第145回国会
  日米防衛協力のための指針に関する特別委員会
  第12号



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平成十一年四月二十六日(月曜日)
午後一時開議

○遠藤(乙)委員 公明党・改革クラブの遠藤乙彦でございます。
 この日米ガイドライン関連法案、我が国の安全保障問題にとって極めて重要な、また歴史的な法案であると考えますが、九十時間以上に及ぶ真摯な幅広い論議を通じて、いよいよ終局の地点に到達をしたわけでございます。

 私ども、当初より、この法案につきましては、日米安保体制堅持という視点の上から慎重な論議をしていく、また修正を求めていくということで私たちは議論を進めてまいりました。私たちの特に関心事項は三つございまして、一つは、何よりも憲法の原則と精神を十分踏まえたものであること、二つ目に、国民に対して幅広い理解と支持を求めつつ行うこと、三つ目には、近隣諸国に対して無用な疑念や誤解を与えることのないよう十分な配慮を払うべきものであること、この三点を念頭に置きまして、修正要求並びに審議を行ってまいりました。さまざまな修正点を提出したわけでございますけれども、全体を見た結果、私たちの修正要求、関心事項は十分に反映されたものと考え、共同提案者となったわけでございます。

 そこで、私からは、確認の意味も含めまして、私どもの提出した修正要求の諸点を中心に質問をさせていただきたいと思っております。

 まず最初に、総理にお伺いしたいと思っております。抑止と対話、大分確立したキャッチフレーズになってまいりましたが、この点につきましてまずお聞きをしたいと思っております。

 私ども、日本の平和戦略を考える上で、また、冷戦後のアジア太平洋の平和を考える上で何よりも大事なことは、現実を直視すること、そしてまた、歴史の教訓に立って、抑止と対話のバランスをとりながら、賢明な政治的英知のもと、この原則を運用していくことによって結果的に平和が達成される、そういう視点で全体像をしっかりつかまえた上で議論しなければならないということが何よりも大きな私たちの主張でございました。そういった意味では、今回のガイドライン関連法案の審議は、コインの一つの側面にしかすぎない。すなわち、抑止という問題を、このシステムをどう強化し信頼性を高めるかという、コインの半面の議論でしかなかったわけであります。

 したがいまして、見方によれば、それだけ見れば、一部の政党が言うような戦争協力法案みたいに見えるかもしれない。しかし、そうではなくて、大事なことは、抑止という概念が、潜在的な侵略に対して十分な備えをつくることによって未然に侵略の意図を防止し、戦わずして勝つ、現実に戦争を起こさないということが大事であって、まさにこの抑止概念ということが今回の法案の最も中核の概念でありまして、ただ、なかなかわかりにくいということがあって、この点をぜひ今回の審議の中では明らかにしたいと思って議論をしたわけであります。

 しかしながら、このガイドライン関連法案だけでは、もちろん物事の半面にしかすぎません。我が国の平和戦略を本当に考える上では、もう一つの側面である対話ということをぜひとも明確にしていく必要があるかと思っております。

 私も、三月十八日に行われました総括審議の初日におきまして、抑止と対話のバランスということをしつこいほどに申し上げました。幸い総理からも強い賛同の意を表していただきまして、その直後に行かれた韓国におかれましても、大学での講演で、対話と抑止というテーマでまさにお話をされた、また、日韓首脳会談でもそのような精神でお話をされたものと私たちは受けとめております。

 また、たまたまその直後に起こりました北朝鮮の不審船の問題に対しましても、政府の対応を見るに、この抑止と対話のバランスということをよく理解した上での対応であったと、私たちは高く評価をしたいと思っております。

 それぞれ党内いろいろな議論があります。なぜ取り逃がしたのかとか、やはり拿捕すべきだったとか、かなり強硬論も含めたいろいろな議論がありますけれども、私の考えは、あれは大変結果としてよかった、十分合格点がつけられる対応であったと思っております。

