第159回国会 予算委員会 第9号 

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平成十六年二月十三日(金曜日)
午前九時開議

○遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。
 連日の早朝からの予算委員会審議、大変にお疲れさまでございます。もう少しですので、頑張っていただければと思います。

 私は、特にきょうは農業構造改革を中心に、総理のお考え、また、日本政府のお考えを伺いたいと思っております。

 私も、以前は東京ベースの選挙区でございましたが、一回お休みをしまして、今回、北関東にコンバートして復活をいたしましたもので、当然、農業が重要な分野でございますし、私も強い関心を持ちまして、特にこれから日本の再生を考えれば農業をどうやって構造改革するかに大きくかかっていることは明らかでございまして、ぜひとも、この問題につきまして総理のお考えを伺っていきたいと思っております。

 私も、総理の改革に対する思い、決意には大変共鳴しておりまして、ぜひとも、この農業分野につきましても強力なリーダーシップを発揮していただいて、日本再生の道筋をつけていただきたいと思っているところでございます。

 さて、農業につきましては、今、大変大きな転換期、あるいは危機的な状況にあると言っても過言ではないと思います。

 一つは、今、農業就業人口は三百六十八万人ですけれども、うち六十五歳以上の方が二百七万人、何と五六%が六十五歳以上という、非常に高齢化が進んでおります。それに加えて、後継者がいない、嫁さんが来ない、耕作放棄が進んでいる、こういったことを考えますと、このまま十年たったら、日本の農業の未来予想図は非常に暗い、非常に壊滅的な状況を迎えるのではないかと私も危惧する一人でございまして、農業の構造改革待ったなしということだと思っております。

 特に現場の農業者の方また若い人々に聞きますと、やはり農業に夢がない、未来へのビジョンが欠けている、将来への希望がない、それが非常に大きな要因でありまして、彼らの本当の言葉は、もっと夢のある農業、楽しい農業、さらに言えば、もうかる農業をしたい、これが農業者たちの声でございます。だから、どうしたらそういった構造改革を進め、希望の持てる農業をつくれるか、これは非常に大きなテーマでございます。

 そういった危機的状況の反面、農業をめぐる環境は大きなチャンスが訪れているとも、私は認識をしております。

 例えば、国内では、食の安全あるいは食と健康、大変な関心が強まっております。例えば、みのもんた番組などを見ると、もうこれでもかこれでもかというぐらい、食と健康に関するテーマが連日出ておりますし、また、スローフードへの志向性あるいはまた地産地消、こういったことは新しい文明における食の形態として世界的に定着しつつあります。

 また、世界的にも日本食は健康食として非常に定着しつつありますし、特に東アジアにおいては、急速な経済発展に伴い富裕層がたくさん出てきて、食に対しても、食の安全や質の高い食あるいはまたおいしい食というものに対して強い志向性があって、少し高いお金を払ってもそういう食を求めていこうということが大きな傾向でございまして、これは特に日本の農業にとっては非常に大きなチャンスではないかと私は考えております。

 そういった中にあって、日本の農業政策、余り厳しい批判をするつもりはないんですけれども、いろいろ今まで努力をしてきた功績はあるかと思いますが、功に対して罪の方も非常に大きいんではないかと私は思っておりまして、特に、余りにも行き過ぎた保護主義、これによって、結局、日本の農業の潜在的な可能性を逆に摘んでしまったという面があるかと思っております。

 本来、賢い親であれば、はえば立て、立てば歩めの親心ということで、子供の早い成長と健康な元気いっぱいの発展を願ってさまざまな配慮をしていくのが賢い親でありますけれども、余りにも行き過ぎた過保護、おんぶにだっこ、場合によってはおしめにおっぱいと、余りにも過保護な農政によって、本来もっと早く成長できる子供がいまだに保育器の中に入ったまま外に出られない、これが今の日本の農業ではないかと思っておりまして、ぜひとも、今のこの転換期の中で早急に構造改革を進めて、世界でも自立し得る農業、世界に打って出る農業、私自身の言葉で言えば、守りの農業から攻めの農業に転換していくべきだというのが私の感想でございます。

