第147回国会 運輸委員会 第6号 

第3期 INDEXへ

平成十二年三月二十九日(水曜日)
午前九時三十分開議

○遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 今審議されております交通バリアフリー法案、大変画期的で重要な法案でございまして、私ども、慎重な審議の上に、ぜひ法律を成立をさせ、今後のバリアフリー化に向けて、日本の社会をぜひとも変えていただきたいと強く期待をしつつ、また、質疑をさせていただきたいと思っております。

 さて、このバリアフリーの問題につきまして審議を進めるに当たって、調査なくして発言なしというのが私ども公明党のモットーでもありますので、まず実態調査をした上で、それを踏まえていろいろ意見を言おうということで、私自身も、ことしの二月、私の地元の大田区におきまして集中的に調査を行いました。

 皆様のお手元に配付してあります資料がその概要でございますが、質疑の前に、短時間、このさわりだけでも御報告をさせていただければと思っております。

 私ども、このバリアフリー化を進めるに当たりまして、歩いて暮らせる街づくり推進協議会というものをボランティアとして設置いたしまして、公明党の党員のみならず、幅広くボランティアに呼びかけましたところ、何と二百名を超える方に御参加をいただきまして、大田区内の老人施設を中心に調査を行ったわけでございます。

 まず、一枚目の紙でございますが、調査の対象は、大田区にあります老人憩いの家二十一カ所、これプラス区民センター四カ所、合わせて二十五カ所を対象に、最寄りの鉄道駅またはバス停からその施設までの最も代表的なルートを、実際に車いすに乗り、また私も押して、この調査を行ったわけでございまして、大変詳細な調査になったわけでございます。通常の距離は、一つのルート当たり五百ないし六百メートルぐらいが大体の標準でございます。

 二枚目を見ていただきますと、一番ポイントになる数値でございますけれども、四角で囲ってございますが、それぞれのルート、平均いたしますと、車いすで見た場合、問題箇所、すなわち障害となる部分が何と七・八四メートルごとに一カ所という、大変な障害の多さが改めて浮き彫りになりました。また、通行不可能箇所、これは、車いすが避けなければ通れない、ほとんど車道に出なければ通れないような障害が何と二十三・五八メートルに一カ所という状況が浮き彫りになったわけでございます。

 もとより、大田区も大変人口密集地で、無秩序に工業化が行われ、町づくりが非常に無秩序に行われたこともありまして、道路整備が必ずしもよくない状況でございますけれども、一つのケーススタディーとして見ていただければと思うわけでございます。

 それから、次の三ページを見ていただきます。どういう障害の種類、頻度があるかということでございますが、この三ページの資料で申しますと、まず、一番多い障害が道路上の設置物、特に電柱、街灯、標識、植え込み、こういったところが道路上の設置物として最も多い障害となっております。特に電柱は、大変障害として大きいということが改めて浮き彫りになりました。

 次いで、第二位が、いわゆる凹凸、でこぼこです。マンホール、あるいは道路自体の凹凸、あるいはL形側溝による凹凸、これがやはり非常に車いすの場合には大きな障害になっております。

 第三位が、道路上の移動可能障壁でございまして、これは自転車、看板、自動車、それから商品、道路上を使って商品が陳列されている、あるいはごみ、こういったものが移動可能障壁としてあるわけでございます。

 第四位が段差、第五位が傾斜、こういった順になっておりまして、改めて、障害者あるいは高齢者の方々の目から見て、非常に町が障害に満ちあふれているということが浮き彫りになったわけでございます。

 私自身も実際に車いすに乗り、また押してみて、全く違った世界に見えたという感じを持っておりまして、そういった意味では、先般、大臣も先頭に立って車いすの体験をされたと伺っておりますけれども、政府の方々も、局長さんや課長さん、あるいは担当の方々もぜひ一度はこういったバリアフリーの実際を見て、自分でも車いすに乗り、押すという体験をされることが大変今後の政策検討の上に有益だろうということをぜひ一言申し上げておきたいと思っております。

 それから、四ページ目、写真がついております。ほんの一例でございますけれども、これは電柱。歩道が非常に狭い、白線でしか書いてありませんが、こんな狭い歩道で電柱が立っていますと、車いすは全く歩道を通行できません。電柱が大変大きな障害になっているということが改めてわかるわけでございます。

 それから、次の、下の写真はL形側溝。これがやはりいわゆる凹凸の代表でございます。車いすがひっかかりますと、バランスを失い転倒する危険もありまして、意外と気がつきませんけれども、非常に重要な障害として改めて認識をされた次第でございます。

 それから、次のページへ参りまして、放置自転車。これは移動可能障壁の典型でございますけれども、自転車がこのように置かれておりますと、車いすは大変通行困難を感ずるわけでございます。

