平成十二年三月二十二日(水曜日)
午前九時一分開議
○遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。
私自身も公明党の営団事故対策委員会の一員としまして、当日昼過ぎに現地に参ったわけでありますが、大変衝撃を受けた次第でございます。特に、先ほど大臣もおっしゃっておりましたが、大臣の施政方針演説の中で安全を最優先にということを表明されまして、私たちも全面的に賛同し、これを一体となって推進していこうといったやさきだっただけに、大変衝撃を受けたわけでありますけれども、ぜひとも再発防止のために最大の努力をすることを誓い合いたいと思っております。
時間がございませんので、単刀直入に話をしていきたいと思っております。
今菅委員からも、脱線防止ガードの話がありましたが、同じような論点になりますけれども、最重要の点だと思いますので、重ねて私も質問したいと思います。
この事故現場はいわゆるS字型カーブ、しかも上り勾配というところであって、常識的に言うと、脱線の危険の確率の最も高い箇所であるということは指摘されてきたとおりであろうと思っております。脱線の事故原因につきましては今検討中であり、早々に結論を出すことはできないと思いますが、常識的にいろいろな状況から考えますと、恐らくさまざまな要素が複合してこういったいわゆるせり上がりの脱線になったという見方が支配的であり、これはほぼ妥当な見方ではないかと私も考えるわけでございます。そうであるとすると、やはりなぜ脱線防止ガード、いわゆる護輪軌条が設置されていなかったか、これが最大のポイントではないか、重ねて私も指摘したいと思っております。
この設置基準につきましては、各社かなりばらつきがあります。東急の場合半径四百五十メートル以下、小田急が四百メートル、京王が三百メートル、京急が三百メートル、西武が二百五十メートル、JR東日本が二百五十メートル、それに対して営団地下鉄は百四十メートルと異常に甘いということがまず指摘されるかと思います。
それからもう一つは、時間的経緯をたどると、営団はこの基準を緩くしてきました。一九五一年に二百メートルであったのが、五四年に百八十メートル、五八年に百六十メートル、六八年に百四十メートルということでありまして、この事故現場が半径百六十・一メートルということを考えますと、どんどんこれを甘くしたその限界点で事故が起こったということでありまして、悔やんでも悔やみ切れないものではないかと私は考えるわけであります。
こういったことをかんがみますと、やはり営団として脱線の危険性についての認識が甘かった、またそれによって、効率化といいますかコスト削減を図るために、結果として安全が犠牲になったと言わざるを得ないと思いますけれども、この点につきまして、営団総裁、どのようにお考えですか。
○寺嶋参考人 委員ただいま御指摘のように、脱線防止ガードの設置基準を過去において引き下げ、昭和四十三年以来百四十メートル以下ということにしております。ただ、いわゆる防止ガードの機能は、過去においてはレールの摩耗防止が主たる目的と認識されておりまして、その後、技術の進歩によりまして、レールの改良とか塗油器の改善等が見られましたので、その機能は次第に意味を失いまして、昭和五十六年以降は脱線防止の機能を主眼に考えることになっております。
ただ、順次基準を緩めてきました段階におきましても、常に実車による脱線係数等の測定を行いまして、それが安全性の目安とされている数値の基準以内におさまっているということをチェックしながらやってまいりました。
したがいまして、当時の判断としては、これで十分安全であるという考え方に立っておったわけでございますが、遺憾ながら、このたび半径百六十メートル余りのところで事故が発生いたしまして、このことを私どもは深刻に受けとめ、今までの考え方にこだわらずに、今後、先日運輸省から指示されました半径二百メートル以下の曲線につきましては脱線防止ガードを設置するという考え方で、緊急にこの工事を進めてまいりたいというふうに思っております。
○遠藤(乙)委員 今の総裁の御発言の中で、当時の判断としては安全であったという発言がありましたが、ただ、それを今実際事実が覆したわけですから、やはりその当時の認識は甘かったということをお認めになりますか。
○寺嶋参考人 四十三年以降も、回数にしますと何百万回という回数で同じ地点を列車が無事に通過してまいったわけでございます。しかしながら、その事実は事実として、今回このような事故を招きましたので、その点は私どもは謙虚に受けとめております。したがって、先ほどのような再発防止措置をとろうとしております。
