平成十五年十二月十五日(月曜日)
午前九時開議
○遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。
三大臣におかれましては、朝早くから御苦労さまでございます。
冒頭、質問に先立ち、イラク復興支援に尽力をされ、殉職をされた奥大使並びに井ノ上書記官の果たされた、道半ばとはいえ大きな功績をたたえるとともに、お二人の御遺族に心からお悔やみを申し上げるものでございます。
さて、昨日、サダム・フセイン元大統領の拘束というビッグニュースが飛び込んでまいりました。これによって今後、治安情勢が収束に向かうことを期待するものでありますが、なかなか必ずしも状況は予断を許さないものがありまして、とりあえずの分析、評価につきましては既に御答弁があったわけでありますので、私はもう一つ別の角度からお聞きしたいと思っております。
それは、サダム・フセイン元大統領の裁判の問題でございます。多分この問題は今後最も大きなテーマになると思われますので、どういう容疑でだれがどこで裁くのかということは今後の大きなテーマになり、また、今後のイラク復興支援問題全体にかかわる重要な影響を与えるものと思われます。これについて、昨日、ブレア・イギリスの首相は、イラク人の手によって裁くべきだとの態度を表明したわけでありますけれども、日本の場合はどうなのか、また、その考えがあれば、イニシアチブをとる用意はあるのか、まずこの点につきましてお聞きしたいと思います。これは外務大臣ですかね。
○川口国務大臣 おっしゃるように、裁判の問題ということはこれからの問題になっていくと思います。
今の時点では、これはいろいろな意見があるわけでして、サンチェス司令官が記者会見をいたしましたときに、これについては今まだ何も決まっていない、今後検討されていくということを言っているわけでございます。それで、今後、関係当局においてサダム・フセイン元大統領に対して尋問が行われていくだろうというふうに思います。その過程で、どういうような処遇を今後していくかということが出てくるんであろうというふうに思います。
今の時点で、そういう事実関係等々把握をする、まだ始めている状況にございますので、我が国として、どういう形で裁判を行うのが一番適切なのか、そのときに、彼の行ったどういうことについて行うのが適切なのかということについては、まだ申し上げることができない段階でございます。
○遠藤(乙)委員 この問題、日本がどういう態度をとるか、これは非常にある意味で重要な影響を持つと思いますので、ぜひとも日本独自の見識を持つことが必要かと私は思っておりますので、ぜひ御検討をいただければと思います。
次いで、自衛隊派遣の問題。基本計画を決定したわけでございますが、我が公明党の神崎代表も、慎重には慎重を期してということを申し上げたわけでございます。
特に、国民の目からすれば、人道復興支援のニーズは非常にあることはわかる、また自衛隊でなければできない任務である、自己完結型の能力を持ち、また危険にも対処できる能力を持った自衛隊でなければならないということはよくわかると。
一番の国民の懸念は、そういったところへ派遣され、任務を行う隊員の安全がどこまで確保できるか、これが最大の関心事でございまして、これが多分今後の派遣の最終決定に対しての最大のポイントだと思うわけでありまして、この点につきまして、これは防衛庁長官にお聞きしたいと思っておりますが、イラクの情勢は予断を許さない、国連ですら今一時退避をしておりまして、国連事務総長の報告によっても、現時点で復帰することは余りにも危険が大きいという判断を示しているわけでありまして、そういった中で、自衛隊を送るかどうかの最終決断が今迫られているわけでございます。
理論的に言えば、そういったテロに対するためには、テロというのはどうしても脆弱な部分を突いてきますので、やはり自衛隊の側が十分な、切れ目のない抑止力と防御能力を十分に準備できるか、これにかかっているわけでありますが、実際にそれがどこまでできるかということが具体的な問題であると思います。長官も先ほど、あらゆる事態を想定して対処するとお答えになっておりますけれども、具体的に、やはり国民に納得いくように御説明いただきたい。
例えば、常識的に、テロ攻撃が想定されるのは、部隊の移動中であるとかあるいは作業中、そういったところへ迫撃砲やロケット砲が撃ち込まれる可能性は、非常にこれはあると思います。また、輸送機の離着陸のときに携帯用ミサイルで攻撃をすることはしょっちゅう起こっているわけですから、これにも対処する必要があるかと思っております。
