第145回国会
日米防衛協力のための指針に関する特別委員会
第6号



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平成十一年四月七日(水曜日)
午前九時二分開議

○遠藤(乙)委員 公明党・改革を代表しまして、質問させていただきます。
 四人の参考人の先生方には、大変御多忙の中、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございます。時間も限られておりますので、端的に御質問させていただきます。簡潔にお答えをいただければと思っております。

 冷戦後の日本の安全保障、それからアジア太平洋の平和を考えるときに、大きなテーマは具体的に二つあると私は思っております。一つは北鮮の問題、もう一つは米中関係の将来がどうなるか、この二つに現実には絞られると思いまして、この具体的な問題に即してやはりこのガイドラインの問題等も審議をしていく必要があるかと思っております。

 そこで、当面の大きな問題は北鮮の問題でございまして、特に、核開発、ミサイル開発、そういった高度な軍事技術が移転をしつつあって、そういった国でも現実に開発しているということが最大の問題であります。日本の安全から考えても、どうやってこの北朝鮮の核開発、ミサイル開発を抑制していくのが有効なのかということ、さらに、これは恐らくなかなか難しいと思いますが、将来、北朝鮮が兵器を完成し、配備した際に、どうやって有効に抑止をしていくか、そのための最も効果的な戦略はいかんということを四人の先生方にお聞きしたいのです。

 恐らく安全保障の専門家じゃない方もいらっしゃいますが、私見で結構でございますので、率直なところを簡潔にお答えいただければと思います。

○西元参考人 北朝鮮のただいま御指摘のような危険に対しましては、まず第一に、国際社会が一致結束して対応するということが最も重要なポイントではないかと思います。北朝鮮としては、各国の思惑あるいはパーセプションギャップをついて行動してくるというのが北朝鮮の行動の常でありますので、その辺が第一に必要な点だと思います。

 第二に必要な点は、我が国みずから北朝鮮の脅威に対応し得るような体制というものをしっかりと形づくっておくということだと思いますが、そのために最も重要なことの一つが、言うまでもなく、日米安保体制の機能の充実強化ということに尽きると思います。それと同時に、我が国として、法制の整備を含めて、どのような体制を築いていくのかということだと思いますが、とりあえず、今のような段階の中では、国連、それからASEAN地域フォーラム、朝鮮半島の安定をめぐる四者会談、さらにはKEDOといったような機能をフルに活用して、北朝鮮を外交的に説得していくという努力が当面は最も大事だろう、このように考えます。

○笹森参考人 私だけがどうも専門家じゃないようでありまして、この問題については大変お答えしづらいのですが、一般的にということですから。

 朝鮮半島の安定が日本にとって極めて重要、このことは全国民みんな一致をしていると思います。その中で、軍事的な解決に頼るのか、外交的な解決に頼るのか。私は、やはり日本の外交力をもう少し強化して、その上で朝鮮半島の安定にどのくらい寄与できるかということにもっと力を入れるべきだ。

 その中では、政府としての外交、それから行政としての外交、さらには民間としての外交と三つあると思うのですが、民間外交の方は今のところ極めて偏った点しかできておりませんので、全体的なものとして国民がそういうものに目を向けて、三者がそれぞれの力の中で外交面の強化をしながら、武力に頼らないという、朝鮮半島の安定に向けて努力をすべきではないかというふうに考えております。

○岡崎参考人 私は、北朝鮮政策の基本は、アメリカと韓国との協調が大事だと思っております。
 と申しますのは、一たん戦争が起こった場合のステーク、つまり損害、これが、韓国がこうむる損害、それから在韓米軍がこうむる損害、これに比べまして日本の損害というのは非常に少ないのであります。ミサイルが飛んできた場合に、確かに損害はあるのでございますけれども、それは韓国、アメリカと全く比べ物にならない。そうなりますと、やはりステークの大きい国の発言を尊重するのが本当でございます。

 外交的なあれでございますけれども、一時は日本が韓国、アメリカよりも先にということがあったのでございますけれども、最近、これがいろいろな事情で逆転いたしまして、特にミサイル問題と拉致事件ですね。ミサイルは、今まで日本には脅威ではなかったのですけれども、せいぜい大阪までと言っていたのですけれども、どうも日本全土をカバーするようになってきて、これがかなりの脅威になってきたということで、むしろ日本の方がややおくれた感じになりまして、これは私は健全なことだと思います。これは、米韓が決定してから後からついていくというのは、日本の外交として正しい方向だと思います。

 やはり日本に心配なのは核とミサイルでございますけれども、核はアメリカが交渉しまして米朝合意ができましたので、これは一応しばらく凍結できると思います。ミサイルはこれからでございます。これからペリーの報告が出まして、その結果がどうなるか、ちょっとわかりませんけれども、日本が希望しておりますのは、ミサイルについては、アメリカ、韓国、日本が足並みをそろえてかなり強硬な姿勢をとらなきゃいけない。これはアメリカもどうもわかってくれているようでございます。ただ、これは結果が出るまでよくわかりません。

○小沢参考人 何よりも、この問題は日本国憲法の原点に立った対応が必要かと思われます。日本国憲法の前文は、恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を全世界の諸国民とともに持っていこう、こういう立場でありますので、まさにそういう観点から、軍事的な対処ではなく外交的な対処をしていくとか、あるいは条件反射的な対応は厳に慎むということが肝要かと思います。その点で言えば、TMD構想などへの参加というのは私は問題が多い対応ではないかというふうに考えております。
 以上でございます。