○遠藤(乙)委員 今度は運輸省に伺いますが、先ほども御説明がありました運輸省令普通鉄道構造規則には、一応、脱線防止ガードの設置について定められておりますけれども、これはあくまで定性的な表現になっておりまして、危険な箇所には設置すべきだと。雨が降りそうなときは傘を持っていった方がいいというような、そういった表現でありまして、安全基準のガイドラインとしては、やはりちょっとこれは不十分ではないかという気がいたします。
特に、やはり定量的な指数を入れないことにはきちっとしたガイドラインにならないのではないかと思うわけでありまして、単に半径のみならず、恐らく勾配であるとか列車の速度も当然関連してくるかと思いますけれども、もう少しきめの細かい定量的な安全基準、一つだけではなくて、いろいろな状況に合わせて、例えば複数であってもいいと思うんですが、そういうきめ細かい定量的な安全基準を再検討すべきではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
○安富政府参考人 先生御指摘のように、現在の基準では定性的に書いておりまして、具体的には、鉄道事業者がガードレールの設置の具体的基準を定める際に、曲線における運転速度であるとか車両性能あるいは線路の状況等を勘案して定めております。
今回、三月十六日の検討会、それから三月十七日の通達ということで、ガードレールを二百メートル以下についてつけろということを指示いたしましたが、これはあくまで緊急的な措置だと我々も考えております。今後、事故原因の究明等を事故調査検討会で行っていく際に、我々としては、具体的な、定量的な設置基準というものを定めることがどういうふうな形でできるのかも含めまして、調査検討会のいろいろな意見を伺って、今後対処してまいりたいというふうに考えております。
○遠藤(乙)委員 ぜひとも今回の事故原因の究明を踏まえ、きちっとした結論を出していただくよう強くお願いをしたいと思います。
続いて、もう一点です。私が現場を見て気になったんですが、車両の軽量化という側面でございます。
車両につきましては、従来、スチール製からステンレス製、さらにアルミ製へと主流が変わってきたわけでございますけれども、アルミの場合には、大変当初のコストは高くても、軽量化によるコスト軽減あるいはまたメンテナンスの軽減ができるので、経済的には非常に有用なものだということでアルミが主流になってきたと思っております。現場を見た限り、下り線のアルミ製の車両が、三分の二ぐらい側面がはぎ取られておりまして、ちょうど缶詰のふたがはがれたような状況でございまして、非常に強度が弱かったのではないか。そのはがれた部分が上り線に突っ込んで大惨事になったというふうな感触を私は持っておりまして、やはり車両強度の問題も、ぜひともこれは検討する課題であると考えております。
特に、横からの衝撃に対する強度というものを大変重要な要素として今後検討すべきではないかと思っておりまして、この点について、車両の強度基準はどうなっているのか、特に横からの衝撃に対してどうなのか、今後どういう方向で検討するかについて、お考えを聞かせていただければと思います。
○安富政府参考人 現在、車両の車体強度につきましては、これも普通鉄道構造規則の百八十八条で、車両の車体は、堅牢で十分な強度を有し、運転に耐えるものでなければならないという規定がございます。
これを受けまして、各鉄道事業者において車両を設計する際に、運転状況等から車体にかかる乗客等の荷重あるいは連結部等の前後に働く力といったものを考慮しまして、所要の安全対策を確保しているところでございます。これは具体的には、JIS規格等で各種の試験方法が定められておりまして、それに基づいてやっております。
ただ、おっしゃいますように、横からの強度ということについて、どの程度これを確実にやっているかということについては、必ずしも十分ではないという点もあるかと思います。ただ、今回、アルミ製の車両が具体的な事故原因にどう結びついたか、あるいは事故の被害の拡大にどう結びついたかということは、原因究明をする過程において我々としても重大な関心を持って検討しなきゃいけないなと思っております。
そういう意味で、その検討結果を見まして、今後運輸省としても、車体の強度とか構造等の安全対策についてどうしたらいいのかということについては検討していきたいというふうに考えております。
○遠藤(乙)委員 ぜひとも、この点につきましてもきちっとした結論を出していただければと思います。
もう一点、私は現場を見て思ったんですが、上下線の間隔の狭さ、これも今回の惨事につながった要素であると考えております。やむを得ない面があるかと思っておりますが、地下鉄の場合、人口密集地域であり、また用地買収等の問題もあって、どうしても間隔を狭くせざるを得ないという面があるかと思っております。
しかしながら、もしこれをもうちょっと広く間隔をとれておれば、脱線だけで済んで、こういった大惨事にはならなかったと思うわけでございまして、この点についても、困難なテーマかと思いますけれども、見直しが必要なのではないかと私は考えておりますので、お考えを伺いたいと思います。