こういった具体的なケースを含め、手のうちをもちろん見せないことはありますけれども、国民に対して納得できるような、自衛隊の安全確保について御説明いただきたいと思います。
○石破国務大臣 手のうちを見せないで具体的にわかるようにというのは、なかなか難しい御質問であります。委員はそのことをすべて御存じの上で御質問いただいておるのだと思いますが。
結局、委員がおっしゃるように、移動中が危ないんだということ。そしてまた、自爆テロのように抑止力がきかないものに対してどうするのかということ。あるいはそれが、我こそ自爆テロと言って突っ込んでくるようなことはないのでありまして、それは、見た目は本当に普通の市民である、あるいは友好を装っておるのかもしれない、そういうものに対してどう対応するんだ。あるいは、仮に派遣が決まったとして、宿営地をつくった後はそれなりの防御力はあるわけですが、つくっている最中、ここが一番危ないのではないか。そういうようなことを本当に、冗談ではなく、朝から晩まで、土曜日曜なく、実際に赴きます自衛官、そして武器を扱うことに習熟しておる自衛官たちと、この場合はどうだ、この場合はどうだ、この場合はどうだ、すべてのことを検証しながら私どもやらせていただいております。
例えば、移動中の場合には、それはやはり基本的には前後に警護車両を挟むというようなこともございましょう、そしてまた、防弾能力を高めるということもございましょう、そして、どれだけのスピードで走るのかということもございましょう、そういうこともあわせて考えておるところでございます。
また、飛行機についてのお尋ねがございました。これはいろいろなところで紹介をされているわけでございますが、私どもが考えられる限りの、相手方が持っておると想定されます武器、その射程、あるいは届きます高さ、それから計算をして、どのような飛び方をすればよいのか、地表面においてどれだけの地域をクリアにすればいいのか、そういうことも含めて、本当にありとあらゆるもの、こういうものは考えられないか、それは、先生御案内のとおり、実際に赴く人たちが一番よく考えております。
万全ということは世の中にはございません。しかし、その万全に近いものをやりたい。そして、装備だけではない、権限もそうです、訓練もそうです。あわせて、我々は武力の行使に行くわけではない、そして治安維持そのものに行くわけではない、人道支援、そして安全確保支援ということをやるわけです。そのことを幾ら我々がそう思っていたって、相手がそう思わなきゃどうにもならないんじゃないか、こういう御議論があることもよくわかっています。だとすれば、どうやって現地の方々にそれをわかっていただけるか。溶け込む努力もいたしましょう。しかし、そのときにソフトターゲットにならないようにというのは、本当に極めて難しいことだと思っております。そういうことをなし遂げる能力を持っているのも自衛隊ではないのか。だから総理は、自衛隊でなければできないこと、そのようにおっしゃったのではないかと私は思っております。
○遠藤(乙)委員 ぜひ徹底した対策をお願いしたいと思っております。
もう一点、自衛隊の安全確保に関連して、国連安保理のタリバン・アルカイダ制裁委員会というものがありまして、そこの監視グループの報告書が最近出ておりますが、その中で、イラクのテロにおいて生物化学兵器が使われる可能性ありとの報告が出ております。この問題につきましては、準備はありますか。
○西川政府参考人 生物化学兵器に備えた対策についてのお尋ねでございますが、内容をつまびらかといいますか明らかにすることは、いわゆる手のうちを見せるということになりますので、詳細なお答えは差し控えさせていただきます。
ただ、生物化学兵器の検知あるいは防護に必要な装備の携行というものは現在も十二分に検討しているところでございまして、部隊あるいは隊員の安全の確保には最大限の配慮を持って現在やっております。
○遠藤(乙)委員 何といっても、自衛隊員の生命の保護、安全確保、最大の国民の関心事項でありますので、念には念を入れ、あらゆる事態を想定して努力をしていただきたいと、この際、強い要望をしておきます。
そこで、今度、官房長官にお願いしたいんですが、基本計画を決定され、総理はテレビでも会見をされて、力強く説明をされたわけですけれども、国民の九割近くがまだ納得しにくいといういわば世論調査も出ております。