 そういった意味では、農業に関しては専守防衛政策は放棄すべき、これは防衛庁長官に言っているわけじゃありませんけれども、むしろ攻めの農業にどう転換していくかということだと思っております。
 具体的に攻めの農業をつくっていくに当たって、私は、一律の農業政策ではなくて、やはりカテゴリー別、特に大きくは三つに分けたきめの細かい政策体系の樹立が必要だと思っております。

 まず第一は、国際競争力を持ち得る農業。

 これはもちろん、価格競争力だけではなくて、むしろ非価格競争力の方が日本の場合は非常に重要ですけれども、食の安全とか品質、あとはブランド、そういったものに対して日本の農業は非常に可能性を持っております。

 特に果物、あるいは野菜、あるいはまた花、そしてまた場合によっては和牛肥育等、畜産もその分野に入るかもしれませんが、そういった国際競争力を持ち得る農業をしっかりと育成して打って出るということが一つの政策だと思います。

 それから二番目に、稲作ですね。

 これは構造改革が御承知のように非常におくれておりますけれども、ただ、今のどんどん後継者が減っていく中にあって、逆に耕地を拡大していく重要なチャンスであるかと思っております。

 そういった意味で、今、農林水産省もさまざまな構造改革に取り組んでいることは承知をしておりますが、基本的にもっと単位を拡大しなきゃならないと思っている。日本の場合、少なくともスケールメリットを生かすには三十ヘクタールぐらいが基本単位と考えて、それを基準に稲作農業をつくっていく必要がある。さらにもっと効率化を進めて抜本的に農業生産性を高めないとこれはやはりやっていけませんので、そういった意味の政策を徹底的に追求すべきであると思っております。

 その上で、ブランド化等も加味しまして、今、コシヒカリ等もどんどん世界でも結構売れているような状況もありますので、そういった面も加味しながら徐々に競争力を高めて、それに見合って自由化も進める、例えばFTAとかWTOの協議も積極的に対応していくという姿勢が必要ではないかと思っております。

 それから三つ目に、中山間地の農業。

 これは非常に競争力は厳しいわけでありまして、むしろ、そこには、地球環境の保全とか、あるいはまた美しい景観の保持、ふるさと日本の景観を保持していく、そういったことを明確な政策目標として、それを支援していくための、例えば所得補償制度をしっかりと充実させて、その上でグリーンツーリズムやエコツーリズム等を展開していく、こういった考えが必要ではないかと思っております。

 ぜひとも、今後、そういうきめ細かなカテゴリー別の政策をつくっていく必要があるかと思っております。

 そういった中で、ただ、実際にそういった可能性があるかということを考えるんですが、いろいろ地方の現場では、子細に見ると、非常にすばらしい可能性を秘めた現象が起こりつつあります。

 例えば、総理は御存じかどうか、今、日本全国で三千二百の自治体、市町村がありますけれども、その中で最も経済的に活性化している地域はどこか。具体的に言うと所得成長率が一番高い地域はどこか、総理は御存じでしょうか。それは、東京でもなく大阪、福岡、札幌でもない、何と和歌山県の南部川村という人口六千七百のいわば過疎の村なんですね。

 ここは、一九八四年から二〇〇二年までの間、この間をとってみますと、一九八四年を基準にして二〇〇二年、十八年後の経済規模は何と三・五倍に所得水準が拡大しておりまして、年率平均八%、平均値ですよ、この大変な御時世で年率八%で成長を続けてきて、常にトップの座を守っているというすばらしい成功事例があるということを、ぜひ総理にも知っていただければと思っております。

 ここは、実は例の南高梅、この産地でございまして、梅の生産それから梅干し、これがほとんど唯一の産業でございまして、ここが過去十八年間ずっと連続して、この大変な御時世にあって連続トップの座を維持しているというすばらしい成功例があるわけなんですね。

