の変化の中で、これらの福祉還元事業の必要性が希薄になり、経営状況が極めて悪化してきたにもかかわらず、今日まで的確な対応ができなかったということは厳粛な事実であると考えます。
特に、年金財政の見通しが厳しくなってきました平成以降のいわゆるバブル崩壊後にあっても、漫然と施設整備を続けてきたというところでありまして、この点につきましては、政治や行政に携わってきた者の責任は極めて重いと言わざるを得ません。
こういった中で、国民に対する年金の制度への信頼を取り戻すためにも、私たち公明党は基本的に五点に絞って考え方を発表いたしております。
まず第一に、政府においては、今日までの年金の福祉還元事業などの経緯を総括し、国民に十分な説明責任を果たすこと。第二に、年金保険料は年金給付のための貴重な原資であり、今後は、保険料を福祉施設の整備及び運営のために充当しないこと。第三に、各施設の今後の整理に当たっては、年金資金への損失を最小化し、年金資金への貢献を果たすよう努めること。第四に、委託先法人への厚生労働省関係の職員の天下りについては、今後、原則として行わないこと。第五に、委託先法人の役員の在任年齢や常勤役員報酬、退職金などについて、適切な処遇の見直しを行うこと。以上五点を公表いたしておりまして、今後、政府に対しても強くこれを求めていく所存でございます。
こういった視点に立ちまして、年金制度への信頼を回復するために、具体的にまた質問を進めてまいります。
先ほども御説明があったわけでございますが、年金財政の中で、いわば年金以外に使われた額として、六・五兆という数字を大臣は挙げられたわけでありますけれども、この年金財政の中でどの部分が毀損したのか、改めまして、大臣から御説明をいただきたいと思います。
○坂口国務大臣 先ほども御答弁を申し上げたところでございますが、もう少し具体的に申し上げさせていただきますと、グリーンピアにつきましては、先ほどお話がございましたように、建設費に充てました財政投融資資金からの借り入れの返済等で、今後もこれを出さなければならないもの、今後のものも含めまして約三千八百億円を年金財源から拠出しなければならないというふうに思っているところでございます。
また、年金住宅融資につきましては、利子補給等をいたしておりまして、今後支出すべきものを含めまして約九千三百億円を支出することになります。年金住宅融資につきましては、先ほど六・五兆を挙げましたけれども、その中にはこれから返還してもらうものも含まれているわけでございますから、若干全体の数は違いますけれども、利子補給として九千三百億円でございます。
それから、年金福祉施設でございます。その他の多くの年金福祉施設でございますが、昭和二十七年から平成十五年までの経費は約一兆五千七百億円でございます。
一方、福祉施設にかかわります固定資産といたしましては、平成十四年度末時点で、年金の特別会計に約一兆五百億円の資産が計上されておりますけれども、これは、先ほど御指摘いただきましたように、その値段で売れるかといえば、それはなかなか売れないのが現実だというふうに思っております。
今お話をいただきましたこれまでのグリーンピア、年金住宅融資、年金福祉施設等々に対して使用されました額は、以上でございます。
○遠藤(乙)委員 いずれにしましても、大変巨額のいわば年金財政がむだ遣いされたというふうに、国民は厳しくとらえているわけであります。国民にとりまして、税負担そして保険料負担は大変大きく家計にのしかかっておるわけでありまして、それをむだ遣いされることは、本当にこれは許しがたいものであるというふうに国民はとらえているわけでありまして、また、天下りや高給をはむ等、まさに年金官僚の食い物になっている、これが国民の怒りなわけであります。
こういった一連のむだ遣いは、やはり年金保険料、本来はこれは年金の給付に充てるべきものでありまして、それを目的外に流用してきたことのツケが回ってきた、いかにそれが危ういことであったかということをあらわすものであると思っておりまして、今後はぜひともこの点を厳しく律しなければならないと思っておりますが、なぜこのような目的外の流用、特に法律的根拠も必ずしも私は明確でないと思っておりますけれども、なぜこのようなことになってきたのか、改めまして、大臣から御説明をいただきたいと思います。
○坂口国務大臣 これも先ほど長勢議員にお答えをしたところでございますが、高齢者となりまして年金を受給されるまでの間、長い間保険料の掛金をしていただかなければならないわけであります。保険料の掛金をしていただくその間に、若干は掛金をしている人たちに対しても還元をすべきだというお声があってスタートしたものというふうに理解をいたしております。
しかし、時代は変わったわけでございますし、そうした時代があったことは事実でございますけれども、この時代の変化に早く気づいて、そしてここを立ち直りをさせなければいけない、時代に合ったようにしなければならないというのは、御指摘のとおりだと私も思う次第でございます。
今後、これを立て直しをいたしまして、そして、今まで行ってまいりましたグリーンピアでありますとか、あるいはまたその他の施設等々に使ってまいりました、いわゆる年金に使用する以外に使ってまいりましたものは、これは原則としてなくしていくという方向で、その方向性の中で、今後逐次整理をしていかなければならないというふうに思っております。
