平成十一年四月十三日(火曜日)
午前九時開議
○遠藤(乙)委員 公明・改革の遠藤乙彦でございます。
ガイドライン関連法案につきまして質問をさせていただきます。
ガイドライン特別委員会総括審議、三月十八日からスタートをしたわけでございますが、その後、北朝鮮のいわゆる工作船の事件、それからNATOのユーゴへの介入という非常に象徴的な事件が起こったわけでございますが、私は、特にNATOの介入に対する我が国の評価というところから質問を始めたいと思っております。
三月の二十四日にNATOはコソボ自治州における紛争に対して空爆を開始したわけですけれども、今回のコソボ紛争に対するNATOの介入は、紛争の拡大を人道的な理由から実力で阻止しようという人道的介入という観点から実行されたわけでありますけれども、皮肉にもユーゴスラビアによるアルバニア系住民に対する弾圧がかえって強化をされ、さらなる大量難民を生み出す結果となっております。
コソボ自治州の周辺国には既に多くの難民が殺到しているほか、ユーゴスラビア政府は同国から出国しようとしている難民に対して強制帰還を命じているとも報じられておりまして、本来救われるべき人々が逆に悲劇に遭っているという面もあるわけでありまして、そういったことを考えますと、NATOによる介入はむしろ失敗しているとの見方もあり得るかと思います。
これまでのNATOによる武力介入に対する政府の評価についてまずお伺いをいたします。
○高村国務大臣 昨年三月以降、欧米諸国は、コソボ問題の政治的解決を目指して、国連安保理、G8、ランブイエ会議、パリ会議等の場で粘り強い外交努力を重ねてきたわけでございます。しかし、欧米諸国のそのような外交努力にもかかわらず、ユーゴ政府はコソボ問題解決のための和平合意案をかたくなに拒否し、他方で国連安保理決議に反した行動をとり続けてきたわけでございます。三月二十四日以来のNATOによる武力行使は、そのような中で、コソボにおけるさらなる犠牲者の増加という人道上の惨劇を防止するために、やむを得ずとられた措置であったと理解しております。
委員が御指摘のように、少なくとも短期的に見ると、NATOの介入が大成功であったとはとても現時点では評価できない状況なのかな、こういうふうに思っております。
○遠藤(乙)委員 やむを得ずとられた措置であるというふうに見ておられるということのようですが、では、続いて法的な側面からお聞きしたいんですが、このNATOのユーゴへの武力介入は、国連憲章上または国際法上正当化されるものですか。
○高村国務大臣 今回のNATOの行動は、ユーゴスラビア政府が和平合意案をかたくなに拒否して、他方で、過度な武力行使が続く中、ぎりぎりの外交交渉がとんざし、このまま放置すれば多数のさらなる犠牲者が出ることが必至という人道上の惨劇を防止するために、やむを得ずとられた行動であったと理解しているわけであります。安保理において、三月二十六日、日本時間では二十七日でありますが、ロシアが、今回のNATOの武力行使を国連憲章違反とした上で、NATOの武力行使の即時停止と交渉の再開を要求する決議案を安保理に提出したわけでありますが、賛成三、反対十二、棄権ゼロの大差で否決されたわけであります。
御指摘の人道的介入とは、一般的に、他国で行われている非人道的なことをやめさせるために、武力行使を含め当該他国に介入することを指すものと考えられますが、このような人道的介入については、学説上種々の意見があるというふうに承知をしております。
我が国としては、従来から説明を申し上げているとおり、人道的介入がいかなる状況でいかなる条件のもとでどの程度まで許されるのかという点は、いまだ国際法の問題としては形成途上の問題である、こういうふうに考えているわけであります。だから、物差しがまだはっきり国際法上として確定していないという状況の中にあるわけであります。
いずれにせよ、今回のNATOの軍事行動については、我が国が当事者ではなく、また、作戦面を含むNATOの軍事行動に関する詳細な情報を有しておらず、政府として法的評価を下すことができない状況にあるということを御理解いただきたいと思います。
○遠藤(乙)委員 それでは、アジア太平洋地域で今後こういった人道的介入が行われた場合に我が国としてどう対応するかといった問題につきましてお聞きしたいと思うんですが、コソボみたいな状況は、アジア太平洋地域、特に東アジア地域でも起こり得る事態であると考えております。
コソボの紛争に対する人道的介入は、NATOという地域の相互防衛機構によって実行されたわけです。他方、アジア太平洋地域の安全保障体制は、NATOのようなまだ地域的な機構がなく、日米安保体制のような二国間の安全保障体制によって構築をされております。このため、もしこのアジア太平洋地域において人道的介入が必要な事態が起こった場合に、アジア太平洋地域における安全保障装置の一翼を担っている日米安保条約の有効性が試されると同時に、また、複雑かつ新しい形態をとる冷戦後の紛争に対する我が国の取り組みが問われることになると思います。
安全保障対策は、言うまでもなく万が一のための政策でありますし、あらゆる事態に対処できるよう平素から検討することが求められているわけでありますけれども、アジア太平洋地域でこういった人道的介入が行われた場合の我が国の対応について、政府の見解を伺います。
○高村国務大臣 御指摘の人道的介入とは、一般的に、他国で行われている非人道的なことをやめさせるために、武力行使を含め当該他国に介入することを指すものだ、こういうふうに思いますが、御質問のような仮定のお話について我が国がいかに対応するかを予断することは非常に困難、甚だしく困難でありまして、いかなるケースにおいていかなる形の人道的介入が行われるかによってその事態への対応ぶりは異なるということを御理解いただきたいと思います。
仮に人道的介入を招来するような事態があるとして、その場合には、個々の事案に即してその都度いかなる対応を行うべきかを我が国として検討していくことになる、こういうふうに考えます。
○遠藤(乙)委員 今回のユーゴの問題の一つの参考にすべき問題は、コソボ紛争の例に見るように、地域紛争の発生が大量の難民を生じさせる可能性が高いということに着目をしておく必要があると思います。いまだに不安定要因の残るアジア太平洋地域において、地域紛争が発生をすれば、我が国にも大量の難民が押し寄せてくることは想像にかたくないわけで、ガイドライン、周辺事態の中にもそういったことも想定をされているかと思います。
日米ガイドラインでは、周辺事態における避難民の取り扱いについて、避難民が我が国の領域内に流入してくる場合は、我が国がその対応のあり方を決定するとともに、主として我が国が責任を持って対応するというふうに記されておりますけれども、有事における大量の難民対策について基本方針は策定されているかどうか、お伺いをいたします。
○伊藤(康)政府委員 ただいま先生、有事においてという御質問でございますが、有事という概念が、先生御指摘の場合どういうケースかというのがちょっとあれでございますが、いわゆる日本有事の場合とは別だということで御説明を差し上げたいと思います。
政府といたしましては、橋本内閣以来、我が国の周辺地域におきます我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態を中心としまして、我が国に対する危機が発生した場合、あるいはそのおそれがある場合につきまして、我が国としてとるべき必要な対応策について、いわゆる緊急事態対応策ということで検討、研究を行ってきているわけでございます。
その中で、御指摘の大量避難民というものでございますが、この対策につきましても、関係省庁が共同で作業グループというようなものを設置いたしまして、政府全体としての対処の手順等につきまして整理を行っているというところでございます。
その具体的な一例を申し上げますと、そもそも避難民対策の体制はどうあるべきか、あるいはまたその基本的な要領、例えば身柄の保護ですとかあるいは上陸の手続、その際、だれでも上陸させればいいというものではないわけで、スクリーニングというふうに申しておりますが、そういったようなことについて整理を行っているというところでございまして、これは現在、こうすればいいという結論があるというものではございませんで、いわば不断に検討、研究を続けていくという体制でございます。
○遠藤(乙)委員 しっかり研究をしてそういった事態には対応できるように、ぜひ方針を明確にしておくように望みたいと思います。
続いて、そういった大量の難民が到着した場合の体制の問題で、特に人員の確保ということにつきまして御質問をしたいと思います。
難民が我が国に到着した場合、上陸するには入国審査官の許可が必要となるわけですけれども、現在の我が国の地方入国管理局における入国審査官は約千二百名しかいないという状態でございます。日常業務に忙殺されていることを考えますと、大量の難民が到着した場合の対応は非常に難しいと思われます。