 それから、その下の写真は橋の段差。これは健常者から見れば何ということない橋なんですけれども、段差がこのようにありまして、車いすでは全く通行不可能、車道に出ざるを得ないということでございまして、こういったこともいかに日本の町づくりが障害者の方、あるいは高齢者の方に配慮がないかということを典型的に示す例ではないかと思うわけでございます。

 続いて、六ページ。これはパネルは用意してありませんが、私どもがこの調査をやって、まとめる段階になったときに、大変痛ましい事故が発生をしました。それは、私の地元の大田区の東糀谷四丁目の公園のところで車いすの方が車にひかれるという痛ましい事故が発生をいたしました。それは、奥さんが車いすを押して、御主人がリハビリを毎朝やっておるわけでございますけれども、緑地公園を出て、歩道がなくて、車道に入ったところで、バックしてきたトラックによってひかれて死亡するという大変痛ましい事故が起こったわけでございます。まさに私ども、こういった痛ましい事故が起こることを予測しつつ、警鐘を鳴らす意味でこの調査をしたわけでありますが、大変衝撃を受け、また残念に思っている次第でございます。

 次のページにその現場の写真がございます。私ども、直ちに、翌日、独自に現場検証をいたしました。結論として、確かに直接の原因はこの運転手の後方不注意ということが最大の要因でございますけれども、やはり構造上の問題があるということを改めて確認をしたわけでございます。この丸印で囲ってある部分がまさにその事故現場でございますけれども、そもそも道が非常に狭くて、七メートルしか道の幅がありません。そこにほんの申しわけ程度にわずか五十センチの幅で白線が引いてあって、ほとんどこれは歩道を確保されていないという状況でございます。

 そもそも道が大変狭くて歩道が確保されていないということに加えまして、本来、この場所は一方通行に指定してしかるべきところなんですが、その指定もなかったということでございまして、こういった構造上の欠陥がやはり基本にあってこういった痛ましい事故になったということが私たちの現場検証でも確認をされたわけでございます。こういった痛ましい事故をなくしていくためにも、あらゆる角度からのバリアフリー化が急務であるということを改めてお訴えさせていただきたいと思うところでございます。

 以上、私どもの調査のほんの概要、さわりの部分をお伝えいたしましたけれども、そういった実態調査を踏まえた上で、本日の質問をさせていただきたいと思うところでございます。

 まず最初に、この今回のバリアフリー法案におきまして、基本方針や基本構想をつくっていくことになっているわけですけれども、まず真っ先にお願いしたいことは、身障者の方、高齢者の方、そういった方々の意見をぜひとも反映して、十分に聞いていただきたいということが何よりも重要な点でございます。

 法案自体には明記されておりませんけれども、実態的にはやられるというふうに伺っておりまして、ぜひともこの点を確保していただければと思っておりますけれども、この市民参加のプロセス、特に高齢者、身障者の方々の意見をどのように反映していくのかという点につきまして、これはまず大臣にお聞きしたいと思います。

○二階国務大臣 ただいま遠藤委員から、お地元のバリアフリーの状況等についてみずから御調査をいただいたことなど、詳しく御報告をいただきました。また、車いすで交通事故に遭われた、大変お気の毒な結果になられた方の事例もただいま御紹介がありました。本当に申しわけないというか残念な思いをお互いに抱くわけでございますが、こうした交通事故を含め、車いすの方々が安全に安心してお散歩にも行ける、電車にも乗れるという社会をつくっていくことが、我が国が本当に経済が繁栄し、そして文化国家として私たちが世界に胸を張るためには、どうしてもこのバリアフリーの問題に積極的に対応していかなくてはならない、そういう思いでございます。

 ただいま御指摘がありましたように、これから基本構想を作成する、あるいは具体的に施設整備のガイドラインの作成に際しましても、また、この法案をつくり上げていく上におきまして高齢者団体や身体障害者の団体の皆様の御意見も十分お伺いをしてまいりましたが、今後もこうしたことに対して特に留意をしていかなくてはならないと思っております。昨日も、バリアフリーに関するシンポジウムでそうした団体の皆様からの御意見も伺ったところでありますが、今後、こうしたことをぜひ継続的に続けていきたいと思っております。

 閣議で既に決定しておりますパブリックコメント手続を実施するなど、広く国民各層の御意見をちょうだいすることに留意いたしておりますが、今後とも、本法に基づく基本方針におきまして、そうしたことに十分留意をしてまいりたいと思っております。

