第145回国会
  日米防衛協力のための指針に関する特別委員会
  第8号



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平成十一年四月十五日(木曜日)
午前九時一分開議

○遠藤(乙)委員 私は、公明・改革の遠藤乙彦でございます。
 きょうは、陳述人の皆様方におかれましては、大変御多忙の中お越しいただきまして、また大変貴重な御意見を賜りまして、感銘深く伺いました。心から感謝申し上げたいと思っております。

 まず、私の率直な印象を申し上げさせていただきますと、私は東京に住んでいて、太平洋側なのですが、日本海側の方々は、今回のガイドラインの問題等を初め、やはり大変切実な受けとめ方をされておられるということを改めて強く認識した次第でございます。

 特に、朝鮮半島に近い、そして拉致事件もあり、また原発も多数あり、日本海波高しという感じを皆さん共通に持っておられるということは、私もよく理解できました。

 他方、そういった状態に対してどう対応するかということでは分かれているということもまた感じた次第でございまして、端的に言うと、抑止重視なのか、対話重視なのか、あるいはその中間なのか、そういう感じで私は受けとめております。

 例えば、恐らく、島田先生、岡本先生などは抑止を重視すべきだというお考えだと思いますし、岡田先生、吉村先生は対話でいこうという考え方でございましょうし、須藤先生、小林先生は、対話と抑止だけれども、その中でやはり対話をより重視しよう、そういったお考えかなと、あえて独断と偏見で三グループに分けさせていただいたわけなのでございます。

 そこで、現実問題、特に冷戦後、核開発が行われ、またミサイル技術が進んで、北朝鮮自体がどんどんミサイル開発を進めている。日本海という海で隔てられていたことによって、安全保障という点では今まで比較的楽観的な見方をしていたのだろうと思うのですけれども、こういった事態の進展で急遽状況が変わってきた、非常に切実な安全保障の状況下に置かれたということではないかと思っております。

 そういった意味で、皆さんにお伺いしたいのは、まず、特に抑止を重視される島田先生、岡本先生については、抑止を強化していくということで果たして問題は解決できるのか、対話を重視する必要性はないのかという質問をぶつけたい思います。

 逆に、岡田先生、吉村先生には、対話をするだけであの北朝鮮の問題を解決できるのか。拉致の問題あり、核開発、ミサイル開発、こういったことを対話で抑制できるのか。抑止の必要はないのか。金大中大統領のもとの太陽政策であっても、米韓安全保障条約のもと、また強大な軍事力のもと、抑止をしながら太陽政策を進めているわけであって、そういった意味で抑止の必要性というものはないのか。

 この二つの違った質問をぶつけたいと思っておりますので、まずは、抑止派と目される島田先生、岡本先生の方からお願いしたいと思います。

○島田洋一君 抑止派と単純に分類されると困る面もありますけれども、対話の必要があるというのは当然のことであって、お互い、誤解に基づいて戦争になるというような事態は避けないといけません。

 したがって、例えば軍事演習をやるときには、相手が先制攻撃かと錯覚しないように、これは軍事演習なんだということを事前に伝えるとか、要するに情報交換のパイプを持っておくということが大事なのです。

 しかし、さまざまな援助なり経済関係を北朝鮮と持ってどうなるのか。例えば韓国がやっておるいわゆる太陽政策ですか、あれは間違っておると思います。結局、ああいう形で行っておる資金というのは、もうほとんどすべてが金正日によって大量破壊兵器のさらなる開発・蓄積、あるいは人民弾圧装置の充実、あるいは対日工作のいろいろな装備の充実等に向けられておるわけです。また、そういうふうに軍備の充実に使われるということもありますし、いろいろな援助物資というのは、何よりも金正日周辺に配られて、周囲の不満が臨界点を超えないようにと、周囲の不満をなだめるために使われておる。そのことで、政権交代を迫るような圧力等も弱まってしまうわけです。

 率直に言って、北朝鮮においては、やはり政権交代がなされることが一番いいと思うわけですけれども、そのためには、金正日周辺が今のままで満足だというような状況にならないように、やはり妙な経済援助とかはとめる必要がある、そういうふうに私は考えております。ただし、誤解に基づいて妙な紛争にならないように、対話のパイプというのはもちろん持っておかないといけない。