そのほか、治安の維持とか宿舎の確保、食糧の確保等いろいろな面が必要でございますし、警備等の面でも、都道府県警察や入国警備官、海上保安庁などによって担われるかと思いますけれども、絶対的にそういった人員が少ないというふうな状況にあるかと思っております。
そこで、大量の難民が我が国領域内に流入してきた場合に対応する人員について、どうやって確保するのか。これは決して将来、遠い先ということではなくて、いつでもあり得る事態であるという想定は持っておかなければならないと思いますけれども、そういった意味で、具体的にどのような人員を確保していくのか、この点につきまして、政府の見解をお聞きしたいと思います。
○伊藤(康)政府委員 大量の避難民が我が国領域内に流入してくるということは想定し得るわけでございますが、ただ、それがどの程度の規模になるか、またどういう態様であるかということをあらかじめ断定することは、なかなか難しいわけでございます。したがって、そういったことにつきまして、例えばそれが集中的な流入なのか、あるいは断続的なものなのか、またエリアはどうなっているのか、そういったようなことにつきまして、私どもいろいろ研究は行っているわけでございますが、当然、その態様によって、今先生御指摘の人の手当てといったことも違ってまいるわけでございます。
ただ、これを平素から大量に、こういう事態のために人員をあらかじめ配置しておくというのはなかなか難しいわけでございまして、したがいまして、私どもとしましては、例えばそういう大量な難民というのがあった場合に、どうやってそれを効率よく処理していくかということにつきましては、手続、あるいは先生御指摘の人員をどうやってやりくりするかといったようなことについてはいろいろと研究をしておるところでございまして、それぞれのところで、先生今御指摘のような、法務省あるいは海上保安庁等々の関係省庁におきまして手当てをしていくということにならざるを得ないというふうに思っております。
○遠藤(乙)委員 もちろん、常時そういった人員を確保するのは難しいと思いますけれども、やはり緊急事態に対応して、そういった人員を具体的にどうやっていろいろな部署から持ってくるかということを含めて、緊急事態の対応についてもう少し踏み込んだ計画はぜひつくっておくべきだと思っておりますので、この点、要望として申し上げたいと思っております。
続いて、避難民支援に対する米国の支援の問題ということなんですが、我が国の領域内に流入してきた避難民に対する措置につきましては、日米ガイドラインでは、「米国は適切な支援を行う。」と記載されております。そこで、米国の支援とはどのような内容のものを想定しているのか。
また、主として我が国が責任を持って対応する旨が記されている以上、我が国が米国に対して協力を要請したとしても、米国は自国の判断等で支援を断ることもあり得ると思うわけです。現実問題として、米軍が軍事行動を実施している場合に、我が国の支援どころではなくて、事実上、我が国のみで対応せざるを得ないのではないかと考えられますけれども、この点につきまして、政府の見解をお伺いします。
○高村国務大臣 新たな日米防衛協力のための指針に記載されている避難民への対応のための措置につきましては、避難民の救援及び輸送のための活動並びに避難民に対する応急物資の支給といった活動が想定され、米国から受ける支援につきましても、このような活動に伴う支援を想定しているわけでございます。
米軍が軍事行動を実施している場合、米軍が我が国の支援どころではなくなるという御指摘でございますけれども、新たな日米防衛協力のための指針では、避難民が我が国の領域に流入してくる場合には、我が国が主として責任を持ってこれに対応し、米国は適切な支援を行うこととなっており、日米両国が必要に応じて協力することによって対応することが想定されているわけであります。
その対応のあり方につきましては、我が国における受け入れ体制のあり方を含め、内閣を中心とする緊急事態対応策の検討の一環として、大量避難民対策の検討の中で実務面から鋭意検討作業が続けられており、日米間の具体的な協力の内容につきましても、今後の緊急事態対応策についての政府部内の検討作業の状況をも踏まえつつ検討してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
○遠藤(乙)委員 今度は、周辺事態の際における日米関係につきまして御質問したいと思います。
特に武力行使の必要性について、日米間で見解の相違が生じる可能性が当然あると考えられます。例えば、我が国周辺で発生した事態に対して、米国が軍事行動を含めどのような対処を行うかは、基本的には米国の独自の判断によって決定されると思います。そして我が国は、その事態が周辺事態に該当するかどうかについて主体的に判断し、対米協力を行うか否かを決定することになると思います。
しかし、日米両国が互いに対等な独立国家である限り、我が国周辺において米国が独自の判断に基づいて行った武力行使を、我が国としては支持できない場合も当然あり得ると考えられます。国際法との整合性を別にしましても、米国と我が国には、それぞれの国益や問題の解決方法、考え方があってしかるべきでありまして、武力行使の必要性について、米国との間で見解の相違を生じる可能性は否定できないと考えられますので、そういった場合の政府の見解を伺いたいと思います。
○野呂田国務大臣 ある事態が周辺事態に該当するか否か、周辺事態に際していかなる措置を実施するかにつきましては、日米両国が、御指摘のようにおのおの国益確保の見地から、その時点の状況を総合的に見た上で主体的に判断することになるわけでございますが、その際、日米両国間においては、随時密接に行われている情報交換、あるいは政策協議が一層緊密に行われ、このような事態について共通の認識に達するための努力が払われることになることから、このような事態に係る対応措置の必要性について日米間でそごが生ずることは、現実の問題としては想定されないところであります。
また、仮に周辺事態が生起したとしても、米国は武力の行使を伴わない種々の活動、例えば情報収集とか警戒監視等を行いまして、まずは事態の拡大の抑制や収拾に努めることが想定されるため、周辺事態になれば米国は直ちに武力を行使するとの前提を置いて論議することは、必ずしも適当ではないと考えます。
したがって、御指摘のような仮定の状況について具体的に論ずることは適当ではないと考えますけれども、米国は、国連憲章のもと、違法な武力行使を慎む義務を負っておりまして、周辺事態に際して米国が武力を行使するのは国際法上の要件を満たす合法的な場合に限られることを前提として、あえて一般的に申し上げますと、米国の武力行使が当該事態の生起に影響があったことをもって、当該事態が我が国の平和と安全に重要な影響を与えているか否か、対米協力を含むこの法案に基づく措置を実施することが必要であるか否かについての我が国としての主体的判断を直ちに結論づけることにはならないと考えております。
○遠藤(乙)委員 今防衛庁長官からは、日米間で緊密な協議をするので、そういったそごがあることは実態上考えにくいという趣旨の御答弁だったと思うのでございますが。
ただ、そこで先ほど冒頭御質問申し上げましたコソボ紛争の例が出てくるわけであって、今までの大臣、防衛庁長官の御答弁は、米軍の行動は、国連憲章上、国際法上常に正当化される行動であるという前提でお話をされておりますが、まさにコソボ紛争の例のように、国連憲章上疑義のある、必ずしも正当化されると言えない行動が現にあるわけであって、こういった具体的な例をかんがみた場合に、やはり東アジアでも同じような事態は起こり得るということを想定しておく必要があろうかと思っております。
そういった意味で、まさにこのユーゴの問題、コソボ紛争と同じようなケースが起こったときに日本はどう対応するのか。米国が国連憲章上疑義のある、いろいろな問題、議論はあるかもしれませんが、国連憲章上正当化されると言い切れない問題について武力行使をした場合に日本はどう対応するのか、そこをぜひお聞きしたいと思います。
○高村国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、コソボの問題というのは、我が国から見て事実がわからない点が非常にあるわけです。例えば、民族浄化が行われているといった場合も、そこにいる人たちが追い出されているということと、あるいは場合によっては虐殺されている、そういうのが一部あるということははっきりわかっていますが、どの程度そういうことがあるのかというようなこともわかりません。それから、NATOの攻撃がどの程度的を絞ったものであるか、それはある程度報告は来ていますけれども、それについても正確な判断ができない。