 私ども、先般、赤羽駅等を視察しました際に、車いすの方々の御意見を伺っておりますと、例えば健常者といいますか普通の者はエレベーターに乗って、そして乗ったところからおりる、日常生活の中にもうエレベーターはすっかり組み込まれておりますから、何とも思わずにエレベーターに乗っておると思いますが、この間、車いすの方々が、乗ったエレベーターでホームに着いたときに、車いすを一回転させなくても、別の入り口のエレベーターのドアが開くことによって、乗ったままの、そのままの勢いでホームにおりることができる、これは大変すばらしいということをおっしゃっておりました。

 また、エレベーターの設置に際しまして、JRでは、世界各国にいろいろと調査をした結果、随分安い値段でエレベーターを購入することができる道も開けた。ですから、お互いにバリアフリーの社会を構築するという共通の信念さえあれば、いろいろなことがこれから工夫されてくると思います。

 ですが、先ほどからも委員御指摘のとおり、地元の実情あるいはまたそうした関係者の皆さんの本当の思いを相手の立場に立って考える、これこそこの問題を進めていく上において最も大事なことではないかと感じておりますので、御指摘の趣旨を十分踏まえてまいりたいと思います。

○遠藤(乙)委員 大臣が御自身の車いす体験を踏まえての大変心のこもったお言葉と受けとめまして、非常に心強く感じた次第でございまして、今後の関係当局の仕事に当たっては、今の大臣の気持ちをぜひ体して、十分に高齢者あるいは障害者の方々の意見を取り入れるべく最大の努力をまずお願いしたいと思います。

 続いて、本法案の大きなポイントになっているかと思いますが、既存施設のバリアフリー化の問題です。

 この法案では、新規施設は義務化されておりますけれども、既存施設は義務化されておらず、努力目標と書かれております。しかしながら、実際問題としては、この既存施設のバリアフリー化は実は最大の大きなテーマでありまして、これをどうやって具体的に、現実的にバリアフリー化を進めるかということはこの法案にかかわる最大の問題ではないかと私は思っております。

 したがって、単に努力義務を決めるだけではなくて、現実的にどうやって実行するか、政策的なインセンティブを与えていくかということが大きなポイントになるかと思いますので、まず、この点につきまして、政府側の見解をお聞きしたいと思います。

○中馬政務次官 バリアフリー化につきまして、実地で大変熱心に取り組んでおられます遠藤委員に心から敬意を表する次第でございます。

 今御心配をいただいております既存の旅客施設におけるバリアフリーの問題でございますが、御承知のとおり、新設につきましてはこれを義務化いたしておりますけれども、既設のところでは、一日乗降客が五千人であっても必ずしも義務づけるんじゃなくて、努力義務といたしていることは御承知かと思います。

 これも、逆に、既存のところの方は電車がとまっているときに工事をしなければいけないとか、工事費等で新設よりもかなりの費用がかかります。そういったことで、これを一挙にということは現実問題として難しゅうございますから、そういうことでも努力義務という形で優先順位をつけさせていただいているわけでございます。

 しかし、今回のこの法律、御承知のとおり、地方自治体にかなりの主導権を持たせております。その地方の方々が本当にその必要性を訴えられまして、また自治体を動かし、そしてまた自治体が重点整備地区に指定して、一体的な推進構想、いわゆる基本構想を提示したときには、そしてそれが合意されたときには、これは既存のものであったとしても、そこに組み込まれている以上、半ば義務化されることになるわけでございますから、そういうことで、地方自治体が主導的に動くことによりまして、既存のところにも十分に整備されていく、このように認識いたしております。

○遠藤(乙)委員 同じ質問を民主党にもお願いをしたいと思います。

 民主党の場合には踏み込んだ提案をされておりますけれども、他方、今度は財源の問題ですね。これは非常に大きな制約であるかと思いまして、財源の手当ても含めて、どのように既存施設のバリアフリー化の取り組みを考えているか、民主党の考えをお聞かせいただきたいと思います。

○前原議員 政府案とは違いまして、民主党案では、既存の施設につきましてもバリアフリー化を義務づけた内容になっております。基本指針に定めるところに従いまして、事業者等が計画的に推進をするという内容でございます。

 私どもは、一カ月にわたりましてパブリックコメントを拾い上げまして、その寄せられた多くの声としては、今先生から御指摘のあったように、既存施設に対するバリアフリー化の要望がかなり多うございました。しかし、今御指摘をされたように、既存の施設のバリアフリー化というのは、つくりかえるわけですから、逆に、新たにつくるよりもお金が余計にかかるということで、事業者にとっては負担が大きいということで、我が党案では国においてその四分の三を補助するということにしております。