いろいろな人道復興の必要性、あるいは自衛隊が行かなきゃならない必要性もわかるけれども、なぜこれほどの大きな危険を冒してまでこの時点で行くのかということについては、まだまだ国民の大半は納得できない状況にありまして、どういう具体的な国益がかかっているのか、どうしても避けられない国益がある、それをぜひわかりやすく官房長官の口から御説明をいただきたいと思います。
○福田国務大臣 委員のおっしゃるとおり、世論調査をしますと、国民の大方は、なぜ自衛隊が行くのか、こういうことでありますけれども、しかし、最近の世論調査をよく見てみますと、復興支援に協力をした方がいい、そういう意見というのは過半数を占めている、こういうようにも見ております。何もしないでもいいというのは少数派だということでございますので、やはり国民は、このイラクの復興に、日本人として、日本は関与すべきだという考え方、これはしっかりお持ちなんだろうと思います。それはやはり日本の国民の全体を見て、平衡感覚を働かせて、日本のあるべき方向としてそれがいいのだという判断をされているんだろうというように思います。
問題は、今、このテロの多発するような、そういうような時点においてなぜ自衛隊が行かなければいけないのか、こういう点に絞られてくるんだろうというふうに思います。
確かに、テロの報道は、テロの部分だけ、イラクの国内においてテロの部分だけを事件として報道するということがありますと、それはもうイラクの国内じゅういつもテロがあるんだというような印象を受ける、そういうことはやむを得ないことだというふうに思っておりますので、私は、国民がそのような状況を見て、危ないところに行かせるべきでない、ひょっとしたら戦争を起こすのではないか、こんなようなことを考えていらっしゃるのではないかと思います。
そこでもって、政府としては、そういうようなイラクに自衛隊を派遣するということの必要性、これはやはり、今は本当に言えばイラクの国民も苦しんでいるときであり、また、米英を初めとする諸外国、三十数カ国の諸外国も同じ悩みを持って今闘っている最中だ、苦闘しているんだろうというように思います。そういうような悩みをお持ちの中で、我が国がそれをただ見ているということでよろしいかどうかということは一つ考えなきゃいけないことだろうというように思います。
そして、我が国が派遣される場合には、それは憲法上の制約がございますから、戦争をするようなところには行かない、そしてまた安全もこの法律上、確保していく、こういうようなことを、これを法律にも書いてある。ですから、法律に基づいて粛々とその仕事をしに行く、そういうことであって、決して戦争をしに行くものではないわけで、これはもう当然でございます。また、そういうような予知をされるようなところについてはなるべく活動しないようにしよう、まずは、とりあえずは我が国の憲法、そして法律の範囲でやっていこう、こういう考え方で、この辺については慎重の上にも慎重を期して行動しなければいけないというように思っております。そしてまた、危険が予知されるというようなことがあった場合には、法律上撤退をするというようなこともありますし、それは今後、十分にそういうところを見ながら活動していくということになります。
いずれにしましても、今支援をしない、復興に対して協力をしないでもって、そしてもっと状況がよくなってからしましょうということで、そういうことでもって我々として気が済むのかどうかという問題もあります。
ですから、可能な限り早い時期に、また、みんなが苦しんでいるときに協力をするというのが、これがあるべき姿ではないのかな。そういうことによって、国際社会の中においても我が国が一生懸命やっているという姿も見えるし、またイラクの人もそのことはきっと理解してくれるものというように思っております。
○遠藤(乙)委員 最大限の説明責任を果たしていただきたいということを要望として申し上げておきます。
続いて、今度は外務大臣にお聞きしたいんですが、今、自衛隊の派遣問題ばかりにいわば焦点が当たっているような気がしますが、実は、大変危険なイラクのバグダッドにおいて、日本人の民間の外交官が、非武装の外交官が既に任務に当たっており、しかも二人のとうとい犠牲者を出しているという厳しい現実があるわけでございます。こういった自衛隊の問題ももちろん重要でありますけれども、民間の外交官がそういう危険な任務に当たっているということに対して、もっともっといわば国として最大の配慮をすべきじゃないかと私は強く思うわけでございます。