 北朝鮮に対して、十分な我が方の抑止の決意を示すとともに、また、対話を求めているというメッセージも十分に伝わったと思うわけでありまして、そういった意味での二重の戦略目標は十分に達成されていると判断をするわけでございまして、政府の対応をこの点で評価をしたいし、また、実際に現場で体を張ってこの任務の遂行に当たった自衛隊、また海上保安庁の人たちに対しても、心から労をねぎらいたいと思っている次第でございます。

 そこで、もう一つの、対話の側面でございます。これを今後どう進めるかこそが最も重要なことでございまして、今回の法案等によって抑止の体制をしっかりとつくった上で、さらに次の目標は、対話をどう進めるかということが何よりも大きなテーマでございます。

 ハーバード大学の教授でありますハンチントンという先生の書物に、「文明の衝突」という本が最近出されております。かつてフォーリン・アフェアーズに出された論文を発展させたものでございますけれども、要するに、冷戦後における最大の安全保障上の脅威の源泉は、文明の対立、この場合の文明ということは、文化の違い、あるいは宗教や風土、体制の違い等、広義のものでございますけれども、そういった文化的、価値的要因の対立、差異における問題こそが冷戦後における安全保障上の最大の問題点であるということを指摘しております。まさにそのとおりであると思っておりますし、現在行われておりますユーゴの紛争、コソボの問題も、まさにその典型的な例ではないかと思っているわけであります。

 そういった意味で、我が国のこれからの大きな使命は、そういった抑止と対話のバランスをしっかりつくり上げた上で、どうやってこの文明の衝突を文明の対話へと変えていくか、そのために力を発揮する、努力を発揮することこそが、我が国にとりまして最も大きな使命ではないかと思っているところでございます。

 そこで、総理にぜひお伺いしたいのは、この抑止、もう一つの半面である対話、これに向けて、我が国の平和外交、平和戦略、どのようにこれからビジョンを考え、進めていこうとされているのか、総理の基本的なお考え、その決意につきまして、まずお話を伺えればと思っております。

○小渕内閣総理大臣 まず、日米安保体制について、我が国の平和と安全にとって死活的な重要性を持つのみならず、アジア太平洋地域の平和と安定にとって重要な基盤となっている、現在御審議をいただいております日米防衛協力のための指針関連法案等は、このような日米安保体制のより効果的な運用を確保し、我が国の平和と安全を脅かす事態の発生等を抑止することに資するものであり、本件法案等の成立は極めて意義深いことであります。

 今、遠藤委員から抑止と対話というお話をちょうだいいたしました。これは私だけで考えることでなく、まさに常に、抑止といいますか、安全保障を維持するためには、きちんとしたそれに対する確固たる対応を常に考慮しなきゃならぬと思いますが、一方、対話という形におきましても、これを推し進めなければならぬというふうに思っております。

 若干長くなるかと思いますが、こうした諸点について、せっかくのお尋ねでございますので、特に対話という観点につきまして、考え方を申し述べさせていただきたいと思います。

 アジア太平洋地域の平和をより堅固にし、二十一世紀における同地域の平和と繁栄を確保するために、我が国としてさらなる努力が必要となります。

 私といたしましては、抑止力の向上とともに、周辺諸国等の対話を軸とする外交の展開を重視しており、今後とも積極的なリーダーシップを発揮しつつ、以下、諸点を中心に、現実を直視した具体的施策を推進していく考えでございます。

 その第一は、域内の予防外交、信頼醸成の具体的かつ積極的な推進でありまして、域内各国との安保対話、防衛交流の活発化は、対話による予防外交の重要な柱であります。

 我が国としては、国連の場における平和と安全のためのさまざまな活動はもとより、ASEAN地域フォーラム、いわゆるARFでありますが、これにおける予防外交及び信頼醸成の取り組み等に積極的に努力していくことといたしております。

 今後とも、地域安全保障環境の向上のために、種々の対話の場、枠組みの設定、発展に向けてイニシアチブを発揮し、国際的に信頼される日本を築いていかなければならないと考えております。

 第二は、貧困、人権問題を初め、紛争の根源にある諸要因及び環境、国際組織犯罪、難民等、地球的規模で発生する脅威への取り組みの強化であります。

 これらの諸問題を包括的にとらえ、それらに対する取り組みを強化していくことといたしたいと思っております。いわゆる人間の安全保障とはそのような取り組みを志向するものであり、今後さらに重視される必要があると考えております。