 そこで、お尋ねの、財源をどうするのかということでございますが、新たに我々はその分の財源をとるということは考えておりません。

 今国会に提出をいたしますけれども、党として、公共事業コントロール法案というものを出そうと思っております。現在十六本ある公共事業の中長期計画というものを一つにまとめまして、ダブりをなくすとか、あるいは公共事業のアクセルをある程度緩めるとか、また、ある一定金額以上の公共事業については、行政権にすべてゆだねるのではなくて、国会で御審議をいただく中で本当に必要かどうかということを考えようとか。また、時のアセスという概念を入れまして、例えば中海ですと、昭和二十九年からずっと計画がされていて本庄工区だけまだされていないとか、あるいは川辺川のダムですと三十四年間、計画が策定されてからまだ本体工事に入っていない、こういうものもございますので、時のアセスを入れる中で、十年たったものについては見直しを行うということにしております。

 そうすれば、我々の試算では六百五十億円がこの新たな、既存施設も含めてのバリアフリー化にかかるということでございますが、今申し上げた公共事業コントロール法案によって、十分その部分については、余りあるほどの財源の捻出は可能だというふうに思っております。

○遠藤(乙)委員 十分議論する時間がありませんが、財源の点ではなかなか制約が多いという認識を私も持っておりまして、既存施設の義務化ということはやはり現時点では困難であろう。しかしながら、どうやって努力をするかということは今後大いに党派を超えて議論すべきであると思いますので、今後の議論にぜひまちたいと思っております。

 続いて、この法案を契機に大いにバリアフリー化が進むと思いますけれども、例えば今後十年間を考えたときに、十年後の日本の社会がどういう形でバリアフリー化が進んでいるのか、より具体的なイメージを持ちたいと思うのです。この点につきまして関係省庁の意見を聞きたいと思いますが、まずこれは運輸省ですかね。

○羽生政府参考人 先生御指摘がございました今後の目標でございますが、これは基本方針に記されることになりまして、関係者の御意見も伺わなければいけないので、一つの考え方ということで申し上げたいと思います。

 私どもといたしましては、一日当たり乗降客数五千人以上である旅客施設について、二〇一〇年までに段差の解消、誘導・警告ブロックの整備、トイレがある場合には身体障害者用トイレの設置等、バリアフリー化を今申し上げた五千人以上のすべての旅客施設について実施すること、またこれ以外の旅客施設であっても、地域の実情にかんがみ、利用者数のみならず、高齢者、身体障害者等の利用の実態を踏まえて、これについても可能な限り実施していく、必要があれば数量目標をつくるということでございます。

 それからバス車両については、現在約六万両のバス車両がございますが、これは原則として、おおむね十年から十五年で低床化されたバスに代替する、このうち二〇から二五%、一万二千台から一万五千台はノンステップバスとすることを目標として考えております。

 またこれ以外にも、案内表示板その他いろいろな問題がございますが、関係者の御意見を伺って、技術的な可能性も踏まえて私どもも目標をつくっていきたいと考えております。

○遠藤(乙)委員 続いて建設省、お願いします。

○大石政府参考人 道路のバリアフリー化の今後の見通しについてのお尋ねでございます。

 道路のバリアフリー化につきましては、幅の広い歩道の設置、あるいは既設歩道の段差、傾斜、勾配の改善等を内容といたしますバリアフリーの歩行空間ネットワーク整備事業というものを行っております。これは二十一世紀初頭、一応二〇一五年から二〇二〇年というのを頭に置いてございますが、一万四千地区に整備の概成を図りたいと考えてございます。これは、我が国のDID地区ほぼ全体でございます。そのうち、この二割に当たります三千二百カ所、これはDID一万四千地区のうち、市街地の駅、商店街、病院、福祉施設等が集積し、優先してバリアフリーを推進していくべき地区でございますが、この三千二百地区につきましては、平成十四年度までの新道路整備五カ年計画内に整備することといたしております。

○遠藤(乙)委員 同じく警察庁、お願いします。

○坂東政府参考人 都道府県公安委員会の事業といたしましては、バリアフリー化に資する信号機の高度化とか、あるいは同じくバリアフリー化に資する信号機の新設、あるいは道路標識、道路標示の整備といったものを進めることにしておりまして、来年度の予算におきましては、こういったバリアフリー化に資する信号機の高度化につきまして約千三百カ所、事業費ベースで約十一億円の予算をお認めいただいているところでございます。また、各都道府県警察におきましても積極的に必要な予算の確保が図られるものというように考えているところでございます。

 そこで、今後の事業の規模ということでございますけれども、市町村が作成いたします基本構想の決定というものとあわせながら、今後どのぐらいの規模で実施していただくかということを各都道府県警察において決定していくものと考えておりますので、私ども警察庁といたしましては、そういった各都道府県警察が作成いたします交通安全特定整備において織り込まれました交通安全施設等整備事業につきまして、これが十分に達成されるように適切に指導してまいりたい、このように考えております。