 なお、国交回復ということについて一言言いますと、国交正常化するというのは、一見いいように聞こえます。しかし、世界じゅうの北朝鮮大使館というのが一体何をやっておるか。北朝鮮の外交官というのは、その大半が実際には工作員であります。

 この間も、タイにおいて、逃げ出した大使館員の一人と息子を拉致して、タイ警察の間ともめたという事件がありました。その他、北朝鮮外交官が麻薬の不法所持で摘発された、国外追放になったというような例はいっぱいあるわけです。あるいは、にせ札の行使で捕まった。また、ヨーロッパ・ルートで拉致された日本人、これは当時のユーゴスラビアに駐在しておった北朝鮮大使館員、まあこれは工作員ですが、それが中心になってやったというようなことも明らかになっておる。

 もし国交正常化して、現在の北朝鮮政権のまま日本に北朝鮮大使館や領事館を置いたりしたら、実質的に、現在日本に入っておる工作員に大使館員というような身分を与えて、外交官特権を与えて表へ出すというのは、これは本当に警察にとっては悪夢だと思うのです。したがって、国交正常化とか言うときれいに聞こえるのですが、北朝鮮外交官の実体というのがどういうものかということを考えるならば、今の北朝鮮政権が続く限りは、国交正常化してはならない。

 また、向こうに何らかの形で賠償金を送れば、それはまた大量破壊兵器の開発・蓄積に使われることは決まっていますから、したがって、今の政権がかわって、あるいはひょっとして金正日が心を入れかえてくれたら結構なのですが、まあ期待できませんけれども、もう少しまともな政権が向こうで誕生してから早急に国交正常化交渉を進めるべきである、そういうふうに考えています。

○岡本弘君 ちょっと確認をさせていただきますが、抑止力を強化すれば事態は解決できるか、こういうふうにとらえてよろしゅうございますか。

○遠藤(乙)委員 問題の解決につながっていくのかということです。

○岡本弘君 このことになりますと、私は抑止力だけを言っておるのではないのです。ただ、時間が十分でありましたので、外交上で解決できる問題あるいはその次の経済、まあいろいろな問題がありましょうが、そういったありとあらゆる方法を尽くした後に、それでも周辺有事を迎えたときにどうすればいいのかという観点できょうはお話しいたしました。したがいまして、先生がとらえていただいたところは、ちょっと修正をしていただきたいというふうに思います。

 抑止力を強化することがどのようなことになるのかといえば、やはり守るべきものは守れる、最後はそうなるのではなかろうか。それから、自分の対応あるいは対処の可能の範囲が大きければ大きいほど、やはり抑止力としての効果は大きくなるのではなかろうか、そのように思います。

 ただ、決して私は、好戦家、戦好きではありませんので、そこのところもあわせて御理解いただきたいと思います。
 終わります。

○岡田正則君 対話だけで抑止ができるのかという御質問でした。
 まず、抑止の問題ですが、ここでも、拉致事件とか不審船問題とかテポドンとか、そういったことが挙げられていましたけれども、まず警察力で本当にできないことだったのか。吉村先生が、過剰防衛ではなかったかということでしたけれども、そういうところが本当に限界に来て初めて自衛とかかわる議論ということをすべきで、韓国でさえ騒いでいないのに、衛星のミサイルか何かわからないようなものが一つ飛んできたということで、やれ周辺事態措置法だというのは、やはり過剰反応というか、針小棒大に法案を扱う、そういうことであると思います。

 そして、もう一つ、韓国内での人々の動きというものを冷静に見てみますと、やはりそれぞれの人たちが、北の家族とか親類と対話のルートがあるわけですね。ですから、それなりの意思疎通があるようにどうも感じられるわけです。

 そういうことも含めて、島田先生によりますと、政権交代がまず必要だということですが、ドイツの経験から見ても、こちらの様子を積極的にいろいろな形で知らせる、向こうの様子も知って理解する、そういう意思疎通の努力によって政権交代が可能になるであろうというぐあいに思います。

○吉村清君 私は、戦後日本の外交といいますか、冷戦時代、まさに日本海側は、各港を含めて冷え切った状態だったと思うのです。それが、ソ連の崩壊によって、ロシアとの交易が盛んになってきたのですね。韓国とも、今、敦賀とか新潟なども盛んにやられています。そういう点を考えますと、やはりお互いに交流をして意思の疎通を図っていくということによって相互理解は生まれる。戦後の冷戦時代を経験した私たちにとっては、やはりそれを解消していく。