そういったことから、日本とすれば、当事者でもなく、正確な判断ができないわけでありますが、周辺事態の場合は、まさに我が国周辺で起こった我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態で、我が国が主体的に判断できる問題で、そのことについてあらゆる情報を米側と交換するわけでありますから、そういう中において実態的な判断のそごがあるということはまず考えられないのではないかということが、防衛庁長官が答弁されているところなんだろうと思っております。
○遠藤(乙)委員 重ねて伺いますが、日本がそういった米軍の出動に対して後方地域支援等を行う場合は、米軍が常に国連憲章上正当な武力行使をしているという前提のもとで今まで議論が来ているわけですけれども、今回のように、国連憲章上疑義のある形で米軍が武力行使をした場合に日本はどうするか、この点、やはり非常に大事な問題ですので、ぜひお答えをいただきたいんですけれども。
○高村国務大臣 法理的には、日本が主体的に判断をいたしまして、そして国連憲章上問題がないという判断をしたときにするということになりますが、現実の問題として、日米間では緊密な協議をいたしますので、そのような疑義のあるようなことを米軍はしないであろう、そごが出てくるようなことはまずないであろう、こういうことを申し上げているわけでございます。
○遠藤(乙)委員 これは押し問答になっちゃいますのでそれ以上議論をするつもりはないんですが、この周辺事態安全確保法案の趣旨からすれば、我が国が主体的に判断を行うことができるのは、その事態が我が国の平和と安全に重大な影響を及ぼす周辺事態であるか否かによって決めるということであって、その事態の解決に当たって米軍による軍事行動が適切か否かということではないと思います。
そこで、しかし例えば、日米が武力行使の必要性について見解の相違を生じているにもかかわらず、米国が独自の判断に基づき武力を行使し、その米軍の行動によって逆に我が国の平和と安全に重大な影響を与える事態が生じた場合、我が国はこれを周辺事態と認定をして新ガイドラインに基づく対米協力を実施するのか否か、改めてこの点を伺います。
○高村国務大臣 ある事態が周辺事態に該当するか否かにつきましては、日米両国政府がおのおの主体的に判断するものでありますが、周辺事態と考えられるような事態が発生している場合には、防衛庁長官が答えられたように、日米両国政府間の情報交換、政策協議が一層緊密に行われ、そのような事態について共通の認識に到達するため努力が払われることになります。したがいまして、日米間において周辺事態にかかわる共通の認識が成立しないということは、このような日米間の密接な協議、連絡にかんがみれば、実際の問題としては到底考えられないことだと思っております。
周辺事態に際して米軍が日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている場合には、既に我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態が生じていることが前提でありまして、また、米軍の行動は事態の拡大の抑止や収拾を図るものでありますので、周辺事態における米軍の行動は御指摘のような事態を生じさせるものではないと考えます。すなわち、米軍がこう行動したことによって周辺事態になるということは、これもやはり想定できないのではないかと思っております。
○遠藤(乙)委員 現実問題としては、そういった事態も全く排除はできないと考えておくべきだろうと思います。
確かに同盟関係でありますから、極力米国に対して信頼をし、共同行動をとることは当然であると思いますけれども、ただ米軍、米国の行動が常に正しいとは一〇〇%は言いがたい面もあるわけであって、米軍が特にフライングをした場合、そういった場合どうするのかということは、やはり現実問題として対応は考えておく必要があるかと思っております。ただ、これは押し問答になるので、これ以上議論するつもりはありませんけれども。
そこで、政府はこの周辺事態の具体例として四つの類型を既に答弁の中で出されております。しかし、あくまでこれは具体例といいますか類型であって、いまだこの周辺事態認定の基準が明確に示されたとは言いにくいのではないかと思っておりまして、我が国の平和と安全に重大な影響を与える事態とは、結局どのようにでも解釈できるのかなといった印象を受けざるを得ません。
例えば一つの仮定の例として、米国が武力攻撃の対象としている国が我が国に対して武力行使の意思を持たないことが明らかな場合あるいは否定しているような場合でも、我が国の平和と安全に重大な影響を与える事態として、周辺事態として認定することはあるのかどうか伺いたいと思います。
○野呂田国務大臣 御指摘のとおり、周辺事態は我が国周辺の地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であります。ある事態が周辺事態に該当するか否かは、その事態の態様、規模等を総合的に勘案して判断することとなります。
私どもは、具体例として四つの例を挙げてまいりましたが、軍事的観点を初めとするさまざまな観点から見て、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態を意味し、これまでかかる事態の例として典型的に考えられるケースを答弁してきたところでありますけれども、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態か否かについては、その事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断すべきものでありますため、その具体例をあらかじめ概括的、包括的に示すことはできないところであります。
また、周辺事態のこのような性格から、御指摘のように、米国が武力攻撃の対象としている国が我が国への武力行使の意図を持たないことが明らかである場合であっても、それをもって周辺事態に該当するか否かの判断が直ちに結論づけられるものではなく、その事態の規模、態様等を総合的に勘案した上で、あくまでも我が国の平和と安全に重要な影響があるか否かという観点から判断を行うこととなると考えます。
○遠藤(乙)委員 続いて、この周辺事態の認定の際、国際社会の理解を尊重する必要性があるという点につきまして御質問したいと思います。
米軍の行動が常に国際社会の理解を得られているわけではなくて、国際法との適法性をめぐって国際世論が二分されるケースも見受けられるわけであります。コソボ紛争に対するNATOの介入に対しては、国連安保理常任理事国のうち中国とロシアが異議を唱えていることは、御承知のとおりでございます。
この周辺事態の際における対応措置とは、我が国が武力行使を受けていない段階での米軍への協力であるということですから、周辺事態を認定するか否かを決定する場合には、我が国が協力する米軍の行動を国際社会が理解し、支持しているかどうかが非常に重要な意味を持つものと思います。また、専守防衛ということを安保政策の基本に据えてきた我が国が米軍への協力を行うことについて、国際社会に疑念を持たれることがあってはならないと考えるわけです。
そこで、まずお聞きしたいのですが、我が国が周辺事態を認定する場合には、米軍の軍事行動に対する国際社会の理解、特にアジア地域の諸国の理解に対する配慮が不可欠であると思いますけれども、これにつきまして政府の見解を伺います。
○高村国務大臣 周辺事態が生起したとしても、米軍は常に武力行使するわけではないわけでありまして、武力の行使を伴わない種々の活動、情報収集だとか警戒監視等を行い、まずは事態の拡大の抑制や収拾に努めることが当然想定されるわけであります。したがいまして、周辺事態になれば米国は直ちに武力を行使するわけではないという点についてぜひ御理解をいただきたい、こう思います。
その上で申し上げますと、米国は、日米安保条約において明記されているとおり、これは第一条、第七条でありますが、国連憲章のもと、違法な武力行使を慎む義務を負っております。我が国としては、同盟国たる米国がこうした義務に違反して武力行使することはそもそも想定していないということは、何度も申し上げているところでございます。
そして、政府としては、従来から、指針に関し関心を有する諸国に対して透明性を確保することが重要である、こう考えておりまして、このような透明性の確保は、周辺事態が生起している場合でも重要である、その場合は余計重要かもしれませんし、認識しているところでございます。議員の御指摘も踏まえ、今後とも必要に応じ、関心を有する諸国に対ししかるべく説明を行っていきたい、こういうふうに考えております。
○遠藤(乙)委員 今の大臣の御発言は大変評価をするものですが、ぜひとも近隣諸国等の透明性はきちっと、透明性ないし説明責任ですか、そういったものはしっかりと維持していただきたいと思っております。
それからもう一つ、今の問題との関連ですが、我が国周辺における事態への対応について、日米間あるいは地域の意見をまとめるための枠組みの構築といいますか強化が必要であると思いますけれども、そういった点につきまして政府の見解はいかがでしょうか。