○遠藤(乙)委員 今三省庁からそれぞれ十年間の目標の発表がありましたが、ぜひとも、その具体化に向けて邁進をしていただければと思っているところでございます。

 続いて、今度は公共交通特定事業に関連して若干御質問します。

 今回の法案では、タクシーとかコミュニティーバスあるいはSTSといったものは位置づけがされておりません。ただ、これはやはり我々が現場から見ても、今回の調査から見ても大変有用なものであることは間違いないわけでありまして、介護タクシーとか目的を特定したコミュニティーバスあるいはSTS等は、バリアフリー化に向けて、また個別のニーズに対応するためにも、大変これは効果の高いものであると思いますので、今後どのようにこれを推進していくのかということにつきまして、まず運輸省の見解をお聞きしたいと思います。

○縄野政府参考人 タクシーにつきましては、個別の輸送に対応する公共交通機関でございますが、これにつきましてもバリアフリーが必要であると認識をしておりまして、特に、車いすのまま乗車可能なリフトつきタクシーにつきまして車両の導入拡大を進めるべく、例えば、今年度の第二次補正予算におきまして、先駆的な福祉タクシー車両の購入経費の一部を補助する事業を行ったところでございます。

 それからコミュニティーバスにつきましては、その導入につきまして、現在、関係地方公共団体と協調しまして補助を実施しているところでございます。

 それから、いわゆるSTS、スペシャル・トランスポート・サービスについてでございますけれども、このSTSというものが概念としてどのようなサービスをいうのか、どのようなサービスを、どういう責任で、どういう負担で、どういう意図で行うのかということについて、いま一つ社会的なコンセンサスが得られていない部分もあろうかと思います。安全の確保でありますとか輸送の責任、事業でやるかどうか、法制度上の位置づけにつきまして、もう少し社会のコンセンサスを得られるよう私どもとしても努力を進めながら、そのサービスが進展されますように、私どもとしてもできる限りの対応をしてまいりたいというふうに思っております。

○遠藤(乙)委員 今のタクシー、コミュニティーバス、STS、いずれも大変有用なものであることは間違いありませんので、今後、検討課題としてぜひとも精力的に検討を進め、早期に結論を得ていただくようお願いをしたいと思います。

 それから続いて、駅の施設のバリアフリー化に関連して、資料を見ますと、JRと私鉄を比べますと、JRが大変おくれているという印象があります。例えば、平成十年度末の施設整備の状況を見ますと、エレベーターの設置はJR四・四%に対して私鉄は一三・九%。エスカレーターの設置は、JRが七・一%に対して私鉄が二四・一%。それから身障者用トイレ、これはJRが三二・六%に対して私鉄が八四・二%と、非常に大きな開きがあるのが目につくわけです。本来、一番大手であるJRが率先してやっていかなければいけないのでしょうけれども、なぜJRがこのようにおくれているのか、理由をお聞きしたいと思います。

○安富政府参考人 先生御指摘のように、JRにつきましては、ほかの私鉄等と比べてバリアフリー化についての整備比率と申しますか、若干おくれているということは御指摘のとおりだと思います。
 この問題につきましては、どうしても既存の鉄道駅が多いということが一つの要因ではないかと思います。先ほどから話がございますように、既存の鉄道駅をバリアフリー化するという場合には、どうしても物理的な制約とかいうことでなかなかできないという場合もございますし、それから、それを実施するとなると大幅な改修を必要とするというようなことがございまして、莫大な経費がかかるというような問題もございます。

 そういう意味で、JR自体、従来なかなか進んでいなかったということが推測されるわけです。しかしながら、最近、本格的な高齢化社会の到来ということで、バリアフリー化、非常に社会的関心が高くなっておりまして、昨今の状況を見ますと、例えばJRにつきまして、エレベーターあるいはエスカレーターの整備比率、対前年での比率を見てみますと、必ずしもほかの民鉄業者と比べて遜色ない、特にエスカレーターにつきましてはかなり最近では力を入れてきているということがございます。

 そういう意味で、これはもちろん社会的な関心が高まったということとあわせて、補助制度というものがある程度充実してきた、御承知のとおり、平成十年度第三次補正予算からかなり大幅な助成制度ということで我々予算を獲得しているわけでございますので、こういうものを今後活用し、さらに、今回の法案において精力的なバリアフリー化の推進ということが図られるということで、我々としても、JRに対しても今後とも積極的なバリアフリー化が図られるように指導していきたいというふうに考えております。