 ここは、村も非常に傾斜地が多くて通常の農業をやりにくい非常に不利な条件にありますが、ここの村長さんが非常に偉くて、産業といえばもともと梅干し生産ぐらいしかなかったわけですね。村にしても、梅以外に見るべき産業もないということで、もう一度この梅を見直すしかない。近年、梅は、特に若い人の梅干し離れもあって、非常に需要が減退した時期がありましたけれども、ここで村長さんを中心に徹底的に調査研究をした結果、なぜ需要が減退しているのか、若い人々の嗜好が変わってきている、しょっぱい梅干しはもう受け付けない、もっとマイルドなおいしい梅を求めているということを、まずニーズを把握しました。

 では、どうしたらそのニーズにこたえられる改革ができるかと徹底して研究した結果、行き着いた結論が、梅干しの製造工程の隠し味にハチみつを使うということを実は思いついたわけですね。これが非常にうまくいきまして、ハチみつはもちろん味が非常にマイルドになる、また、ハチみつ自体が天然の防腐剤の役割を果たして食品が長もちする、また、ハチみつも健康食品でございますので、健康食イメージに合って売れに売れ始めた。特に今、非常に味がよくなって、これはうめえという話になったわけですね。

 さらに、村はこれに南高梅というブランド名をつけて、村を挙げて全国的に販売促進を行った。そうしたら、これが売れに売れて、とうとう、全国のスーパー、食料品店を席巻しちゃったわけですね。最近では、何と、梅干し農家のトップグループの中では年収二千万を超える梅干し農家が多数出現しているという大変な事態になっているわけですね。こういったすばらしい例がある。

 そのほかにも実はいろいろな例がありまして、八丈島なんかも、花の栽培、これで非常に成功しております。特に、非常に高級な観葉植物あるいは高級な花、ストレチアとかフリージア等、こういった花の生産に特化をして、東京という大市場を活用して、トップグループは大体年収千三百万ぐらいに到達しているわけでして、日本の専業農家が約七百万円台ということを考えれば、これは大変なパフォーマンスだと思います。

 そのほかにも、私の知る限りでは、宮崎県の野尻町が、これは中山間地なんですが、完熟マンゴーの栽培に成功して、これも非常にブランド化をしておりますし、その他いろいろな、リンゴの例、イチゴの例、実は随分あるんですね。

 実は日本で経済が一番活性化して元気なのは何と農業分野だということに私は気がつきました。むしろ、今までの農業政策に外れた異端児がみんな成功している、これが現実なんです。

 そこで、何が共通の成功の方程式かということを私なりに調査をしてみたんですが、結局、みんな同じことをやっています。それは、結論から言うと、現代経営戦略理論の精髄を把握して、それを実行している、ここに尽きるんですね。

 それは何かといいますと、三つありまして、一つは、マーケティングという発想です。もう一つは、イノベーションという発想です。もう一つは、ブランド化という発想なんですね。いずれも適切な日本語がないんですけれども、それだけ非常に日本に経営感覚が定着していないということのあらわれかと思います。

 まず、マーケティングは、つくったものを売りさばくという在来型の発想じゃなくて、売れるものは何か、ニーズを把握して、売れるものをつくる。そうすれば、当然、自然に売れるわけですね。そういうマーケティングを徹底してやる。さっきの梅の例で言えば、最近の若い人がどうもしょっぱい梅はだめでマイルドな味を望んでいるということを、ニーズをつかんだということがマーケティングの第一です。

 それから、イノベーションについては、これは創造革新、中国語では最近、創新という言葉を使っているようですけれども、これは、さっきの例で言えば、まさに梅干しの製造工程にハチみつを使う、これがイノベーションなんですね。

 それから、ブランド化というのは、南高梅という名前をつけて差別化をして売りまくる、これがブランド化です。

 成功したケースは、全部、この現代戦略論の精髄をそのまま実行しているということが言えるわけですね。

 例えば南高梅なんか、梅の実そのものですが、スーパーへ行くと、ビニール袋に入った一握り、大体九百八十円です。ところが、ノーブランドの梅は、同じ、見た目には全然変わらないのに約四百円台、倍以上の差が出ているわけですね。南高梅、何と高い梅だろうと私は思っているんですけれども、見かけは全然変わらないのにそれだけ差が出る。これは本当にブランド化の威力なんでしょうね。それだけ消費者に信頼感、イメージを植えつけているということですよね。まさに、こういうことが起こっているんです。それも農業の分野でこそ起こっている。