 第三は、国民的な議論を踏まえた外交、安全保障政策の実施でありまして、我が国を取り巻く国際環境をより良好なものとするために、国際レベルの広範な努力が必要であります。

 このため、国民とともに歩む外交のモットーのもと、民間レベルの研究に対する支援等を通じて、地域の平和と安定に関する国民的な議論を喚起し、国民的理解を得た平和のための戦略を検討していきたいと思っております。その際、中央と地方との対話、連携にも一層留意いたしてまいりたいと思っております。

 また、我々は、現在の我が国の平和と繁栄が沖縄の方々のとうとい犠牲の上に築かれてきたことを片時も忘れてはならないと思います。

 我が国の戦後の平和と繁栄は、日米安保体制に対する沖縄の方々の御理解と御協力、そして忍耐なしには語れないものであり、政府としては、基地問題、沖縄振興等に関し、国民的課題として、引き続きさらなる努力を最大限傾注していく考えでございます。

 先ほど、ハンチントン博士の文明の対立のお話も御引用されておりました。なるほど、この二大スーパーパワーの対立、いわゆる冷戦がなくなりまして以降、現在なお、世界各国におきまして、文明といいますか民族の対立といいますか、こうしたことによって惹起されてきておる大きな惨劇が、世界各地、まだ依然として消えざる状態でございまして、こういう中におきまして、対話の意味合いというものはまことに大きいものと考えております。

 遠藤委員から、今般、たまたま事例として起こりました工作船事犯に対しての対応につきましての御評価といいますか、御指摘もちょうだいいたしました。

 いたずらに抑止の理論のみをもって、それがゆえに行き過ぎたことではいけませんし、また対話の意味についても、対話のみにおいて世界の平和が確実に招来できるという安心をすることもいけない。したがって、双方のりを越えずに、抑止と対話をバランスを持って対応していく中に平和に向けての道筋が生まれてくる、こう考えておりまして、この間につきましてはいろいろと御評価の分かれるところであると思いますが、引き続いて、遠藤委員の目からごらんになられて行き過ぎのないように我々も心していきたいと思っております。

 以上、御答弁とさせていただきます。

○遠藤(乙)委員 大変にありがとうございました。総理の深い理解力と高い見識に心から敬意を表したいと思っております。

 いずれにしましても、大変高邁なお話を今伺いまして、また決意を伺ったわけでありまして、私ども、審議の中で主張してきたさまざまな点、取り入れていただいたことは大変多とするものでございまして、ぜひとも、今後、これの具体化に向けてさらなる努力をお願いしたいと思っております。

 そこで、実際の具体化は恐らく外務省等の省庁になるわけですが、外務大臣にもこの点、お伺いをしていきたいと思っております。

 今、総理のお話の中で、国民的な理解を得た平和の戦略を構築していきたい、そういったお話がありました。これをどう具体化するかということでございますが、私のこれは個人的な意見でございますけれども、外務省はもちろんいろいろなそういった文書を発表されておりますが、中身は大変かっちりしておりますけれども非常にわかりにくいし、一般国民にはなかなか読んでもらえないといったものではないかと思っております。

 そこで、ぜひとも、まずこの平和、安全保障の問題について国民的な理解、議論、論争を巻き起こして、その結果十分な議論が行われて、それを踏まえて、我が国の二十一世紀における平和の戦略、あるいは平和のためのガイドラインと言ってもいいかもしれませんが、そういったものが共通の認識として、共有の一つの財産としてつくり上げていかれるようなプロセスをぜひとっていただくことが必要ではないかと思っております。

 その意味では、最初から結論、一定の方向を明示した書類をつくるのではなくて、むしろ、まず情報の提供、問題点の整理、さまざまな選択肢の列記、その利害得失の検討等、そういった問題提起の文書をしっかりとつくり上げて、それを踏まえて、幅広い中央と地方の対話、民間研究所、民間等のあるいは国民的な議論も踏まえて、一定の方向に、十分な国民的な合意を持った最終的な平和の戦略あるいはこの平和のためのガイドラインといったものをつくっていくことが、建設的な、対話を踏まえたそういう方策であると思っておりますけれども、外務大臣としては、そういった方法に対しまして、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