○高村国務大臣 日米両国政府間におきましては、安全保障協議委員会等、種々のレベルにおいて密接な情報交換、政策協議が随時行われており、周辺事態と考えられる事態が発生している場合には、これらが一層緊密に行われ、このような事態について共通の認識に到達するため努力が払われることになるわけでございます。指針に明記されているとおり、日米両国政府は、周辺事態が発生することのないよう、外交上のものを含むあらゆる努力を払うとともに、周辺事態が予想される場合には、事態の拡大を抑制するため、外交上のものを含むあらゆる努力を払うことになっているわけでございます。
さらに、政府としては、平素から、域内諸国間の信頼醸成を促進する観点から、二国間及び多国間のさまざまなレベルで安保対話、協力を促進すべく努力しているところでございます。
今後とも、政府としてはこのような努力を継続していきたいと考えており、また、このような外交努力の重要性は周辺事態が生起している場合であっても変わらない、こういうふうに認識しております。
○遠藤(乙)委員 大臣の言われた周辺諸国に対する透明性あるいは説明責任ということは大変重要なポイントでございますので、特に今後この点は留意をして、努力をしていただきたい、これは要望しておきたいと思います。
続いて、船舶検査活動の問題につきましてお聞きしたいと思います。
まず、今回の日米新ガイドラインの中では、国連安保理決議に基づく船舶検査活動についての協力が盛り込まれております。ということは、米国は、我が国が行う船舶検査活動についてはそもそも国連安保理決議が必要である、そのような認識に立っているのか、国連安保理決議がない場合にはやるべきではない、そういう認識に立っているのか、この点を確認したいと思います。
○高村国務大臣 新指針の策定は日米両国間の緊密な調整の上で行われたものであります。米国は、新指針において日米両国政府が協力して行う活動として例示された船舶の検査は、国連安保理決議に基づくものであると認識しているものと考えております。
ただ、一般論として申し上げれば、新指針に挙げられている周辺事態における日米間の協力項目はあくまで例示でありますから、安保理決議がある場合以外の船舶検査活動を含めて、それ以外の日米の協力を排除するという趣旨では必ずしもないとは思っています。
いずれにいたしましても、現在、国会にお諮りしている周辺事態安全確保法案における船舶検査活動は、国連安保理決議を前提としており、これは新指針の内容とも平仄が合ったものである、こういうことでございます。
○遠藤(乙)委員 政府は国会答弁等におきまして、周辺事態の際に行われる船舶検査活動に国連安保理決議が必要な理由としまして、一つは、公海上の船舶が旗国主義をとっているということ、それから二つ目に、国連安保理決議がある場合は、国際法上、旗国が同意しているか、あるいは同意していると同様に見られる場合と同じように扱われる旨の見解を示しております。しかし、この船舶検査活動につきましては、新聞報道等によりますと、自民党と自由党との間で、「国連安保理決議だけでなく、多国間の取り決めなどで実施が可能とするよう修正を行うことで基本的に合意した。」と報じられております。
そこで、仮に多国間による取り決めを要件とした場合、国連安保理決議を要件とした場合との比較において、国際法上、船舶検査活動に与える影響について説明をいただきたいと思います。
○高村国務大臣 これは旗国主義との関係で、安保理決議があれば各国は受忍義務を負うことになるので、旗国主義との関係をクリアすることができるということがあるわけであります。
今、もう一つ、委員が例を挙げられた多国間の取り決めで、その多国間の中でお互いに、私は旗国であっても、うちの船を検査されても文句を言いませんよということを決めれば、その中でお互いに検査するということは、それは旗国主義があってもできることだ、こういうふうに思っています。
ただ、多国間で、十カ国なら十カ国で決めたからといって、その中に入っていない国の船について検査するということは、それは旗国主義の関門を突破することにはならないだろう、こういうふうに思っております。
安保理決議が必要か必要でないか、これはいろいろな議論があるわけでありますが、例えば多国間の取り決めで、その国限りの中でお互いに船舶検査をするような必要性がどの程度あるかとか、そういったことの判断でどっちがいいかなという問題になってくるのではないかなというふうに思っておりますが、政府としては、国連安保理決議があった方がいいのではないかと現時点で思っているところでございます。
○遠藤(乙)委員 本来、この船舶検査、経済制裁の実効性を確保するということが大きな目的でありますし、そうしますと当然、安保理決議という普遍的なものがあって、普遍的に、無差別にそういった検査をすることによって初めて効果が上がると考えられるわけです。
そこで、逆にそれを絞ってしまって、周辺事態の際に国連安保理決議によらないで多国間による取り決めにより船舶検査活動が実施された場合、これは今大臣が言われたこととちょっと違いますけれども、多国間で協定して普遍的に、無差別にやろうとする場合には、米軍の敵対国から見れば、当然船舶検査活動に参加する我が国も米国と同一視されやすく、結果として船舶検査活動に参加する我が国の自衛艦等も攻撃の対象とされやすい。当然問題があると思われます。
国連安保理決議がない状態での船舶検査活動は、むしろ我が国を紛争に巻き込みかねない行為であるというふうに考えておりますけれども、この点につきましても政府の見解をお伺いします。
○高村国務大臣 旗国主義というのがある以上、多国間で合意をして、その合意をした国以外の船に船舶検査をするという選択肢はないのではないかと思っております。ですから、国連安保理決議がある場合、プラスアルファとして多国間の約束があって、その国の中同士でこういうことをやった場合にどのくらい有意義かというようなことは、一つの問題点となり得るかと思っています。
○遠藤(乙)委員 国連憲章の四十一条に基づく非軍事的強制措置の決定は、憲章二十五条によりまして国連加盟国全体を拘束するものとなっております。したがって、国連安保理決議に基づいての船舶検査活動は、我が国周辺諸国の懸念を生じさせることは極めて少ないと考えられます。
一方、多国間による取り決めに基づいて行う船舶検査活動は、国際社会の信認を得ているとは考えられませんので、特に我が国周辺諸国がこういった活動を行うことに反対している場合、我が国に対して無用な疑念を抱かせて外交関係が悪化するなどの悪影響が予想されるわけであります。
こういったことから、船舶検査は国連の権威のもとで行われることが必須要件であって、法案を修正するに際してもぜひとも、国連決議は必ず前提としなければならないということが私たちの見解でございまして、改めて政府の見解をお伺いしたいと思います。
○高村国務大臣 ですから、すべての国の船を船舶検査をするということであれば、これは国連安保理決議のようなものが必要になってくるだろう。ただし、幾つかの国が話し合って、我々はお互いに自分たちの国の船を検査し合うことを認めようではないか、こういうことは一つの選択肢としてはあるのではないか、あり得るというふうに思っております。
現時点で政府としては、国連安保理決議のもとにやるということを申し上げて、今御審議をいただいているところでございます。
○遠藤(乙)委員 ぜひとも原案のままでいくことを強く要求したいと思っております。
続いて、若干別の側面ですが、船舶検査活動に際して、不測の事態に備える必要性ということでちょっとお伺いをいたします。
我が国が実施する船舶検査は、実弾による警告射撃を実施しない等の点で強制の要素を排除しておりますが、国連安保理決議によるものであったとしても、制裁対象国からすれば、国際法上の議論はともかく、我が国を敵視することは十分あり得るわけでありまして、そういった場合に制裁対象国が十分な航空または海上兵力を維持していた場合には、船舶検査活動に従事している我が国の自衛隊艦船に攻撃をしかける可能性も全くないとは言えないと思います。
こういった不測の事態に対応するための手段をやはり検討していく必要があるかと思いますけれども、この点につきまして政府の見解をお伺いいたします。
○野呂田国務大臣 先ほども議論がありましたが、いわゆる船舶検査に際しましては、国連加盟国が検査を受けることについて受忍義務を負っております。また、過去の諸外国の船舶検査の活動実績においても、軍艦等がかかる活動を妨害するために攻撃を行ったとの例は承知しておらず、軍艦等が攻撃をしてくることは一般的に想定しにくいものと考えております。