 私がなぜこれを非常に言うかといいますと、農業だけじゃなくて、あらゆる、ハイテク産業も流通業も製造業もすべて含めてこれが通用するから申し上げているわけで、構造改革にはこの経営感覚をいかにつけるかが必要だと思っています。

 今、世界全体がデフレ構造不況、長期化が予測されております。冷戦が終わって、中国や、また東欧圏、旧ソ連圏が入って、非常に質の高い労働力、それが非常に今、市場経済化を進め、世界的に物やサービスがあふれ返っています。そんな中で、在来型の発想に執着して、つくったものを売るという発想だけではやっていけない。特に日本のような最もコストの高い国においては、どうやって今言ったようなマーケティング、イノベーション、ブランド化という現代経営戦略の精髄を早く定着させて構造改革を進めるか、これが一番大事だと思っているわけで、それで、この例を申し上げたわけであります。

 これが、以上、私の演説といいますか、総論なんですけれども、まず、総理の農業構造改革に対する思い、ビジョン、決意というものをお伺いしたいと思います。

○小泉内閣総理大臣 今のお話を聞いていまして、同じものでも、知恵、工夫、技術、そういうものを発揮すれば大いに成長の可能性があるという夢のあるお話を伺って、力強く思っております。
 現に、日本の農業というものを、これは専守防衛ではなくて攻めに転じろと、御指摘のとおりだと思います。これほど世界が狭くなっているといいますか、あらゆる品物が日本に入ってくる。農業は日本だけで、そういう時代でもありません。

 また、農産物というのは外国から入ってくるばかりで、日本のつくった品物は高くて売れない、それは固定観念じゃないか、先入観念じゃないか、高くてもおいしいものはどの国の人だって欲しがるはずだという発想の転換も必要ではないかという御指摘だとも思います。現に、今言った梅干しでも、倍の値段でも、なるほど、そこの梅干しなら買おうという気が起こっている。

 今、日本の農林水産物を世界へという、農水省も努力しているようですが、これをちょっと見ても、北海道では長芋を台湾へ輸出している。あるいは、リンゴが入ってきてもらっちゃ困るといいながら、青森では既にリンゴも輸出している。

 それから、最近では、アメリカで、日本のすしのみならず、日本の食品は健康的だ、ヘルシーだといって、柿の種がヘルシースナックで人気だという。日本の品物は外国で食べないというのは違ってきた。かつて、生ものは日本しか食べない、欧米は食べないと言われたすしが、今もう全世界で人気があるということであります。

 あるいはナシも、鳥取県ではこれは輸出に転じている。そして、ミカンでも、かつてオレンジがどっと入ってきて、もうミカンはだめじゃないかと言ったのが、最近は、私の地元横須賀でも、ミカン一個何百円で、全部売り切れですよね、一つ一つ。高いのが売れる。

 卵でもそうですね。卵は世界で一番安定した、十円、二十円、喫茶店とかゴルフ場へ行くと、どうぞ自由に幾つでもただでお食べくださいというのがありますけれども、一番安定した卵、十円の卵がたくさんあるにもかかわらず、最近、五百円の卵が売れているという信じられないような事実。これも、私も本当に一個五百円なんてあるのかと思って、持ってきて、びっくりしましたよ、なぜこれが売れるのか。これはやはりえさと親がということで、それが売れているほどやはり志向が変わってきている。やはり健康志向だと。

 こういう点を考えると、日本の農業というのはまだまだ発展の余地があるのではないか。

 東京駅へ行くと、私、お弁当をよく買うときがあるんですが、おにぎり、最近、大したものですね。ばら売りで、おかずも別々で、何でもある。しかも、お米も、いろいろ値段が違う。そういう、ただ安ければ売れるというところと、いや、高くてもおいしければ売れるという両方、極端になってきた。

 そういう点も見逃さず、農業というものも、輸入を阻止するというんじゃなくて、外国に打って出よう、日本の品物はおいしいぞ、健康食だぞ、そういう視点も持って、攻めの農業に転ずるような改革が必要だと、お話を伺っていて痛感いたしました。