○遠藤(乙)委員 では、第一問に関連をしまして、若干専門的な話になってまいりますが、これは西元参考人と岡崎参考人にお伺いします。

 核につきましては、NPT等があって、国際的な一応レジームがあって、これは比較的交渉はしやすいと思うのですが、ミサイルの方はほとんどないというのが現状でございまして、どうやってこれをつくるかということが大きなテーマだと思いますので、この点、どうやって日本として取り組むべきなのかという点が第一点です。

 それからもう一つは、TMDですね。ミサイルの抑止に対するTMDの問題、日本としてこれをどう位置づけていくのかという二点につきまして、御両者から聞きたいと思います。

○西元参考人 まず、ミサイルの規制に取り組みます日本の態度ということでございますが、ミサイルの規制には、MTCRという、ミサイル関連技術輸出規制というものがございます。残念ながら、この規制はいわば紳士協定でありまして、実効性ということに非常に大きな問題があることは御承知のとおりでございます。

 現在、世界の軍縮関係の条約の中で最も有効な機能を発揮するのは、私は化学兵器禁止条約だと思います。これにはチャレンジ査察というようなことまで含まれておりますので、ミサイルの移転を防止するということを、単なる紳士協定にとどまらず、化学兵器禁止条約までは非常に難しいと思いますが、少なくとも核拡散防止条約とかそのようなレベルにまで高めていく努力を国連の場で続けていくということがやはり必要だろう、このように思います。

 それから、第二点のTMDに関する問題でございますが、私は、これは二つの側面があると考えております。
 現在、ミサイルが拡散する一番大きな軍事的な理由と申しますのは、これに対抗する有効な手段がないからでございます。したがって、このミサイルへ対応し得る有効な手段をもし我々が持つということになれば、このミサイルの拡散をとめることに大きく貢献するものと私は確信いたしております。

 それからもう一点、このミサイル関連技術は非常に高度の技術を要します。したがって、このことは、一方において他の防衛システムの充実発展に寄与するもの、このように考えております。
 以上でございます。

○岡崎参考人 ミサイルの規制につきましては、先生御存じのとおり、北朝鮮には全く義務がないのでございます、今までいかなる約束もしておりませんので。これを強制させることは大変難しいのでございます。

 ただ、昨年九月のアメリカ議会の決議でもって、この話し合いに進展がなければ重油供給のお金は出さない、そういう決議になっておりまして、それが六月に切れるわけでございますね。アメリカの政府としては、それを使って今交渉をしているわけでございます。

 日本は何をするかということでございますけれども、日本は、ミサイルの問題と拉致事件は非常に強い態度で頑張っていいと思います。と申しますのは、日本と北朝鮮の国交回復というのは、これは北朝鮮にとってプラスばかりでございます。大使を交換して、やがてどうせ日本から、どういう形か知りませんけれども、お金が入る、それが期待できるわけでございますから。北朝鮮としては得な話ばかりでございますから、日本がかなり厳しい条件を出しても、交渉して立派に成立し得るわけでございます。ですから、ミサイルの問題は頑張っていいだろうと思います。また、それを反映して、今の日米韓協議は私はいい方向に進むのじゃないかと思っております。結果はまだ不明でございます。

 それからTMDは、これはやはりした方がいいと思います。これは、アメリカが一番心配しているのは、結局、アメリカ本土じゃなしに、前進基地及びその国、それを守るところまで手が回り切らない、だからそういう国がやってくれということでございます。

 実効性は、これは私は、例のレーガンのスターウオーズの論戦ですね、あれは全部つき合ったわけでございますけれども、これは賛成反対、全くあのときと同じ議論でございます。

 賛成の議論だけを申しますと、それは一〇〇%安全ということはないのです。ないのでございますけれども、TMDができますと、撃つ方は戦略が立たなくなるんですね。どのミサイルがどの目標を破壊できるのか、どれが途中でやられるのか、非常にわからなくなってくるんですね。そうしますと計算が、ちょっと我々が想像している以上に複雑になりまして使用が大変難しくなる、そういう抑止効果があるようでございます。

○遠藤(乙)委員 では、あと一点だけお伺いします。これは西元参考人にお伺いしますが、武器使用の件でございます。
 私たちの問題意識は、武器使用が武力行使に発展しないような歯どめが必要であるという点と、それから、自衛隊員が任務に当たって、やはりその安全を守るためにも、任務上合理的に必要なものは当然必要だろうと思っている。バランスをどうとるかということが一番関心事項でございますが、そういった視点からこの周辺事態法案を見たときにどんな感じを持たれますか。また、どういった要望を現場サイドから出されますでしょうか。

○西元参考人 私は法律の専門家でございませんので、この問題の細部を法理的にお答えすることは非常に困難でございますが、部隊運用の立場から意見を申し述べさせていただきたいと思います。

 今回の法案で認められております武器使用は、隊法九十五条とそれから本法の第十一条だと理解をいたしておりますが、もし仮に本法十一条の規定がなければ、公海上における捜索救助活動であるとか、あるいは船舶検査活動といったようなものが非常に困難になると認識をいたしております。

 本法十一条は、例えば公海上に行って、そこで遭難している者を救助するためにヘリコプターが飛んでいったとします。そこから今度は飛びおりるか、スリングといって、ロープを伝わっておりるか、もしくはそのための準備をする。このような外に出て丸裸の状態になったときに本法十一条が使える、このように理解をしておりますので、隊法九十五条と十一条のセットは、部隊の隊員がこの任務を遂行するための必要最小限の条件ではないか、このように理解をいたしております。しかも、それは非常に抑制的なものでございますので、武力行使に発展するということはない、このように理解いたしております。

○遠藤(乙)委員 ありがとうございました。
 以上で私の質問を終わります。



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