他方、一般論として、自衛隊の艦船の行動中に不測の事態が発生した場合には、当該艦船は当該危険を回避するための行動、例えば現場からの退避等でありますが、これをとることとなり、また、万が一危険を回避する努力を払っても回避し得ないような事態が差し迫った状況においては、いわば最後の手段として、自衛隊法九十五条に基づき当該艦船等を防護するための武器を使用することは可能となるわけであります。
いずれにしましても、委員御指摘のとおり、船舶検査活動を実施する際には、不測の事態が発生した場合の対応について十分に検討するとともに、隊員に対する教育訓練等を行って万全を期してまいりたいと考えております。
○遠藤(乙)委員 次に、ガイドラインに記されております我が国が主体的に行う活動ということの意義につきましてお聞きをしたいと思います。
日米ガイドラインにおきましては、周辺事態安全確保法案に明記されている周辺事態の際における我が国の活動、すなわち後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動のうち、後方地域捜索救助活動と船舶検査活動は日米両国がおのおの主体的に行う活動として位置づけられております。
しかし、ガイドライン自体は日米安保体制を強化するものでありまして、我が国がこの二つの活動を行う場合には米国との協力によって行われることからすれば、事実上米軍の出動を前提としていると解することができるわけでありまして、したがって、形式的には主体的に行う活動と記されていたとしても、実際に主体性が確保されるかどうか疑わしい点があるわけでございまして、この点につきまして政府の見解を伺いたいと思います。
○野呂田国務大臣 今御指摘の後方地域捜索救助活動それから船舶検査活動は、後方地域支援とは異なりまして、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍に対する支援として行われるものではない、法律上これらの活動については米軍の活動は要件とされていないものであります。このことは周辺事態安全確保法の各条文から明らかであります。
周辺事態に際して我が国としていかなる措置を実施するかにつきましては、先ほどから議論が出ておりますように、日米両国政府がおのおの国益確保の見地から主体的に、その時点の状況を総合的に見た上で判断するということになります。このことにつきましては、指針にも明記されているほか、私ども累次説明しているところであります。
後方地域捜索活動や船舶検査活動において日米間の協力が想定されるゆえに我が国の主体性の確保が疑問であるとの御指摘は、必ずしも当たらないものと私どもは考えております。
○遠藤(乙)委員 続いて、「我が国周辺の公海」という用語が使われておりますけれども、これにつきましてお伺いをします。
周辺事態の安全確保法案の第三条では同法案における用語の定義づけがされておりまして、この定義の中には「我が国周辺の公海」という文言がありますが、これが何を指すか極めて不明確でございます。この文言は後方地域の定義にも使われておりまして、範囲が不明確なままでは自衛隊の活動範囲に歯どめがかからず、近隣諸国に不要な疑念を抱かせる可能性もあると思われるわけです。
我が国周辺の公海ということですと、常識的に解釈すれば、政府見解で示されている極東の範囲よりは狭い地域になるのではないかと考えられるわけですけれども、具体的には我が国周辺の公海がどの程度の範囲まで指すことを想定しているのか、御説明をいただきたいと思います。
○野呂田国務大臣 周辺事態における自衛隊の活動範囲につきましては、周辺事態が地理的な概念ではなく、その生起する地域を特定し、あるいは一概に画することができない、こういうことを常々に申してきたところでありますが、したがいまして、これに対応して実施される自衛隊の活動の範囲につきましても、地理的範囲の枠を設定することはできないというところであります。したがって、周辺事態に対して自衛隊が活動を実施する場合、我が国周辺の公海についても地理的に一概に画することができない点について、御理解願いたいと存じます。
なお、周辺事態に際し具体的に船舶検査活動等を実施する区域については、基本計画に従いまして、防衛庁長官が内閣総理大臣の承認を得て指定することとされておりますが、このような周辺事態に対応するための自衛隊の活動は、我が国の平和と安全の確保のために行われるものであり、その範囲が無限定に広がるということはなく、おのずと限界があることは当然であると考えております。
○遠藤(乙)委員 周辺の意味は相変わらず難しくてわからないので、これは延々と議論になりますのでこれ以上追求するつもりはないのですけれども。
では続いて、自衛隊が主体的活動を行う場合の活動範囲につきまして、さらにお聞きしたいと思います。
小渕総理は一月二十九日の予算委員会で、「周辺事態安全確保法は、日米安保条約の目的の枠内であり、日米安保条約を超えるものでない、これが確たる答弁とさせていただきたいと思います。」と答弁をされております。
この答弁からすると、米軍の活動に対する支援である後方地域支援のみならず、我が国が主体的に行う後方地域捜索救助活動及び船舶検査活動についても、日米安保条約の目的の枠内ということになると思います。論理的に当然そうなるわけですね。しかし、日米安保条約の目的自体は、何度も答弁から伺っておりますけれども、我が国及び極東の平和と安全の維持ということになっております。日米安保条約の目的の枠内とすれば、特に我が国が自主的に行う活動について、米軍の活動という前提もなく、我が国の平和と安全の維持だけではなくて極東の平和と安全の維持にも参加できるとも解釈されかねない面があります。
そこで、専守防衛という自衛隊の基本方針を超えて活動範囲が広がることのないように、自主的活動を行う場合における自衛隊の活動範囲につきまして、政府の明確な見解を求めたいと思います。
○高村国務大臣 周辺事態は、あくまで我が国の平和及び安全に重要な影響を与えるか否かとの観点から判断すべきものでありまして、主体的活動と言われるものもまさに周辺事態のときに行われるということは、これは当然かかっているわけでありますから、あくまで我が国の平和及び安全に重要な影響を与えるかどうかという観点から判断されるわけであります。
ですから、安保条約の目的というのは我が国及び極東の平和と安全でありますが、この周辺事態の場合は、我が国の平和と安全に重要な影響を与える、こういう観点から言っているわけでありまして、極東の平和と安全に関する概念である極東というところとこの周辺事態、これは主体的活動の場合でも全く同じでありますが、それとは一概にその範囲がどうだということを論ずることはできない、こういうことをぜひ御理解いただきたいと思います。
○遠藤(乙)委員 その答弁は何度も実は伺っているわけでありますけれども、総理が言われた、周辺事態安全確保法は日米安保条約の目的の枠内ということを一面で言われ、もう一方では、周辺事態と極東との間の地理的な関係を一概に論じることはできないといった答弁もあるわけでございまして、これは一見矛盾するような響きを持っております。その場合どう整合性を考えるかということなんですけれども、改めて、この点につきまして重ねて答弁をお願いします。
○高村国務大臣 今申し上げたつもりなんですが、あくまで我が国の平和と安全ということに着目したのが周辺事態という概念でありますから、我が国の平和と安全だけでなくて、極東と我が国の平和と安全という日米安保条約の概念の枠内ではありますが、それと全く同じということではないということでありまして、その関係を一概に論ずることはできないということを、先ほど委員がもう何度も聞いているとおっしゃいましたが、もう一度言わせていただきます。
○遠藤(乙)委員 では、続いて邦人救出の問題に進みたいと思います。
今回の周辺事態安全確保法案と同時に自衛隊法第百条の八の改正案が提出をされておりまして、在外邦人の救出に関して、輸送手段や安全を確保するための措置の上で改善がなされているとは思います。特に、改正法案第三項で武器の使用の規定を設けたことは、輸送の安全確保の見地からその意義が認められるところでありますけれども、こういった規定が有効に機能するためには、現場の司令官に対して具体的にいかなる場合にいかなる程度の自衛措置が許されるか、いわゆる交戦規定ですね、ROEを策定する必要があるかと思いますけれども、政府はこの点どう考えておられますか。見解を伺います。
○野呂田国務大臣 在外邦人等の輸送に従事する自衛官の派遣先国内における武器の使用につきましては、本改正案百条の八の第三項にその要件が定められているところでありますが、防衛庁においては、武器の使用は、その性格上慎重な上にも慎重を期す必要があることから、在外邦人等の輸送に従事する自衛官の武器使用等の手続について要領を策定し、遺憾なきを期す所存でございます。