それで、一遍に、来年からというわけにはいかないというふうに思います。例えば年金病院のように整理をするのに少し時間のかかるものも中にはあるだろうというふうに思いますけれども、そうした原則論に立ちまして、廃止をするもの、そして譲渡をすべきもの、そしてまた、今後形を変えた形で、どこかに、民間なら民間に経営をしてもらうべきもの、そうしたものの整理を早く開始しなければならないというふうに思っております。
○遠藤(乙)委員 ここで、このいわゆるむだ遣い問題の責任問題ということを少し問いたいんですが、確かに、当初は、国民のニーズにこたえ、国民のサービスとしてやってきた面は評価できると思いますけれども、特にバブル崩壊後、平成に入って以降、大きく経済環境が変わり、経営環境も変わって、厳しい状況になって、また年金財政も厳しく圧迫をされてきたわけでありまして、多分、この時点において、本来であれば、民間の企業であれば、当然そういった時点で経営を見直し、大きく方針を転換しなければならなかったわけでありますけれども、それ以降もなお漫然といわゆる施設整備が行われてきたことは厳然たる事実なわけでありまして、そういった意味では、この点は厳しく、経営責任、政治責任は問わなければならないと私は考えております。
もちろん、これは坂口大臣以前の話だったと思いますけれども、やはり平成に入ってからの、そこら辺の段階での判断、これをだれも無責任でしなかった、あるいは漫然とやってきた、そういうことがあったわけでありまして、だれが一体この責任をどういう形でとるか、この辺につきまして大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○坂口国務大臣 スタートは、先ほど申し上げたようなことでスタートをしたわけでございまして、だんだんと国民の御要望も変わってきた、それに対応してこの制度の改革を行わなければならなかったわけでございますが、そこがおくれた。平成九年には、このグリーンピアにつきましても廃止の方向が決定されたわけでございますが、平成十三年になって、十七年度までに廃止をするということが閣議決定をされるというようなところまで、少しそこに時間があったことは御指摘のとおりでございます。
それではどの時点までよくて、どの時点から責任があるのかということも、なかなかこれは難しい問題でございますけれども、やはり政治の力でもって方向性を変えるということがなければならないわけでございます。と申しますのは、今まで、衆参におきます、本会議におきます決議でありますとか、あるいはまた委員会におきます再三の附帯決議等があって、そして、その年々の予算におきましてそれが決定をされてくるというようなことがずっと続いてきたわけでございまして、そうした中で、いつからこれが責任が生じたかということを明確に言うことは、私はなかなか不可能なことだというふうに思います。しかし、現時点におきましては、早くこれらの問題を処理する、一日も早く処理する、そして国民の皆さん方の御要望にお答えをするということが非常に大事だというふうに思っているわけでございます。
私の課せられた責任の範囲内において最大限の責任を果たしていきたいと考えているところでございます。
○遠藤(乙)委員 今後二度とこういう失敗をしない、そういう決意はよくわかり、高く評価をするものですが、ただ、やはりこの問題をうやむやにしておくことはまた同じ失敗を繰り返す可能性があると私は思っておりまして、ぜひとも過去の経営責任、政治責任というものを一度きちっと、特に第三者の委員会等でしっかりとこれは調査究明をしていく必要があると私は考えておりますが、この点につきまして大臣の御見解はいかがでしょうか。
○坂口国務大臣 今御指摘をいただきましたような、第三者機関によって過去のものを一度検証するというのは一つの方法ではないかと私も思います。検討させていただきます。
○遠藤(乙)委員 ぜひその方向で、この失敗を繰り返さないためにも、ぜひとも総括をお願いしたいと思っております。
そこで、グリーンピアの問題、これは非常に国民から、まさにむだ遣いの象徴的な問題としていつもやり玉に上がっております。壮大な浪費、壮大なむだ遣いということで指摘をされているわけですけれども、現在の当事者である近藤参考人ですか、このグリーンピアの問題について責任をどう感じておられるか、御意見を賜りたいと思います。
○近藤参考人 グリーンピアの問題でございますけれども、先生が先ほど御指摘のとおり、ちょうど列島改造論といいますか、華やかなりしころでございまして、国土の均衡ある発展、こういうスローガンのもとで、そういう風潮の中で、余暇施設が足りない、こういう要請、あるいは老後の生活の生きがいをどうやって確保するか、こういうことで三十年ほど前に構想されたわけでございます。
それで、大きく約千九百十四億円の建設費を投じまして、利子が千五百億余りということでございまして、合計で、管理費も含めますと約三千八百億円、これはこういうことに相なっておるわけでございます。
私ども、この問題、金額が非常に大きい、こういうことで、いろいろな役割とか原因はあったといたしましても、厳粛な事実として受けとめているわけでございまして、今から考えると反省すべき点が多々あるわけでございます。
それで、今の私たちが十七年度末に廃止ということになってございますので、基金といたしましては、グリーンピアが公共的な施設、こういうことで設置運営されてきたわけでございまして、地域の状況でございますとか、あるいは自然環境あるいは雇用の確保、こういった観点から、できるだけ一括して、できれば地元の自治体に引き取ってほしい、こういうことでお願いをいたしているわけでございまして、今のところ、ほとんどの地元市町村が手を挙げていただいている、こういうことで、具体的な条件あるいはそこの運営主体をどうするのか、こういうことで今真剣に交渉いたしているわけでございます。