○遠藤(乙)委員 総理が私と同じようにそういった農業改革への強い思いを持たれること、大変心強く思っておりまして、ぜひとも、強力なリーダーシップのもと、農水大臣も含め、スピード感が大事ですので、この日本の農業改革、夢のある改革を進めていただければと思っております。

 そこで、ちょっと各論について、私自身から今度は農水大臣にお聞きをしていきたいと思っております。

 どうやったらこの経営感覚を定着させるか。言葉としては、マーケティングとかイノベーションとかブランド化、やっと言葉としては人口に膾炙するようになったわけですけれども、具体的に本当にそれが骨の髄まで浸透しているかというと、これはまだそうなっておりませんので、徹底してこの発想を定着させることが農業の再生、日本経済の再生に大事だと思っております。

 いろいろ具体例を私自身も考えておるんですが、一つは、抽象的な議論で言葉で学ぶよりも、目の前の具体的な成功例、それを見るというのが何よりも重要な教育であり、学ぶ一番早道だと思っておりまして、そういった意味では、国土交通省が一つやっている政策の中で、観光カリスマという制度があります。

 これは、観光業の振興に成功したいろいろな例を人に即して指定して、例えば外国人観光客を招いて成功したカリスマとか、それから離島振興のカリスマとか、いろいろな、観光業の振興に当たって非常にユニークな努力、また知恵を発揮して成功した例を七十何件指定していって、これは非常におもしろいやり方だと私は思っておりまして、同じように農業分野でも、抽象的な難しい文章を出すよりも、具体的な成功例を指定して、農業カリスマということで指定をしてやった方がいいんじゃないか。これは恐らく、国土交通省も、最近言われているカリスマ美容師とかカリスマ店員みたいなところから発想したんだと思うんですけれども、やはり、そういう現実の成功例をいろいろ指定して、徹底的にそのケーススタディーから学ぶということが大事だと思っております。

 そのための資料をつくり、あるいはビデオをつくったり、全国的に情報を共有できるようなことがまず経営感覚を高める第一歩だと思いますけれども、こういった考え方につきまして、農水大臣、いかがでございましょうか。

○亀井国務大臣 お答えいたします。

 今、前段で総理からも御答弁がありましたが、農村地域の高齢化の問題、あるいはWTO問題等々国際化の問題、農業の構造改革、これはまさに待ったなしであるわけでありまして、そういう面で、昨年八月から基本計画の見直し、そして、本当にやる気と能力のある担い手の後押しを積極的に進める。先般来、食料・農業・農村基本計画の企画部会におきまして、熱心に今、専門家の皆さん方からいろいろのお話を伺っております。

 そういう中でも、先ほど委員からも御指摘のような、いろいろの御発言もちょうだいをしておるわけでありまして、何とか来年の三月までに基本計画の見直し、そしてさらに、できるものであれば七月の中間論点のまとめ、そして来年度の概算要求、これを実現してまいりたい、このように考えております。

 そういう中で、今御指摘のカリスマの問題、実はいろいろの、インターネットですとか、あるいは各地域で行われます農業祭におきまして、そういう事例の発表、そして、それをいろいろ今、印刷物にして配布するなり、地方農政局等々におきましても、あるいは改良普及員の皆さん方も、それらの事例を積極的に御紹介申し上げて、そして、先ほどお話しのような、各地域で若い人たちが本当に積極的にいろいろなことをやっておられますので、そういう面で委員御指摘のような問題の対応をしてまいりたい、このように考えております。

○遠藤(乙)委員 ぜひ、そういう方向で充実をしていただければと思っております。

 さらに、もう一つの具体的な提言なんですが、それは、経営感覚を定着させる意味で、やはり教育システムが絶対必要だと思っております。

 アメリカでも、例えばロースクールとかビジネススクールとか、実学的なそういった大学院教育が非常に盛んで、そういうところは非常にケーススタディー、抽象的な議論よりもさまざまな例をいっぱい実際に研究して、みずから追体験していくような中で、何といいますか、原則を理解していくということだと思っておりますが、同じような、大学院である必要は全くないんですけれども、そういった実学的な、実際的な農業経営を教える、いわゆるアグリカルチュラル・ビジネススクールみたいな、こういったものをしっかりとつくっていく必要があるかと思っております。