○遠藤(乙)委員 自衛隊法の第百条の八の改正案は、輸送手段とか安全確保措置の上でも多くの改善を行っていると思いますけれども、一方で、輸送の安全が確保されている場合というこの派遣要件は維持されたままであるわけです。このため、危険地帯からの武力救出はもとより、危険地帯への派遣そのものが否定されているというふうに解されます。それゆえ、自衛隊による在外邦人の救出を成功させるためには、安全地帯まで邦人自身が避難、集結するか、あるいは、当該領域国あるいは米軍などによる安全地域までの輸送が必要となってくるわけでございます。
ところで、新ガイドラインでは、非戦闘員の避難につきましては日米両国政府がおのおの主体的に行う活動として記述されておりまして、最終的に米軍の協力が得られることは担保されていないわけであります。果たして、これで在外邦人の安全は確保されるのか。政府の見解をお伺いいたします。
○野呂田国務大臣 自衛隊法百条の八におきまして輸送の安全が要件とされておりますのは、派遣先国の空港、港湾等において当該輸送の安全が確保されない場合においてあえてこれを実施しようとしますれば、当該輸送の対象である邦人に大きな事故等が起こることにもなりかねない、在外邦人の安全確保というそもそもの目的を達成することができなくなりかねないためでございまして、当該輸送の任務を行う上でのいわば当然のことを規定したものと考えております。
したがって、防衛庁としては、輸送の安全要件を削除することは考えておらないところでございます。
○遠藤(乙)委員 続いて、準備行為の問題につきましてお伺いをいたします。
自衛隊法百条の八による邦人輸送は、当然、周辺事態以外の場合でも適用される規定であります。周辺以外の遠隔の地で在外邦人の救出、輸送の必要が生じた場合についても、検討する必要があると考えております。昨年の五月、インドネシアの暴動が起こった際に、政府は、シンガポールへ自衛隊機を、自衛隊法百条の八の発動の準備行動として派遣をしたという経緯があります。
しかし、こういった準備行動による派遣は、本来の派遣に必要な閣議決定が要求をされていない状態であります。特に、改正法によりまして、艦船と航空機の統合運用による規模の大きい派遣が可能となる以上、こういった準備行為の必要性を認めるにしても、やはりこの準備行為を行う手続的な規定を整備する必要があるのではないかと考えるわけでございますが、この点につきまして政府の見解をお伺いいたします。
○野呂田国務大臣 隊法百条の八の趣旨は、外国における災害、騒乱等の緊急事態に際し、生命等の保護を要する邦人等を、外務大臣からの依頼に基づいて自衛隊が派遣先国から本邦等へ輸送するというものであります。
防衛庁としましては、自衛隊航空機、船舶の速度、航続距離、任務地までの距離等を踏まえまして、在外邦人等の輸送の任務を適切に遂行し得るよう、準備行為として自衛隊航空機、船舶等を隣接国等まで移動、待機させることは可能と考えております。その場合、外務大臣より当該輸送の依頼をする可能性があるとの判断が示されることを、当該移動、待機の前提としているわけであります。
なお、自衛隊が活動する際、種々の準備を行うことは当然のことでありますが、自衛隊の活動の準備といっても、輸送手段の移動から必要な物資の集積など、その内容はさまざまであります。その一つ一つを明文で規定することは困難であると考えます。また、そのうち一部を法文上明記、明文で規定した場合、その反対解釈として、明文で規定していない準備については実施できないのではないかという疑義を生む可能性もあると考えます。
したがいまして、在外邦人等の輸送を規定した自衛隊法の百条の八の準備行為のみ取り出して手続的規定を整備することは、他の自衛隊の活動の準備との整合性という観点から考えても必要なこととは考えられないということを申し上げて、御理解を賜りたいと思います。
○遠藤(乙)委員 これは政治判断の問題だと思うんですが、こういった今回の改正では、艦船と航空機の統合運用による大規模なそういったオペレーションということになりますので、やはり、それの持ついろいろな政治的意味、また派遣国に与える影響等も考えられますので、そういった意味では、ぜひ手続規定を明確にした方がいいのではないか。これはこちらの政治判断でございますけれども、一つの要望としてこれは申し上げておきたいと思っておりますので、今後の検討をぜひお願いしたいと思っております。
続いて、地方公共団体及び民間の協力の問題に移りたいと思います。
この九条一項に基づく協力要請について、政府としては、正当な理由があれば断ることができると答弁をしておられます。ただ、地方公共団体が九条一項による協力要請を拒否した理由が正当であるかどうかを判断する際、どういった基準によって判断するかということは明確に示されてはおりません。したがいまして、基準が不明確なままでは、協力を求められた地方公共団体としては混乱を生じ、いざというときに無用の時間を費やすことが予想されるわけでございまして、そういった意味では、やはり、何が正当な理由に当たるかの明確な基準、ガイドラインといったものをきちっとしておく必要があるのではないかと考えますけれども、この点につきまして、政府の見解を伺いたいと思います。
○野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、第九条に基づいて地方公共団体に対して協力を求めることができるということを規定しておるわけですが、この場合に、正当なる理由があるかどうかということについては、まず第一に、何よりも自治体が、管理者としてのいわゆる正当な権限の行使という範囲の中でその正当性を考えてもらう、こういうことが一番の基本だと思っております。
ただ、たびたび申し上げておりますが、この九条に基づく要請というのは、周辺事態が発生して、それに対する措置の緊要性ということがまずある。その上で、地方公共団体の長の持っている権限の公共的な性格と、そして、他に代替手段をなかなか求めることが困難であるというような事情を考慮した上で国から必要な協力を求めるのでございまして、そういう際におけるそれを拒むべき正当な理由というのは、やはり、管理者としての個別の法律に基づく権限行使の上で、その拒否する理由が正当であるかどうかということを個別法で判断をするということにならざるを得ない、こう思っております。
○遠藤(乙)委員 そこで、ちょっと一つ具体例を質問したいと思うんですが、リコールの可能性といった問題ですね。ある県、地域において、非常に住民が周辺事態に協力することに反対している、強い、もし首長があえてその住民の意思に反して周辺事態の協力を強行した場合にリコールがなされてそれが通る可能性が高い、そういった地方政治の政治的状況があった場合、その首長としては、リコールの可能性を一つの拒否する正当な理由としてこれは言うことができますか。
○野田(毅)国務大臣 率直に申し上げて、リコールの可能性があるか否かということは、正当なる理由があるか否かの判断基準にはならないものだと考えております。
それは、あくまで、さっき申し上げましたが、いわゆる権限の行使、公共的な施設の管理者としての権限行使の上で正当であるかどうかということが問題なのであって、リコールが行われるかもしれない、いや、行われないかもしれないというようなことは、権限行使の正当性の判断の理由には当たらないんじゃないかというふうに考えております。
○遠藤(乙)委員 されるかどうかという不確実な状況はそうだと思いますが、ほとんどされる可能性が高い、そういう事態はどうなりますか。もうこれをやったら間違いなくリコールになってそれが通るという状況に直面した場合、首長としてはそれを理由に拒否できますか、正当な理由として拒否できますか。
○野田(毅)国務大臣 くどくて申しわけありませんが、法令に基づく権限の行使ということにおいてそれが正当であるか否かということが大事なことでありまして、リコールが行われるか行われないかということは、この際は法令に基づく話ではないということでございまして、リコールの話は、専ら住民等のいろいろな角度からの政治判断に基づいて行われるわけでありますから、逆に言えば、権限行使を正当に行使されないということがリコールの対象になることだってあるかもしれませんし、あるいは正当なる権限行使を行われることがリコールの対象になるかもしれません。そういう意味で、リコール云々の話はこの際はちょっと横へ置いて、やはり拒否すべき正当な理由があるか否かというのは、法令の執行という、法令に基づく権限の行使ということにおける正当性があるか否かということに絞って考えていただきたいと思います。
○遠藤(乙)委員 続きまして、物資の運搬等の際における情報公開の必要性ということでお聞きをしたいと思います。
周辺事態における米軍への後方地域支援では、関係政府機関の長が国以外の者に求める協力として、地方公共団体の管理する港湾施設、空港の使用及び民間の運送事業者、廃棄物処理関係業者、企業の有する物品及び施設の貸与等が掲げられておりまして、この中には軍需物資の運搬や貯蔵も含まれるものと理解をしております。