この施設でございますけれども、当然のことながら、貴重な年金資金でできたものでございますので、これまで地域で果たしてきた役割が今後とも続けられる、こういうふうな形で、地域で有効に使われる、こういう方針で今努力をいたしている、こういう状況でございます。
○遠藤(乙)委員 このいわゆる福祉還元施設については、国民の目から見ると、結局は年金官僚の天下り先確保の手段ではなかったのか、既得権になってしまっている、結局そういう見方が今定着をしておりまして、大変激しい憤りの対象になっているわけであります。もちろん、いろいろな理由はあったかもしれませんけれども、今後は、基本的には天下りを原則禁止していくというのが我が党の態度でございます。
この点につきまして、天下りの問題につきまして、今後の方針、具体的な検討ぶりにつきまして、坂口大臣の御説明をいただきたいと思います。
○坂口国務大臣 天下り問題につきましては、先日もここで御議論をいただいたところでございまして、原則禁止をしていくという方向性、その方向性で私も進みたいというふうに思っておりますが、ただ、現在のように、五十二、三歳で肩たたきをするというようなことも、これはちょっとやめていかないといけない。もう少し長くお勤めいただけるような環境をつくりながら、しかし、その先は、役所としてそこで、どこへ、どういうふうに天下り先をつくるかというようなことは、もう考え直していく。それは、独自がお考えになる、第二の人生は独自でお考えをいただくということにしていかなければいけないと私は思っております。
そうした原則をどういうふうにつくり上げていくか。先日もここで御議論ございまして、今国会、六月ぐらいまでの間に案をまとめるように御指摘をいただいたところでございまして、私もそうした案をつくりたいと思っているところでございます。
○遠藤(乙)委員 もう一点、役員報酬、退職金の問題です。
これも国民の目から見ると、そういったむだ遣いをしている割には極めて高い、許しがたいという声が強いわけでありまして、これもぜひ見直しをすべきと考えております。この点につきまして、大臣のお考え、具体的な検討状況を教えていただきたいと思います。
○坂口国務大臣 これも天下りの問題と関連した話でございます。
最近でございますけれども、最近といいますか平成十三年、十四年、この辺のところで二回ほど改正をいたしまして、今までに比べますとかなりこれは低くなっていることは事実でございますけれども、これも、今後、鋭意検討していかなければならないというふうに思います。
しかし、これは仕事と見合ったものでございますから、立派な仕事をしていただいておる人に、給料もあるいは退職金ももう全然だめだというのは、それは通らないだろうと思いますけれども、しかし、それはしっかりとした仕事をしてもらっているかどうかということが先決問題であります。
その上に立って、鋭意これはその都度改革をし、そして、これから先はもう年金のお金は使わないというのが原則でございますから、年金との関係はなくなるとはいいますものの、国の関連をいたしますところの企業があるというふうにいたしますれば、それはやはり国民の皆さん方から見ていただいて、一般的な企業と突出するようなことがあっては決してならないわけでありまして、その辺につきましても見直しを続けていきたいと思っております。
○遠藤(乙)委員 この天下り問題、そしてまた退職金、報酬問題、国民の納得のいく形でぜひとも実現していただきますよう、大臣の御尽力を期待しております。
それから、もう一点、各種施設の見直し、廃止ないし譲渡といったことが大臣から御説明がありました。
それは当然だと思いますけれども、一点留意していただきたいことは、実際に老人ホームに入っておられるような方々あるいはまた従業員の方々は責任がないわけですから、そういった方々へのスムーズな転職等、雇用問題への配慮、これはぜひとも逆にしっかりと対処していただきたいと思っております。この点につきまして、施設の見直しと関連して、大臣の御見解を賜りたいと思います。
○坂口国務大臣 これは、御指摘のとおりでございますし、先ほど理事長からも話の出たところでございます。
整理、統合、それは大事でございますけれども、現在お勤めになっている皆さん方の将来というものも、これもやはり配慮を十分にしていかないといけない問題だというふうに思っております。
○遠藤(乙)委員 国民の年金に対する信頼を確保する一つの重要な道は、年金の原資というものを絶対に毀損させない、むだ遣いをさせないという強い決意と、具体的な体制を整備することだと思っています。
もう一つは、年金の運用、これをしっかりと特化して、十分高い利回りを実現していく。安全性と収益性、この二点を兼ね備えて、十分な利回りの水準を確保していくということが国民の期待にこたえるものだと思いますので、ぜひとも今後は、そういう方針に立って、この貴重なとらの子であります年金基金の運用、年金財源の運用、国民の信頼感に立った上で、最大の努力をしていただきたいことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
以上です。
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