 これについては、農水大臣、いかがでございましょうか。

○亀井国務大臣 この関係につきましては、独法の農業者大学校がございます。

 先般、三十五周年の記念式典をいたしまして、私もそれに出席し、実は本日、この予算委員会が終わりましたら多摩の農業者大学校に参りまして、三年生、二年生、あるいは一部一年生もおられますけれども、先生方とそして生徒の皆さん方と懇談会をし、そしていろいろのお話を伺おう、このようにも思っておるわけであります。

 地方に参りましても、農業者大学校を卒業された方が、先ほど御指摘のような面で積極的な農業の経営をされております。そういう面で、その中でもマーケティングの問題あるいは先ほど御指摘の加工ですとか流通のマーケティングの問題あるいは新技術の開発、こういうことにつきまして、農業者大学校の講座の中にもありますけれども、実例等々は積極的にそれを採用して、いわゆる農業後継者、そして、地方に参りますと卒業生が、御夫婦で農業者大学校の卒業生、こんな方もありまして、非常に努力をされた姿を承知しております。

 あるいはまた、ぜひ、農村の豊かな地域資源を活用したビジネスの可能性、こういうものも、そういう大学校、あるいはまた地方の都道府県にも農業者大学校がございますので、そういうところとしっかりしたタイアップをしてやっていく必要があろうかと思いますし、さらに、アグリ・チャレンジャー支援事業、こういう面でも、農業生産を核に加工、流通、販売等のアグリビジネスに取り組む農業者に対しましての必要な支援をしてまいりたい、このように考えております。

○遠藤(乙)委員 ちょっと時間の余裕がありませんので、具体的な提言だけ申し上げまして、簡潔にお答えいただければと思っています。

 私の提言は、一つは、産消対話の促進。

 これは生産者と消費者の直接対話です。農業者の方と会ってお話をすると、農業の技術、生産者としては非常に造詣が深いんですが、消費者が何を求めているかとか、どうやったら売れるか、そういった点に非常に疎いのが事実でございまして、これを打破するには、消費者の代表と直接対話をする、フェース・ツー・フェースで対話をすることが一番早道だと思っておりまして、具体的には、主婦の代表とか大手スーパーの代表とかレストランの代表とか、そういう人たちと生産者が直接対話をする場をいっぱい設けていく、これをシステム化することがマーケティングという視点からも非常に大事だと私は思っております。

 それから、もう一つは、農業における人材派遣システムですね。

 日本の場合、農業が後継者がなかなか出ないというのも、基本的には、家内労働だけで賄おうとするから非常にきつくなってしまう、したがって、大変きつい長時間労働を強いられるためになかなか若い人がそういったところに入れないというのが状況だと思っておりまして、むしろ、これからプロ農業の経営者を育てるわけですから、そういった人の支援システムという意味からも、幅広く農業分野での人材派遣あるいは派遣労働のシステムをつくっていくことが、労働の合理化、さらには雇用機会の創出にも役立つわけですから、ぜひともこういったことにも力を注いでいただきたいと思っております。それはぜひ進めていただければと思っております。

 それから次に、これは輸出の支援なんですけれども、今、日本では、農産物の輸入が七兆円、輸出が三千五百億円と五%しかありませんので、非常にゆがんだ形になっておりますが、先ほど総理のお話のように、いろいろな輸出がいっぱいあります。

 ただ、そういう世界に目を向けていないということが、また、そういったノウハウがないことが一番の大きな原因でありまして、世界に目を向け、ノウハウをきちっと与えてあげて、また、支援のシステムをつくれば、幾らでも農林水産物も輸出の機会があるわけでありまして、例えばジェトロ等、そういった機関を活用して、農水省と協力しながらそういった輸出支援体制を築き上げていくことも大事だと思っておりまして、この点につきまして、経産大臣にお聞きします。

○中川国務大臣 今御指摘のように、いわゆるいいものをつくって、マーケティングをやり、そしてブランド力を高めていけば、国内のみならず海外でもいいものは売れていくということでございます。