ただ、一つの例として、昨年、沖縄の嘉手納基地の中におきまして、一九六〇年代から七〇年代にかけて、ポリ塩化ビフェニル、いわゆるPCBですね、これの入った変圧器の廃油がため池に投棄されていたという問題が明らかになったわけであります。米軍基地の跡地の環境汚染といった問題は、我が国のみならず、アメリカ本国、ドイツ、パナマなど海外の米軍駐留地などでも大きな社会問題になっているわけであります。軍需品の中には、弾薬はもちろんのこと、化学物質や有毒物質を含むような危険な物資もあるわけでございまして、運搬に携わる人や貯蔵場所周辺の住民の不安を生じさせないような努力が必要であると考えられます。
そこで、米軍基地云々は別として、一般論として、軍需物資の運搬及び貯蔵を行うに当たり、対象物資の中身を公開するなどの方策をとるべきではないかと思いますけれども、この点につきまして政府の見解をお伺いいたします。
○伊藤(康)政府委員 ただいま御指摘の物資の輸送等は、法文で申しますと、九条二項で一般の事業者に協力を依頼することができるということになっておるわけでございまして、これは累次申し上げておりますように、いわゆる義務ではなくて、それに応ずるか応じないか、応ずるのであれば契約によるということになるわけでございます。
また、この法律案で、既存の各法令でいろいろ安全に関する規定があると思いますが、それらについて一切改正をするとか特例を設けるというものでもございませんので、当然のことながら、物資の輸送あるいは貯蔵等を民間業者にお願いする場合に、現行の法令の定める安全基準、そういったものに従ってやっていただくというお願いをすることになるわけでございます。したがいまして、一般的には、安全上の問題が生ずるということは、ちょっと想像しにくいのであろうというふうに私ども思っている次第でございます。
ただ、そこで当然のことながら、民間の方に輸送をお願いする、中身がわからないでお願いするということはこれはあり得ないんだろうと思います。したがいまして、相手方は当然どういうものを輸送するなり貯蔵するなりということは理解した上で引き受けていただくということになるわけでございますが、それを一律に一般に世間に広く公開する必要があるかどうかということになりますと、そのときのいろいろな事情、例えば治安上の問題といったようなことも考えなければいけないと思いますので、これは一律にはいかないんだろうというふうには思っておりますが、最初に申し上げましたように、現行の安全関係の規制法令を遵守していただくということでございますので、業者はもちろんでございますが、周辺住民にも万一にも被害の生ずることのないように措置をしていきたいというふうに思っている次第でございます。
○遠藤(乙)委員 今度は、基地外の地域で物資を貯蔵する場合の安全対策につきましてもお聞きしたいと思います。
周辺事態で、もし日本周辺で米軍が軍事行動を展開するとなれば、我が国が提供する物品のほか、米国本土からも輸送物資がかなりの量に上るだろうということは、さきの湾岸戦争の際の兵たんを見ても明らかでありますし、在日米軍及び自衛隊の基地内だけでの貯蔵は困難になると考えられます。そういった場合、軍需品の貯蔵は、港湾、空港の民間倉庫あるいは公有地等を使用することにより需要を満たさざるを得ないと思われるわけであります。
しかし、基地以外の場所での貯蔵は、基地内の貯蔵と異なりまして、一般の人々と近い距離にあること、また貯蔵場所の安全対策が万全であるとは言い切れないことなどを考慮しますと、事故防止のマニュアルを事前に定めて、万が一事故が発生した場合の対処方法及び補償についても検討すべきではないかと考えますが、この点につきまして政府の見解を伺います。
○伊藤(康)政府委員 先生御指摘でございますが、周辺事態というものはどのようなものになるか、今から確定的に申し上げるわけにはいかないわけでございまして、またその量等についても、当然のことながら、予断を持って申し上げるわけにはまいりません。
したがいまして、先生おっしゃられるように、民間にたくさん依頼をすることがあるかどうかということも必ずしも確定的に申し上げられないわけでございますが、民間の事業者に今のような物資の一時的な貯蔵と申しますか、格納といったようなことをお願いするということももちろん否定はできないわけでございます。
ただ、これも先ほど申し上げましたように、現行の各安全関係の法令を遵守してやっていく、その範囲でお願いするしかないわけでございまして、そういう意味におきましては、安全上の問題ということは基本的には生じないのであろうというふうに思っている次第でございます。
また、先生御指摘の事故防止のマニュアルといったようなことにつきましても、そういう危険物等の貯蔵を行うことに関しましては一般的に設けられているのではないかと思いますけれども、そういったものが、周辺事態だからといって特別なものを要求するということではないのであろうというふうに思っております。
○遠藤(乙)委員 続いて、国会承認の問題に移りたいと思います。
政府は、周辺事態安全確保法案に基づく基本計画につきまして、周辺事態への対応が武力の行使を含むものではないこと、国民の権利義務に直接関係するものでないこと、かつ迅速な決定を行う必要性があること等総合的に勘案すれば、基本計画は必ずしも国会の承認を得なければならないものではなく、国会に遅滞なく報告し、議論の対象とすることが妥当であるとの見解を示しております。
しかし、例えば、地方公共団体は地域住民へあらゆる公共サービスを提供するのが仕事でありますし、地方公共団体が対米支援を行う場合の住民への影響は非常に大きいと考えられるわけです。そういった場合に、住民の権利義務に直接関係しないとは言い切れないわけでありまして、あるいは関係しないかどうかは不明確でありまして、多くの国民が理解できない状況にあるのではないかと思われるわけです。
そこで、政府は、国民の権利義務になぜ直接関係しないのか、明確に説明をする責任があると思いますけれども、この点につきまして見解をお伺いいたします。
○野呂田国務大臣 今委員から御指摘がございましたとおり、三つの活動はいずれも武力の行使を含むものではなく、あるいは国民の権利義務に直接関係するものではなく、また迅速な決定を行う必要があるものであるということを私どもは累次御説明してまいったところであります。
私は、この問題を考える場合に、やはり他の法律とのバランスを考えていくことが妥当じゃないかというふうに考えます。例えば、自衛隊法に定められております海上警備行動や要請による治安出動が、警察官職務執行法の武器使用規定が準用されるような強制力を伴う活動であるのにかかわらず、国会の承認が必要とされておりません。そういうことを考えれば、何ら強制力を伴わない周辺事態安全確保法案に基づく自衛隊の諸活動を行う際に策定される基本計画については、必ずしも国会の承認を得る必要がなく、基本計画を遅滞なく国会に報告し、国会での議論を踏まえつつ対応措置を実施していくことが適切であるというふうに考えているところであります。
また、本法案に基づき行われる自衛隊の活動の性格を、例えばPKF本体業務等の他の法律に定められている自衛隊の活動との比較で申し上げますと、武力の行使を含むものではないという点で自衛隊法に定める防衛出動と異なっております。また、国民の権利義務に直接関係するものでないという点で、同法に定める命令による治安出動と異なっております。さらに、迅速な決定を要するという点で、国際平和協力法におけるPKF本体業務とはそれぞれ異なる性格のものであるというふうに考えております。
以上のように、他の法律及び活動の性格との均衡といった点を勘案しますと、基本計画については、事前にせよ事後にせよ必ずしも国会の承認を得る必要はなく、遅滞なく国会に報告し、国会での論議を踏まえつつ対応措置を実施していくことが適切と考えているところでありますが、これらにつきましては、立法府におきまして十分な御論議をなさった上で、もしそういういろいろな結論が出てくるとすれば、私どもとしても、誠実に対応していかなければいけない問題ではあると考えております。
○遠藤(乙)委員 今、国民の権利義務に直接関係しない、また強制力を持ったものではないという御説明ではございますが、形式的には強制力はないにしても、実態的に自治体あるいは民間に膨大な項目につきまして幅広い協力を求めるとなれば、当然、国民生活へ大きな影響が出ることは間違いないわけであって、それは国民の権利義務に影響がないとはやはり言い切れない。特に生活には大きな影響をもたらすということを考えるのが当然でございまして、そういった意味では、やはりそういう要素を十分に考慮してこの国会承認問題を考えることが大変重要だと思いますけれども、改めてこの点につきましてお伺いいたします。
○野呂田国務大臣 国民の権利義務に密接な関係がありますのは九条の二項の民間の協力だと思いますが、これにつきましては、委員がよく御賢察のとおり、全く義務規定でもなし、いつでも拒絶できるものでありますし、拒絶しても何ら罰則規定もないということでありますから、そういう意味で、私どもは国民の権利義務に大きな縛りをかけるものだとは全く考えておりません。公共団体の協力という点でも、正当な理由があればこれは拒否できるということでありますから、私どもは、何ら強制力を持ったものではない、こういうふうに考えている次第でございます。