○高村国務大臣 ただいま総理が答弁されたような高邁な見識を拳々服膺いたしまして、また、委員が御指摘になったようなそういうガイドライン的なものも委員にも御指導いただきながら、外務省の内部で、そういったことがどういうふうに国民とともに歩む外交ということに役に立っていくのか、どういうふうにしたらいいのか、さらに検討してまいりたい、こういうふうに思っております。

○遠藤(乙)委員 最新版の外交青書のサブタイトルは「新たな世紀に向けたリーダーシップのある外交の展開」、極めて適切なタイトルであると思っておりますので、このタイトルにかなった実体を持ったもの、努力をひとつぜひやっていただきたいと心からお願いをいたしまして、まず総理及び大臣にお願いをしていきたいと思っております。

 続いて、私たちの修正要求、修正といいますか法案それ自体ではありませんけれども、要求事項の中で、地方自治体及び民間に求める協力のあり方といったテーマがございます。これをぜひマニュアル化すべしということでお願いをしてありまして、もちろん今までも政府より十項目の案が提示をされ、またさらにそれに加えてもう少し詳しいものが出てまいりましたけれども、万が一の場合の補償のあり方や方式、あるいはより詳細な、求められる具体的内容等につきまして、ぜひこれはもっともっと詳しい、わかりやすい、体系的な書類を出す必要があるかと思っております。

 いろいろ、地方公聴会等へ行った私自身の思い、また各地へ派遣された委員の声を聞きましても、地方あるいは民間の方々は、私たちが予想する以上に、非常に今回のガイドライン法案の将来あるいはこの内容について不安感を持っているというのが実情でございます。

 その主な原因は、やはり情報提供が十分でない、説明が十分でない、また、地方や民間との対話がほとんどされていないままにこういった法案の審議がされているところに大きな問題があるかと思っておりますけれども、私自身、本会議の代表質問の中で、本件に関するアカウンタビリティーの向上ということを強く申し上げた次第でありますけれども、そういった意味からもぜひ地方公共団体に求める協力あるいは民間等に求める協力等に関しまして、安心感を与えるような明確な情報提供、あるいはマニュアル等を早急に作成し配付していただければと思っておりますので、この点につきまして、政府の見解、準備状況につきまして御回答をお願いしたいと思います。

○野呂田国務大臣 必要な協力の内容につきましては事態ごとに異なるものでありまして、あらかじめ具体的に確定される性格のものではないわけでありますが、例えば、地方公共団体の長に対して、地方公共団体の管理する港湾や空港の施設の使用についての協力とか、あるいは建物、設備の設置許可についての協力等を求めることとか、また国以外の者に対しても輸送、医療、廃棄物処理、給水等の協力を依頼することが考えられるわけであります。

 今委員から御指摘ありましたとおり、ガイドライン特別委員会においても、委員長さんのお骨折りで、政府の十項目に加えてさらに十一項目の確認事項ができたわけであります。我々は、そういう方向に沿って誠実に対応していきたいと思っております。

 この場合でも、あくまでもこれは協力を求めまたは協力を依頼するということでありまして、強制するものではございませんので、これが円滑に行われるように一層の努力をしてまいりたいと思っております。

○遠藤(乙)委員 マニュアルをつくるというのは既に約束をしていただいておりますので、ぜひとも早急に、詳細なわかりやすいマニュアルをおつくりいただき、地方や民間に配付いただくよう強く要望したいと思っております。

 それから、私どもの修正要求に関連をいたしまして、今般の修正の中には、「日米安保条約の効果的な運用に寄与し、」という文言が入ることになりました。これはもともと、私ども並びに民主党も含めて、日米安保条約の枠内という文言をこの法案の中に明記すべしということを要求したわけでございますが、法制局等の意見を徴すると、この枠内という言葉が法律用語としてなじまないという趣旨でございましたので、これにかわる文言を挿入するということで検討し、この文言が入ったと私たちは理解をしております。