 総理からも御指摘がありました、一つだけ宣伝させていただきますが、長芋は、私の地元でございまして、手間がかかるんですけれども、一生懸命つくれば高くてもよく売れる、したがって、収入がふえて、税金もいっぱい納めるといういい循環をしている、地域の大事な産業でございます。そしてまた、輸出も、したくてもできないぐらいに、今、海外の引き合いが高いわけでございます。

 そういうことで、攻めの農業ということで、経済産業省としても、貿易相談業務、海外マーケット調査、それから海外での個別企業の商談のマッチング等の仕事を、予算づけをしながら積極的にやっていきたいと思っております。

 また、ジェトロ主催の日本食品等海外市場開拓委員会というものを農林水産省と共同で応援しておりまして、大いにいいものを海外でも売るということに協力していきたいと思っております。

○遠藤(乙)委員 それでは、農水省、短く決意だけお答えいただければと思います。

○亀井国務大臣 地産地消の問題につきましては、消費者と生産者の顔の見える関係、省内で私も出席をして関係者とのミーティングをやるなど、地方でもやっております。

 さらに、人材の問題、リタイアの方々の活用、人材センター、JAにもそのこともお願いしております。

 さらには、輸出の関係につきましては、先ほど経済産業省からもお話がありましたが、三十の都道府県、農林水産ニッポンブランド輸出促進協議会、これが設立をされましていろいろ進めておりますし、さらには、省内にも輸出促進室を設けまして、いろいろ努力をしてまいります。

○遠藤(乙)委員 それはぜひ強力にリーダーシップを発揮して取り組んでいただければと思っております。

 続いて、FTAの問題をお聞きします。

 これは総理にお聞きしますが、今、FTAは、私は大変重大な日本の問題だと思っております。これは、日本の経済活性化に向けて新たな大きな需要を掘り起こすためにも大変重要でありますし、また、今後、東アジア共同体に向けて日本がどう貢献していくか、そういった対外外交戦略の面もあるかと思っておりますが、今、非常に取り組みがおくれている、姿勢がまだまだ不十分と私は感じております。

 特に、各省庁間の連携が不足している、司令塔が不在である、こういったことが指摘されておりまして、近く民間でもそれを促進するための国民会議が立ち上がると聞いておりますが、ぜひ、この際、総理に強力なリーダーシップをとっていただいて、FTAの推進に取り組んでいただきたいと思っております。総理の御決意をお聞きしたいと思います。

○小泉内閣総理大臣 昨年来からメキシコとFTA交渉を続けておりますが、WTOを補完する意味におきましても、この二国間自由経済連携は必要だと思っております。

 アジアにおきましても、今後、韓国、タイ、マレーシア、フィリピン等、次々とFTA交渉、積極的になってまいりますので、日本としても、この交渉を成功させるように、各省連携をとって実現に向けて努力していきたいと思っております。

○遠藤(乙)委員 FTA問題は農業問題と非常に関連をしておりまして、農業の構造改革を進めてもっと積極的な姿勢がとれるようになれば日本としてもさらにFTA推進へのイニシアチブを発揮できると思いますので、先ほど申し上げました農業構造改革を強力に進める傍ら、FTAのさらなる積極的な推進にぜひとも総理のリーダーシップを期待したいと思っております。

 最後に、一点だけ、ビジット・ジャパン・キャンペーンに関連した話題でございます。

 私は、このビジット・ジャパン・キャンペーンは小泉内閣の目玉政策の一つとして非常にユニークなものとして高く評価をする一人でございまして、大いに期待しておるわけですが、現実的にさまざまな現場で制約があるということも知っていただきたい、それを早く取り除く必要があると思っております。

 具体的には、今後、インバウンドの国際観光に関して見ると、中国が最大のマーケットであることは衆目の一致するところでありまして、昨年度の中国は千六百五十万人ほど海外に出ておりますが、日本に来ているのはわずか四十五万人ぐらいだと思いますね。二〇二五年には、多分、中国は約一億人が海外に出ると見込まれておりまして、大変なマーケットであることは間違いありません。