○遠藤(乙)委員 形式的には確かに強制力を持ったものではないにしても、国民生活に重大な影響を与える、大きな影響を与えるということは認められますか。
○野呂田国務大臣 国民の所有する土地を多く使うとか収用するとか、そういうものじゃございませんし、何か強制的にその仕事に従事させるというものでもないし、私どもは国民の権利義務に重大な縛りをかけるものだとは考えておりません。
○遠藤(乙)委員 強制力があるかないかじゃなくて、国民生活に重大な影響を与えるかどうかということをお聞きしたんですけれども。改めて、しつこいようですが。
○野呂田国務大臣 必ずしも大きな影響を与えないのじゃないかと考えております。
○遠藤(乙)委員 これは今後やってみなければわからない問題ですけれども、この点は特に重視しておりますので、さらに今後議論していきたいと思います。
それから次に、迅速性、迅速な決定の必要という点につきましてお聞きしたいと思います。
この基本計画について、国会報告にとどめる理由の一つとして、迅速な決定が必要であるという理由を挙げておられますが、そのために、国民の代表で組織される国会の行政府に対するチェック機能を無視してもいいというわけでは当然ないと思います。また、この周辺事態安全確保法案では、対応措置を実施する際には基本計画及び実施計画を作成することになっておりますけれども、基本計画はいわば大綱でありまして、行政府の活動を監視する立場にある立法府が当然関与していく必要があるかと思っております。
そこで、この緊急性については、原則として事前に承認を求める、緊急時には事後に国会承認を得るということにすれば緊急時の迅速な対応ができるわけでございますし、まさに防衛出動等もそういう形になっておりますので、この点につきまして、改めて緊急の必要ということに関する政府の見解をお伺いいたします。
○野呂田国務大臣 私どもは、先ほど来申し上げておりますように、国民の権利義務を拘束するものじゃない、武力を使わない、迅速性を要すという前提に立って、この法案が最上の法案として国会にお諮りしているわけでございまして、委員にこれ以上聞かれても、この法案を修正するというような考えを今私どもが申し述べることはできないことであります。先ほども申し上げましたが、国会において十分御論議をしていただければと思います。
○遠藤(乙)委員 私は迅速性の必要という問題につきまして絞って議論しているわけで、防衛庁長官としてどう考えるか、個人的な見解でもよろしいんです。迅速性、迅速の必要ということであれば、原則事前、緊急の場合には事後承認ということにしておけば、これは防衛出動もそうなっておりますけれども、迅速性の要求はもう十分満たされるのではないかと思いますけれども、この迅速性の点に絞ってお考えをお聞かせいただきたいと思います。
迅速性の要求は、迅速性だけにもし絞っていえば、原則事前承認、緊急の場合には事後というメカニズムで十分対応できるではないかということなんですけれども。
○野呂田国務大臣 政府の判断としては、最高の迅速性は国会に対する報告であると思っております。
○遠藤(乙)委員 そうはいいましても、防衛出動ですら原則事前承認という形をとっているわけですよね。やはり実力組織が動くという場合には、当然慎重には慎重を期するというのが民主国家の基本的な考え方でありますし、そういった点では、迅速性という点で見れば、やはりこの原則事前、例外的に事後ということで十分対応できると考えております。これは押し問答になりますので、これは今、強く主張したいということで申し上げたいと思います。
最後に、国会への報告の問題、これはいわゆる基本計画の報告ということではなくして、周辺事態が終わって、対応措置がとられて、終了した後の国会への報告でございます。私たちの立場は、基本的には、原則事前承認、基本計画の事前承認ということを考えておりますけれども、それとは別に、周辺事態が終わった後、とった対応措置につきまして国会に報告をする義務ということも、当然これはあってしかるべしと考えております。
現在の周辺事態の安全確保法案では、国会報告は基本計画の決定または変更があったときのみに義務づけられておりますけれども、実施状況の中間報告とか、いつ終了したのかを含めた最終報告は義務づけられておりません。国会の行政府に対する監視機能を徹底させるためにも、例えばPKO法第七条のような国会報告の規定を盛り込むことが必要であると考えておりますけれども、この点につきまして政府の見解をお伺いいたします。
○伊藤(康)政府委員 先生御指摘のとおり、ただいまのお願いしております法案では、基本計画を策定し、あるいはそれを変更したときには直ちに国会に御報告するという規定を設けておるところでございます。したがいまして、その後、中間的な実施状況でございますとか、あるいはまた、その周辺事態が終わったというときにおきまして国会で御議論をいただくことは、これは当然のことなんだろうと思います。
したがいまして、そういったときに適宜私どもも御説明をすることを考えておりますし、また国会の方からも御要望があるのであれば、きちんとした報告をするということは、いわば当然のことではないかというふうに思っております。したがいまして、あえて法律上そのような条文を置かなかったということでございます。
今、PKO法でそのような規定があるではないかという御指摘でございますが、PKO法の場合は、国際平和のための努力に積極的に寄与するために海外において実施するという性格を持っております。特に海外というところでございまして、周辺事態の場合は我が国及びその周辺でございますので、そういったところの違いというものもありますし、性格的にも異なるのではないかというふうに思っている次第でございます。
○遠藤(乙)委員 今、PKO法の場合は海外であり、周辺事態の方は領域及び周辺ということなので、その違いがあると言いましたけれども、やはり国民から見れば、また立法府から見れば、必ずしも全体像や詳細を把握できない状況にありますので、やはり立法府による検証の意味も含めて、ぜひとも詳細な事後報告、対応措置の全体像、並びにできる限り詳細について報告を求めたいと考えておりますけれども、どの程度まで詳細に出せるのか、この点につきまして政府側の見解をお聞きしたいと思います。
○伊藤(康)政府委員 先ほども申し上げましたように、政府といたしましては、対応措置の終了後はもとよりでございますし、実施中においても、適宜その対応措置について国会に御説明することは当然というふうに考えておる次第でございます。
ただ、その内容でございますが、今から、その事態もまだ起こっていない現段階におきまして、これこれこうだと確定的に申し上げることは大変困難でございますが、一般的には、基本計画で御報告をした内容について、どういう結果になったか、やったものがあるのかないのかといったようなことは当然入るものと思っておりますし、また、差し支えのない限り詳細に御報告するのは当然というふうに考えておる次第でございます。
○遠藤(乙)委員 では、具体的な事項で申し上げますと、後方地域の設定という問題ですね。これは事前には示せないと思います。手のうちを明かすことになりますので、後方地域をどこに設定したかということは事前には示すことは適当ではないと思いますけれども、事後的に、できるだけ詳細に、そこら辺の後方地域の設定について情報開示ができるのか否か、やるかどうか、その点につきましてお聞きします。
○伊藤(康)政府委員 先生御指摘のとおり、実施地域につきましては、なかなかあらかじめということは困難でございましょうが、事態の終了後であれば、それは通常、御報告の中に含まれるというふうに考えております。
○遠藤(乙)委員 今の問題、私もちょっと重要であると考えておりますので、後方地域を含め、重要な項目につきましてはできるだけ詳しく国会に報告するということで、防衛庁長官の確認を得たいと思うのですが。
○野呂田国務大臣 この問題は内閣安全危機管理室の方で所管しておったものですから、室長がお答えをしておったところでありますが、委員の御指摘は大変大事なことでありますから、私たちもできる限りの情報公開に努めたいと思っております。
○遠藤(乙)委員 今の防衛庁長官のお言葉は多としたいと思うのですが、立法府による検証という意味で、ぜひとも詳細な情報を事後的には開示していただきたいということ、それからまた国会報告につきましては、ぜひこの項目についても法律に盛り込むべきであるという私たちの主張を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
以上です。
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