○遠藤(乙)委員 ぜひその方向で努力をいただきたいんですが、今回の実態調査の中でも、特に私の地元大田区で、JRは蒲田駅と大森駅があるんですが、蒲田駅は一日平均の乗降客が二十五万五千人、大森駅は十八万二千人、非常に利用数が多いんですね。しかも、ロータリーの道路から改札口まで非常に標高差が高いんですね、十メートル以上はるかにあると思うんですけれども、身障者の方、高齢者の方から大変強い要望がエレベーター設置について出ておりますので、一つの地元の要望ということでありますけれども、鉄道局長からぜひ前向きの御回答をいただければと思います。

○安富政府参考人 御指摘のとおり、JR大森駅につきましてはエスカレーターが一基あるだけ、それから蒲田駅についてはエスカレーター二基ということで、現状ではエレベーターが未整備の状況になっております。

 ただ、先ほども申しましたように、駅のバリアフリー化、実際にいろいろ施設を整備するとなりますと、当然、当該駅の利用状況あるいは駅の構造といったものを十分念頭に置きながらやっていかなきゃいけないということでございまして、東日本の方でも、地元の要望を聞きながら、ぜひ地元と一緒に話し合いを進めていきたいというふうに申しております。今後、地元自治体と協議して、具体的にどういう形でやっていくのか、先ほど申しましたように、助成制度の活用あるいは本法案にございます基本構想の中でどう位置づけていくかというようなことも含めまして、ぜひ地元自治体とJR東の協議が、話し合いが進められるように我々としても応援していきたいというふうに考えております。

○遠藤(乙)委員 特に一番最大手であるJRが率先してそういったバリアフリー化を推進するよう、ぜひ強力に督励をしていただければと思っているところでございます。

 続いて、道路特定事業に関連して御質問いたします。

 先ほどの私ども地元の調査からもわかったことなんですが、従来道路を舞台に行われてきた公共政策、特に、電柱とか標識、街灯、植え込み等、いろいろな要望を恐らく踏まえて実現をしてきたわけなんですけれども、そういったやり方がかえって、今にしてみると、逆に障害、障壁を構成しているということがわかるわけでありまして、今後のバリアフリー化、特に道路のバリアフリー化を考えますと、大きな道路政策の見直しといったものが必要になるかと思っております。

 そういった上で、このバリアフリー化の理念、法整備化を踏まえた今後の道路整備方針につきまして、これは建設省にお伺いをしたいと思います。

○大石政府参考人 バリアフリー化を進める上で、特に歩行空間の障害物が問題ではないかという御指摘でございます。

 歩行空間のバリアフリー化のためには、段差が小さく勾配の緩やかな歩行面を確保するとともに、車いすのすれ違い等が可能な歩行空間の幅員を確保することが重要でございます。歩行空間の幅員を確保する上で、電柱や標識、植え込み等がバリアとなっている状況があるとの指摘があることは認識しているところでございます。

 このため、例えば標識につきましては、平成十二年三月二十三日、ごく最近でございますが、警察庁と連携いたしまして、道路標識の集約化につきまして、道路管理者及び都道府県公安委員会と連携してやっていく旨の通知をしたところでございます。

 また、電柱につきましては、地域に応じて電線類の地中化による撤去や道路区域外への移設を進めてまいっているところでございます。例えば電線類の地中化は、過去十三年間で三千四百キロメートルを整備し、年平均二百六十キロメートルの整備スピードで進めてまいりましたが、今計画の平成十一年から平成十五年までの計画では、五年間で三千キロメートルを整備することといたしておりまして、年平均六百キロメートルを整備したい、従来の整備スピードに対しまして二・三倍のスピードで整備をしたいと考えているところでございます。これらによりまして、電線類の地中化や電柱の撤去が急速に進むものと考えてございます。

 また、道路植栽のあり方につきましても、一部からは、利用者の観点を踏まえてさらなる検討を求められている箇所がございます。こういった点につきましても十分な検討をいたしまして、幅員の豊かな歩行空間の確保を図るよう努力していきたいと思います。

○遠藤(乙)委員 ぜひそういう新しい道路整備の理念に立った今後の整備をお願いしたいと思います。

 続いて、交通安全特定事業に関連しますけれども、移動可能な障害の中で、やはり自転車、それから違法駐車、これが非常に大きな要素になっておりますが、これに対してバリアフリー化の視点から今後どのように取り組んでいくのか、これは警察庁にお聞きしたいと思います。

○坂東政府参考人 お答えいたします。

 違法駐車等の問題に関しましては、かねてから、地域の交通実態に応じた駐車規制とか、あるいは悪質性、危険性、迷惑性の高い違反に重点を置いた駐車違反の取り締まりといったものを行うとともに、関係機関やあるいは団体に対しまして、違法駐車防止条例あるいは駐車場付置義務条例等の制定につきまして、あるいは公共駐車場の整備等につきまして、働きかけを行ってきたところでございます。