特に、今大体バグダッド等にある外国の公館の場合には、ほとんど自国の軍隊ないし特殊警察が警護に当たっているのが通常でありまして、それから比べますと、日本の場合、在外警護官制度のもとで若干の強化がされている程度でございまして、相対的に見ると非常に手薄であるということが言えるわけでありまして、まさに絶好のテロのターゲットではないか。テロから見れば、心理的、政治的効果が大きい、そして、かつ脆弱性があるということは最大の実はターゲットになる条件でありまして、そういった条件をすべてそろえているのが今の在バグダッド日本大使館ではないかと思っておりますし、また、アフガニスタンも同じような状況にあると私は思っております。
私は、個人的には、国連すら今退避している状況にあって、日本の公館といえども一時退避の検討をしてもいいぐらいに思っているわけでありますが、なかなかそうはいかないと思いますので、そのためには、何としても最大の防御態勢、警護態勢をとるということが大事だと思っております。
そういった意味で、今回のお二人の大変とうとい犠牲という事件を踏まえて、どれほどこのバグダッドの在外公館の警備強化に当たったか、そういうことにつきまして御説明をいただきたいと思います。
○川口国務大臣 イラクにいたしましても、アフガニスタンにいたしましても、それから、その他の地域にある公館にいたしましても、この安全を確保するということは、我が国が外交活動をきちんとやっていけるということのために大変に重要なことでございます。
イラクにおきましては、今回のことがございましたので、といいますか、その前からも十分にいろいろ手配いたしておりましたけれども、さらに警備の強化を行いました。
こういった情報自体が、国際化、グローバル化している世界のことでございますので、どこかが脆弱であるということであればそこにテロリストの攻撃が集中しかねないという状況でございます。したがって、細かく何をしたということは、恐縮ですが申し上げることを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、先生がおっしゃられたような意識ということをきちんと持ちまして、我が国は今行えることはすべて行っているということでございます。
それで、おっしゃったように、ほかの国でやっている、自国の軍隊あるいは特殊警察による警備ということで、これはほかの国がそうやっているということも事実でございます。我が国として中長期的にどういうようなやり方で警備をやるということが一番いいのか、これはそれなりの広がりを持った問題でもございますので、そういった問題意識を持って外務省といたしましては検討を始めたところでございます。
○遠藤(乙)委員 今、自衛隊による警護任務を与えろという議論もありますが、私は、国民感情からいっても、また自衛隊本来の任務でもないし、テロ対策は自衛隊の専門でもないので、これはちょっと適切でないと考えておりますが、他方、在外公館警護の抜本的強化の必要性はあるわけでありまして、例えば、そういうテロ対策に特化した専門チームをどう外務省としてつくっていくかということだと思います。
例えば、外務省の所轄下にでも、現在の在外警護官制度を発展的にさらに拡大して、仮称、例えば外交警備隊のようなものをつくって、機動性のある、かつ専門的なチームをつくって、そういう危険な地域に直ちに対応できる、機動性のある、また国民からも理解の得られやすい、また目的合理的なそういった制度をつくることは必要だと思っておりまして、第二段階で、例えば、現在の警護官制度のもとでできる限りのそういった充実をする、次の段階では、法整備も含めて、そういったものの検討を考えるといったことが日本のイメージにふさわしい防護体制ではないかと思いますが、これにつきまして、外務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○川口国務大臣 第二段階としてどのようなやり方で警備を行っていくのか、これについてはいろいろな考え方があると思います。そういったことを幅広く視野に入れまして検討をまさに始めたところでございます。ということでございますので、今の時点で何が一番いいかということの結論を出すにはまだ至っておりません。おっしゃられたようなことも視野に入れて、幅広く検討をいたしたいと思っています。
○遠藤(乙)委員 公明党の神崎代表も、政府・与党協議会の場で、在外公館の抜本的警備強化ということを訴えておりますので、官房長官以下、防衛庁長官も含め、ぜひともこの点、御理解を賜り、最大の努力をお願いいたしまして、私の質問にさせていただきます。
以上で終わります。 |
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