 そこで、私がお聞きしたいことは、この修正協議で盛り込まれることになった「日米安保条約の効果的な運用に寄与し、」という文言は、日米安保条約の枠内と同義と解することでよいのか、改めて確認をしたいと思います。これは総理にお願いをしてあると思いますが。

○小渕内閣総理大臣 日米安保条約の効果的な運用に寄与するとは、本法案が、我が国及び極東の平和と安全の維持を目的とする日米安保条約の効果的な運用に資することを意味すると考えております。

 法案第一条におきまして、「日米安保条約の効果的な運用に寄与し、」または「我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする。」とする今般の法案修正は、我が国の平和及び安全に着目した本法案が、このような日米安保条約の目的の枠内であるということと同じことを意味するものと考えている次第でございます。

○遠藤(乙)委員 続いて、国会承認の問題でお聞きをいたします。
 当初は、この法案では基本計画は報告ということになっておりましたけれども、私たちはこの部分を、特に自衛隊の活動にかかわる部分、当初は三つだったのですが、これが二つになってしまいましたけれども、これを原則事前承認、緊急の場合には事後ということで修正を求め、最終的にこれが受け入れられたわけでございますけれども、中には、結果的にはほとんど事後承認になってしまうのではないかといった議論も今なされております。私どもは、それは趣旨に反するわけであって、ぜひとも、原則はやはり事前承認であって、極力事前に承認を求め、国民の理解を求めるのが筋であると考えております。

 私たちのこういった修正を求めた趣旨は、実力組織である自衛隊というものが活動するに際しては、やはり民主国家において、念には念を入れて国会承認をかけるということが民主国家のあり方として望ましい、民主的コントロールといった意味で、またシビリアンコントロールといった意味で望ましいということでこの要求をしたわけでございまして、国民の理解を得る上からも、また国民に安心感を与える意味からも、また行政府の独走をチェックする意味からも、非常に重要な条項であると考えております。

 私が言いたいのは、確かに、本当に緊急に対処する必要がある場合においては例外的な事後承認は認めざるを得ないと考えておりますけれども、大部分のケースにおいては、国会の事前承認を得るだけの時間を確保できるだろうと私は考えております。周辺事態といっても、それが日本への武力攻撃という事態ではありませんので、相当時間が経過しながら、だんだん状況が推移していくというのがほとんどであると考えますので、政府は可能な限り事前の承認を得る努力をすべきである、これは当然だと思っております、考えておりますけれども、改めてこの点につきまして総理に確認をしたいと思います。

○小渕内閣総理大臣 周辺事態への対応措置について迅速な対応を行うことが重要であることから、政府といたしましては累次御答弁申し上げておりまして、周辺事態安全確保法案に関する今般の修正案におきましても、緊急の場合は事後承認とする旨の規定が設けられているところであります。

 が、しかしながら、原則はあくまでも事前承認であり、政府といたしましては可能な限り国会の事前承認を得るよう努めていくことは当然である、このように考えております。

○遠藤(乙)委員 続いて、周辺事態終了後の国会報告の点につきまして確認をしたいと思います。

 私ども、これも大変重要な修正であると思っております。
 なぜかといいますと、確かに理論的、概念的には、後方地域を設定してそこで支援活動を行うことは集団的自衛権の行使に当たらない、また、そこが戦場になることはないといったことは、概念的には理解をできますけれども、これは実態的にどうなるかということはやってみなきゃわからないということでございまして、事前に検証できる話ではないということでございます。

 したがって、次善の策として、この措置が憲法に合致しているかどうかを判定し、検証するためには、やはり計画終了後の詳細な国会報告を見て、国会を中心に検討するという作業はぜひとも必要だと思っておりまして、この作業抜きに民主国家のあり方を議論することはできないと思っております。そういった意味で、事後的な検証という意味でこの国会報告を盛り込んだわけでございます。