 今後ともこういった対策を積極的に推進するとともに、特に今回の法案に規定されております重点整備地区におきましては、高齢者あるいは身体障害者の方々の移動円滑化の妨げとなるような違法駐車行為を防止するために、特定経路を構成しております道路におきまして、誘導あるいは警告ブロック上に放置されております違法駐車等の取り締まりを強化するとともに、関係機関等と連携いたしまして、違反防止のための広報啓発活動、こういったものを重点的に行いまして、この法案の効果が十分に上がるように取り組んでまいる所存でございます。

○遠藤(乙)委員 ぜひそういった視点の規制は強化をしていただきたいと思います。

 他方、規制強化だけではこの問題解決にはならないということは私たちも現場でよく理解をしておりまして、やはり十分な駐車場あるいは駐輪場、この設置が伴わなければ基本的な解決にはならないと思いますので、この点につきましては建設省にお願いしたいと思います。

○山本政府参考人 先生御指摘のように、駅周辺における違法駐車あるいは違法駐輪の問題解決、駐車違反の取り締まりとか放置自転車の撤去等だけでは十分ではないということで、駐車場、駐輪場の整備を進めることが極めて重要であるというふうに私どもも認識をいたしております。

 従来より、私ども建設省といたしましても、町づくりの中で地方公共団体や民間事業者が行う駐車場、駐輪場の整備を支援するための各種の補助制度あるいは融資制度、税制上の優遇措置等を講じておるところでございます。

 例えば駐車場の整備につきましては、駐車場法に基づく駐車場整備地区の決定でありますとか駐車場整備計画の策定によって計画的な駐車場の整備を促進する、あるいは公共団体等の駐車場の整備に対する特定交通安全施設等整備事業あるいは都市再生交通拠点整備事業による補助の制度、あるいは公共団体等の駐車場を整備する者に対します有料融資事業による融資制度、民間等に対する道路開発資金による融資、あるいはさらには税制上の優遇措置、あるいは駐輪場の関係につきましても、同じように公共団体に対する街路事業でありますとか特定交通安全事業についての補助制度あるいは民間に対する融資制度、税制上の措置といったような点について、私どもやっておるところでございます。

 特に、今回、本法案に基づきまして市町村が作成する基本構想で、鉄道駅等の周辺の重点整備地区における駐車場とか駐輪場の整備が位置づけられた場合には、積極的に私ども支援してまいる所存でございます。

 なお、十二年度におきましては、私ども、そういう点から、交通結節点改善事業といったような制度でありますとか、あるいは都市再生交通拠点整備事業といったような新たな事業を創設して、この問題に対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

○遠藤(乙)委員 それからもう一点です。道路使用の問題なんですが、特にこれは商店街に関連しますけれども、商店街は、従来から道路を一部使用して商品を置いたり、店をさらにせり出したり、あるいは看板が立ったり、むしろ商店街のためによかれと思ってやってきた部分があるわけですけれども、今このバリアフリー化の視点から見ますと、逆にそういったことが障害を構成しているという部分もあるわけでございます。

 そういった意味で、ちょっと時間がありませんので、これは要望ということで申し上げたいんですが、そういうバリアフリー化の視点からもう一度商店街のあり方を見直すことも大事なポイントであるということ、ぜひともこれは警察庁にそういう検討を今後お願いしたいと思うところでございます。

 そこで、時間もありませんので、私たちの調査を踏まえた上で一つの提言ということをしたいと思っております。それは、全般的にバリアフリー化をやることは不可能、困難でありますけれども、財源の問題あるいは実際の車の状況等を考えまして、バリアフリー化を推進していく上の一つのポイントは、やはり障害者あるいは高齢者の視点に立って重点的にモデルルートを整備していくということが現実的な目標として大事ではないか。その中で、特に三種類のいわゆるモデルルートをそれぞれの地域で重点整備をしていくことが必要と思っております。

 第一点が、生活必需品の買い物ルート、特に商店街を含む買い物ルートのバリアフリー化ということが第一点。

 それから二番目は、余暇健康空間とでもいうべきルートです。例えば私の地元でいいますと、馬込の文士村とかあるいは旧六郷用水とか、そういう歴史的あるいは自然に富んだルート。これは、実はそういった方々にとってはいわゆるリハビリテーションにもなるような、非常に楽しみながらリハビリをする空間にもなるわけであって、こういうルートもぜひバリアフリー化が優先的にされるべきだと思っております。
 それから三つ目に、医療福祉施設のルートですね。当然のことながら、病院とか老人福祉施設等々、こういった高齢者、身障者の方も自由に使えるような、容易に動けるような、そういったルートを重点的に整備する必要があるかと思っております。