 日本の外交というものは、太平洋を間に挟んでアメリカの方だけを向いておったのではないか。今回のあの不審船の問題でも、速力の速い海上保安庁の巡視船は太平洋側に配置されておって、日本海側にはなかったではないか。だから、日本全体の警察行動をするにしても、その警備をきちっとするということになれば、やはりバランスをとってやっていくということでなければならぬと私は思うのです。

 そういう点から、今必要なのは、やはり対話ではないか。そこで抑止、抑止とやりますと、お互いエスカレートするのですから、一つ間違うと、不幸な事態になったときに私たちは大変な目に遭う。それは、戦争中の経験からいって、大衆が大変な目に遭うということを私は思うのです。それがないようにしてほしいということを特にお願いしたいと思うのです。

○遠藤(乙)委員 須藤先生にお伺いします。
 須藤先生の陳述の中で、今回の関連法案が日米協力関係にプラスであれば賛成、マイナスならば反対とおっしゃいましたが、今回の法案自体に対して先生がどう評価されているかということは、プラスかマイナスかということは、私、ちょっと聞き漏らしたのか、伺っていないと思っているのです。その点につきまして、どうなのでしょうか。

○須藤眞志君 私は、少なくとも九七年九月のガイドラインの見直しを細かく読みました。旧ガイドラインよりは前進しているというふうに考えておりますので、そういう点ではプラスだと思います。

 ただ、さらに詳しく読むと、まだ、例えば先ほどの、今問題になっている周辺事態というような言葉の訳も、それでいいのかどうか、少し問題点もないわけではありません。しかし、全体的にプラスかマイナスかといえば、私はプラスだというふうに思っております。

○遠藤(乙)委員 小林先生にお伺いします。
 先生が主張された地方分権の時代、これは全くそのとおりだと思います。私も、今回の法案は非常にわかりにくいし、また情報提供、アカウンタビリティーが非常に欠けているということを政府に強く言ってきたわけなのですけれども、そういった意味で、十分な情報提供ということでは、当然やるべきだと思っています。

 ただ、地方分権の考え方なのですけれども、いわゆる生活に密着した、福祉とか教育とかごみ処理等々の問題はどんどん地方に移譲されますけれども、外交、防衛については中央が専管だという考え方もあるわけでございますね。

 この地方分権の考え方に対して、地方としては、外交、防衛にも、意思決定といいますか、協議を受ける権利があると考えられるのか、あるいは情報提供がどんどん進めばいいのか、そこら辺についてはどう考えられるのか。さらに、地方にもっと情報を提供させるためにはどういう方策が考えられるか、御意見があればお聞かせ願いたいと思います。

○小林巌君 私としては、外交と地方の権限とは別のものである、そういうふうに思います。
 したがって、外交に関して、例えば非核の証明とか幾つかあるとさっきおっしゃられましたけれども、やはり外交というのは国に一元化されているものであって、いささかの乱れがあってもまずいと思います。

 ただ、地方分権の時代というのは、おっしゃられるような、教育とかいろいろありますけれども、それは、そういう時代なのにもかかわらず、地方にいろいろな問題が伝えられないということの問題点ですね。

 例えば、さきの国籍不明船についても、自治体の長である石川県の知事には、その説明は、どういうふうに聞かれたのか聞かなかったのか知りませんけれども、恐らくはなかったと思います。今動いている最中であり、また巡視船と、これは運輸省ですが、それから自衛隊と、相互の情報交換すらも難しかった状態であって、それを地方の自治体と協議――方向を協議するというわけではありません。インフォメーションを提供する、それがなければ地域住民はまた非常に不安を感じるわけですね。

 重油の流出のときのように、これくらいの重油がどちらの方向に流れていると、船体は分断して、一方は、東尋坊という景勝の地ですが、その近くに、座礁といいますか沈んでしまって、ひっかかりましたが、何かそういうインフォメーションというものを地方にも伝えてくれなければ、そこに住んでいるたくさんの、北陸三県だけでいっても二百万を超す人間が非常な不安を感じるわけですね。

 ですから、外交権を地方に一部分けてくれという話では絶対にありません。これは近代国家の統治という意味でも、やはり外交権はれっきとして日本国政府にあるというふうに思います。

○遠藤(乙)委員 ありがとうございました。
 以上で私の質疑を終わります。



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