 法案の修正協議におきましては、周辺事態の終了後、政府がどのような対応措置を講じたか、その詳細を速やかに国会に報告する義務ということで法案に盛り込むことになったわけですけれども、通常、外交や安全保障に関する文書は、これまで、国益とか相手国との関係その他の観点から公開が限定されているという状況にあるわけでございます。報告義務を課したとしても、報告される情報が、政府の講じた対応措置が妥当であったか否かを判断するに十分な量及び質を兼ね備えていなければ意味がないわけでありまして、その点からも、対応措置については原則として極めて詳細なものを、全般的なものを報告するとの方針で臨んでいただきたいと考えておりますが、政府の見解を伺いたいと思います。これも総理にお願いいたします。

○小渕内閣総理大臣 御指摘の点はよく理解するところでございまして、政府といたしましては従来から、対応措置の終了後に国会におきまして十分な検証、議論を行っていただくことは大変有意義なものと考えていたところであります。

 さらに、今般、対応措置終了後の報告につきましての規定を盛り込んだ修正案が提出されたところでありまして、政府としては、本委員会におけるこれまでの御議論も踏まえまして、御懸念のような問題が生ずることのないよう十分な報告を行ってまいりたいと考えておりまして、国民のそうした理解を最終的には求められるように努力をいたしていきたいと思っております。

○遠藤(乙)委員 ぜひそのことを強く要望しておきたいと思っております。
 最後に、一言総括的な所感を申し上げたいんです。

 私は、アジア太平洋の安全保障ということを考えるときにいつも念頭に浮かぶのは、ヨーロッパのことでございます。欧州も、かつては普仏戦争以来、また第一次大戦、第二次大戦と世界大戦の主要舞台になってきたわけでございますが、その最大の原因は、ドイツとフランスという二つの国の敵対関係があったかと思っております。それが、第二次大戦後は見事にその敵対関係を乗り越えて、今や新しい欧州建設のいわばきずなとなっているのがこの独仏の関係であると承知をいたしております。

 私もフランスの北東部にありますストラスブールという町を訪れたことがあります。ドイツの国境に近いところで、いわゆるアルザス地方であり、かつて独仏抗争の象徴的な地であったわけで、激戦地であったわけでございます。町の郊外にはかつてのマジノ・ラインと呼ばれる要塞群の廃墟が置かれておりまして、生々しい傷跡が残っているわけでございますが、今その地が、まさに、むしろ対話の象徴として欧州議会が置かれ、また教育文化交流の象徴的な地として今や発展しているというわけでありまして、そういった過去と現在、未来を見ると、大変感慨深く思うわけでありますけれども、こういった東アジア太平洋地域におきましても、そういう敵対関係を乗り越えて、真の意味で文明の対話を実現して、新しい平和を構築していくことがぜひとも必要であると考えております。

 そういった意味で、欧州と東アジアの対比を考えて、総理としてどのような所感をお持ちか、最後にお聞きをしたいと思います。

○小渕内閣総理大臣 我が国は、御指摘のような欧州連合の動きを、欧州ひいては国際社会全体の安定と繁栄につながるものとして評価いたしております。政治的統合もやがてはという気がいたしておりますが、現段階におきましては、国の基本である通貨につきまして、これがユーロという形で統合されておることは、大きな前進であろうというふうに認識をいたしております。

 そこで、アジアについて御指摘もございました。先ほども申し上げましたが、対話を重視するという観点から、九四年に、全域的な政治、安全保障に関する対話と協力の枠組みでありますASEAN地域フォーラムが発足したことを初め、地域における種々の多国間の安全保障対話の枠組みがあらわれてきていることは、歓迎すべきことであると考えております。

 ただし、アジア太平洋地域は、欧州と比べると、発展段階、政治経済体制さらには文化的、民族的多様性が存在することや、各国の安全保障観が多様であること等が特徴であります。政府といたしましても、アジア太平洋地域の特徴を踏まえつつ、これらの枠組みの発展に積極的に取り組んできておりまして、今後とも、このような努力を引き続き強力に継続してまいりたい、このように考えております。

○遠藤(乙)委員 以上で、私の質問を終わります。



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