 こういうことを考え合わせますと、従来の町づくり、都市計画には、随分大きな変更が、見直しが必要となってくると思うわけなんでございますが、歩いて暮らせる町づくり、あるいは高齢者、身障者に優しい、人に優しい町づくりという視点から、相当大幅な都市政策の見直しが必要になると考えておりますけれども、この点につきましては建設省にお伺いをしたいと思います。

○大石政府参考人 確かに、先生御指摘になりましたように、バリアフリーの歩行空間ネットワークの整備を進めようと思いますと、地域の方々の強い支持がなければなりません。そのためには、そのような空間を整備したいという地域からの熱意がぜひとも必要でございます。

 例で恐縮でございますが、電線類の地中化がこれほど進むことになりましたのも、例えば東京の馬喰町で第一号の地中化をやらせていただきましたが、そういったパンフレットをたくさんつくりまして、地中化をやればこれだけ美しい町になるといったようなことから、多くの方々にこの地中化を受け入れていただいたということもございます。

 事業評価システムとは別に、今先生が御指摘になりましたようなバリアフリー化の取り組みのインセンティブとなるような広い紹介システムや、あるいはモデル事業のあり方について、建設省におきましても積極的に検討してまいりたいと考えております。

○遠藤(乙)委員 時間がありませんので、最後の質問になります。

 私ども、今回の調査を踏まえて、ハードの整備はもちろん大変重要であるということがありますけれども、同時にやはりソフト面、心のバリアフリー化といいますか、これは二階大臣もよくおっしゃっているんですが、これが大変重要であることを改めて痛感しました。

 特に移動可能な障壁の場合、やはり健常者の人たちのマナーというものが大変重要でありまして、そういう国民の理解、協力というものがあって初めてハード、ソフト両面にわたってのバリアフリー化が推進され、最も人間的な社会が日本につくられていくんだろうと思うわけであります。

 その点では、心のバリアフリー化、国民の理解と協力、極めて重要だと思うのでございますが、最後に結論的に、これは二階大臣に、この点につきましての御所見をお伺いしたいと思います。

○二階国務大臣 遠藤委員を初め公明党の議員の皆さんが、随分早い段階からバリアフリー化の推進につきましていろいろと積極的な御意見を寄せていただいておりますことに、この席をかりて感謝を申し上げたいと思います。

 そして、私も、さまざまな政党の皆様を通じて、車いすの生活者の皆さんと直接お話し合いをさせていただく機会もたくさんございました。例えば目の御不自由な方々が、よくホームから落ちる、落ちた経験を持っておる。お聞きしながら、まことに胸の痛む思いでございます。私たち目の不自由な仲間の間ではホームで一回落ちないことには一人前とは言えないのですよ、こうしてジョークのように私に語りかけてくれましたが、本当にその実情を思い浮かべるときに、これは大変なことだという思いをしました。

 今、大森、蒲田等の大変交通の煩雑な駅におきまして、これまた極めて重要な課題であります。したがいまして、さくをつくるとか、いろいろな方策がありますが、やはり今遠藤委員御指摘の心のバリアフリー、その御近所、周りに立っておられる方々が、何かお手伝いすることはないでしょうか、何かお役に立つことがあればという優しい言葉をかける雰囲気が国全体に広まっていくようなことでなければ、幾ら補助金を出しても、幾ら法律をつくっても、幾らインターネットで御意見を聞いてみたところで、私はなかなか進むものではないと。

 アメリカに十年おくれてスタートしたわけでありますが、私は先ほどもやがて追いつき追い越したいということを申し上げましたのは、日本国民全体の温かい心のもとにバリアフリーを進めていくということで頑張っていけば追いつくことはそう難しいことではない、私はこう思っております。

 どうぞ遠藤委員を初め各委員の皆さんの一層の御指導、御鞭撻を運輸省に対しましても、また、御一緒に法案を出させていただいております自治省や建設省や警察に対しましても温かい叱咤激励をちょうだいいたしたい、ともどもに力を合わせて頑張っていきたいと思います。

○遠藤(乙)委員 大臣の大変核心をついた、また非常に力強いお言葉を伺って、心強く思う次第でございます。

 確かにバリアフリー化、着手はおくれましたけれども、二十一世紀初頭におきまして、我が国が世界一バリアフリーな、また人間的な社会になることを目指して、党派を超えて、また官民ともに協力をして、ぜひともこれから邁進したいと思うわけでございます。

 以上をもちまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。



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