○安富政府参考人 いわゆる鉄道の上下線の間隔に係る基準でございますが、これも普通鉄道構造規則の二十三条におきまして、車両の動揺等を考慮して、並行する二つの線路を走行する車両同士が接触することのないように、その間隔、通常ですと六十センチ、あるいは、旅客が窓から身体を出すことのできない構造の車両のみが走行する区間の場合は四十センチということで定められております。
具体的に、営団日比谷線のように、旅客が窓から身体を出すことのできない構造の車両のみが走行する区間という場合には、車両限界の幅に四十センチを加えまして、さらに曲線部における車両の偏倚に応じた数値、当該区間では約二十五センチございますが、これを足しまして、車両の上下間の間隔という形で基準を定めております。
ただ、線路及び車両の上下間の間隔でございますが、これはあくまで線路及び車両が所定の水準に整備されていることを前提に定めている、いわば脱線を前提としていない、通常の状態における列車走行の安全性がこれによって確保されるということでございまして、その場合に、脱線を前提としてどうするかということについては、現在のところ、そういう基準を設けられるのかどうか、我々としては多少問題ではないかな、こう考えております。
○遠藤(乙)委員 私は、もう一つ現場を見て思ったのですが、事故検討会も調査をされたそうですけれども、やはり警察の調査といいますか、捜査が非常に先行しておって、どうも事故検討会は後手後手に回ったのではないかということ、警察との連携が果たして本当に十分うまくいったのだろうかということを一つ疑問点として持っております。
またもう一つは、十分な実態調査が果たしてできたのだろうか、もう少し精密に測定をしたり、十分な情報をとるべきであったのに、復旧を急ぐ余り、そういったことがおろそかになったのではないかと私は非常に危惧しているわけでありまして、こういった点、ちょっと心配しておるわけであります。
時間がありませんので、これはもう問題提起にとどめたいと思っておりますが、そういった意味もありまして、いろいろな人から既に提案があったかと思いますけれども、やはり鉄道事故についても、航空事故とか海難事故と同じような、独立の法的な基盤を持った強力な事故調査委員会を設置すべきではないか。恐らくもうコンセンサスではないかと私は思いますけれども、ぜひとも今回の事故を契機に、独立の法的な基盤を持った、強い調査権限を持った鉄道事故調査委員会を設置すべきではないかと思います。
特に二階大臣は安全ということを最優先に掲げておられますので、ぜひ大臣のときに、今の鉄道事故調査委員会を発足させてはどうかと思いますけれども、大臣の御所見を伺います。
○二階国務大臣 現在、鉄道事故調査検討会が中心になりまして、原因の究明等、全力を注いでおるところであります。今の事故調査検討会のメンバーは、恐らく我が国の鉄道技術におきまして最右翼といいますか、これにまさる人はいないのではないかというぐらいの人をあらかじめお願いしてこの調査検討会を設けておりましたことは委員御承知のとおりでございます。その上に立って、航空機事故等については航空事故調査委員会制度が設けられておりまして、常設の機関としてそうしたことが既に設置されておりますので、鉄道においてもこのことが必要ではないかという御意見でございます。
私は、実は参議院の方でもいろいろな御意見を承ってまいりました。恐らく各党の皆さんがこのことの御主張をなさっております。今直ちにこのことに対して結論を申し述べる段階ではございませんが、各党からのそれぞれの御意見につきまして、私は謙虚に受けとめて、しかもせっかくのそれぞれの政党からのまさに政党政派を超えての御主張をいただいておるわけでございますから、こうした意見を十分踏まえて、できるだけ早い機会にこのことに対する結論を得られるように十分検討をしてまいりたい、このように考えております。
○遠藤(乙)委員 私自身は、日本の鉄道の安全性は非常に高いものだと思っております、国際的に非常に誇るべきものだと思っておりますが、残念ながら昨今いろいろな事故が起きております。
いずれにしましても、大臣が安全最優先と言われたように、事故ゼロへの挑戦、安全一〇〇%への挑戦ということをもう一度、この世紀の変わり目にぜひ原点をしっかり固めていきたい。また、そういった最初のステップとして、今申し上げましたような、法的権限に立った、しっかりした、専門性を持った独立の鉄道調査委員会を設置することを強く要望いたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。
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