 ところが、現時点では、日本は、中国を含め各国に、いらっしゃい、いらっしゃいとビジット・ジャパン・キャンペーンをしている傍らで、ビザ問題があって実際には動けない。特に中国の場合には、団体観光ビザが出されるのは北京と上海と広東省に限られておりまして、ほかは対象になっておりません。したがって、もっともっとこの対象地域を拡大しなければいけない。また、ビザの発給手続をもっともっと迅速化しなければいけないわけであります。

 具体的にも、例えば、中国側としては、この北京、上海、広東に加えて、天津それから遼寧省、山東省、江蘇省、浙江省、八つの地域に対してのビザ発給を期待していると聞いておりまして、この地域だけでも三億五千万人という巨大な人口があります。しかも、富裕層がどんどん出てきて、特に日本にも関心も強く、もしそういった体制さえ整えばたくさんの観光客が来ることは目に見えているわけであります。

 つい先日も、私がテレビを見ておりましたら、長崎県の観光協会の職員が努力して中国からの団体旅行の誘致を実現したと。そうしたら、何と、お土産代、ごく中流の人たちなのに、一人当たり、少ない人で五十万円、多い人で百五十万円持ってきている。もうテレビの前で札びらを見せびらかしている。それで、デパートに一時間つけると、男性はブランドの電気製品を買いまくる、女性はブランドの化粧品、洋服を買いまくって、平均して一時間で二十万円使っていく。それが現実なんですよ。

 もう少し中国の現実について、我々、認識を改める必要がありまして、これだけの宝の芽を何で見過ごすのかというのが私の指摘でございまして、いろいろ不法滞在の問題もあるかもしれませんが、観光客の団体旅行であればそういった危惧は非常に小さいと思いますので、ぜひとも、この際、早急に、今申し上げました対象地域の拡大と手続の迅速化、直ちにやるべしというのが私の意見でございます。

 これにつきまして、まず総理からお聞きして、外務大臣にお聞きしたいと思います。

○小泉内閣総理大臣 一地域一観光、ビジット・ジャパン、「ようこそジャパン」で、何とか二〇一〇年には、今の五百万人ほどしか外国人が日本に来ていないのを、倍増して一千万人ぐらいは日本を訪問してもらおうという、観光振興、地域振興に取り組んでおります。

 今お話しのとおり、これらについては、国交省の観光担当だけでなく、各省庁連携をとってやらなきゃいかぬ。特に、パリだけで年間五千万人の外国人旅行者が行っていますし、日本全体で五百万というのは余りにも少な過ぎるじゃないかと。少ないということは、これから随分可能性があるということでありますので、二〇一〇年には何とか一千万人ぐらいは外国から来てもらうような振興策をとっていって、これもまた、日本をより魅力的なものにする、日本の経済を活性化する、そういう方向に生かしていきたいと思っております。

○川口国務大臣 外務省としては前向きに考えたいと思っております。

 対象地域の拡大ですけれども、これは、中国とも相談をしながら具体策の検討をしていきたいと思います。

 ただ、一つ、団体制度の悪用がありまして、失踪者が多く出るという問題がありますので、その検討に当たっては、中国側と運用の改善ということをやりながら考えていく必要があるだろうと思います。

 それから、対象地域の拡大についてさらに申し上げれば、直行便で結ばれているというようなところを対象に考え得るのではないかということを考えております。

 時間がかかるということですけれども、これは、実際は五日から十日ということで発給をしておりまして、この期間が団体観光客のビザの増加にそれほどマイナスの影響を与えるというふうには外務省としては考えていないわけでして、やはりきちんと確認をすることが必要だという観点で、審査のためには一定の期間が必要だということを御理解いただければと思います。

○遠藤(乙)委員 ぜひ積極的に進めていただければと思っております。

 最後に、私としては、この質問で申し上げたかったメッセージは、日本再生のかぎは経営感覚にある、創造革新的な経営感覚、具体的にはマーケティングとイノベーションとブランド化、これを徹底することが構造改革を成功させるかぎであるということを申し上げたいと思っておりまして、ぜひとも、この小泉政権における小泉首相のリーダーシップのもとで強力に構造改革を進めていただきますよう強く期待をし、お願いを申し上げまして、私の質問にさせていただきます。

 以上です。ありがとうございました。


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